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Hands-光腕の銀狼-  作者: AOH村
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第七章 微睡みの外で

時河荘に帰宅してもなお、黒雲で覆われているような気分から解放されず、苛立ちが抑えられない。

堅苦しいスーツに染み込んでべっとりとした汗水の呪縛から逃れるように脱ぎ散らかして、室内着の作務衣へと着替えていく。

ハァ、と重たい溜息をつきながら気分転換にテレビを観ようとリモコンを握る。

リモコンのテレビスイッチを押して、チャンネルを切り替えながら、気に入る番組がないか物色する。

すると子気味のいい軽快なリズムのメロディとともに、演者がロケ地巡りをしている番組に切り替わる。

他に興味が湧くような番組も見当たらないし、BGMの曲調が自分の好みのものであることから憂さ晴らしにはちょうど良く、そのまま聞き入ることにした。

しかしそのメロディは突然事切れ、何事かと眉間に皺を寄せながら画面を見つめる。

『番組の途中ですが臨時ニュースを申し上げます。本日十五時三十分頃、横山市のケヤキ並木通りで原因不明のガス爆発事故が発生しました。現在消火活動が行われているもようです。調査中ではありますが少なくとも三百人規模の死傷者と行方不明者がいることが判明しています。』

「……え?」

思わず自分の耳を疑ってしまったが、上空から撮影しているのであろう火の手と煙が上がっているその光景は、まさしく横山駅にあるケヤキ並木通りがある場所だ。

いやまさかと否定の材料を探そうと目を見張るが、自分もよく利用するデパートや飲食店などがチラッと映り、確信に至った。

先ほどまでいた場所が災害に見舞われた、そんな生々しいようで非現実的な体験に思考が追いつかず、呆然としてしまう。

「ソフィー、巻き込まれてないよな……」

ふと頭に過ぎったのは、先ほど絶縁を言い渡した奴の顔だった。

なぜ先ほどまで憤慨していた相手のことを気遣っているのか、自身の思考回路に嫌気を感じざるを得ない。

頭を振って、脳内からソフィーのことを棄却しようと努める。

しかし彼女のことを頭から追い出したはいいものの、妙な胸騒ぎを覚えた。

「優太君と玲那ちゃん、大丈夫かな……?」

最後に見た優太君の後ろ姿が脳裏に焼き付いているせいか、思い浮かべるのは嫌な想像ばかりで背筋が寒くなってくる。

加えて、玲那ちゃんも今日はお店の手伝いがあると聞いていたから、なおさら二人のことが心配になってくる。

膨れ上がっていく不安が杞憂を払拭するため、思い切って立ち上がり、部屋の玄関戸までドタドタと足音を立てながら向かっていく。

お気に入りの下駄を履いて、優太君に貸している部屋、二〇一号室に向かっていく。

普段は抑えるのだが、焦りから足音を立ててしまいながら、室内階段を上がっていき、二〇一号室の玄関戸まで辿り着いた。

いざ扉の前に立つと、自分が管理している物件の一室であるにも関わらず、呼び鈴を押すのに躊躇してしまい、部屋の前で立往生をしてしまう。

「どうしたんですかぁ、慌てた様子でぇ?」

配慮に欠けた自分の足音に心配して、部屋から出てきた琴音ちゃんがこちらを気遣うように声を掛けてきた。

「あぁ、うるさくしてしまってすまないね……。琴音ちゃんは今日優太君が家に帰った姿を見たかい?」

「いいえ~。今日はまだ久住さんを見ていませんねぇ~」

いつものようにおっとりとしてはいるものの、こちらの慌てた様子が彼女にも伝わったようで、少し気を張り詰めているのがその特徴的な口調から感じ取れた。

琴音ちゃんは気を引き締めなければいけないというときは、いつも以上に間延びしたような口調になるからだ。

「横山駅のニュースの内容は知っているかい?」

「いいえ~。それがどうかされたんですかぁ~?」

「説明は後にするよ、その前に優太君の部屋のチャイムを押させてくれないかい?」

琴音ちゃんもその柔和な瞳は、いつにもなく緊張したように目元が強張っているような気がする。

改めて二〇一号室に向き直って呼び鈴に恐る恐る人差し指を近づける。

緊張から生唾を飲み込み、力みながらも一点に集中させて指を強く押し込む。

ピンポーン、とゆっくりと室内にこだまするチャイムが玄関扉越しで聞こえてくるが、その音に対する応答が返ってこない。

嫌な予感が次第に現実になっていくような不快な感覚を抱きながらも、それでもと諦めきれず規則正しく間を置きながら扉をノックするが、やはり結果は変わらない。

「優太君、居るなら返事をしてくれないかい?」

扉越しで呼び掛けるも部屋の中は静まり返っている。

どうやら最悪な状況になりつつあると察し、こめかみを抑えながら思案する。

「久住さんに何があったんですかぁ~」

「……」

こんな時にどのように対処すればいいのか、正しい決断とはなにか、今まで無為に過ごしてきた自分には、それを見出すための鑑識眼やカリスマ性など持ち合わせていない。

ただそれでも今すぐ自分にできることがないか、を僅かに残った絵の具チューブを使い切るようにアイディアを頭から絞り出す。

まずは、琴音ちゃんに横山駅の爆発事故、優太君と玲那ちゃんがそれに巻き込まれた可能性があることを伝えた。

「まだ、本当に事故に巻き込まれたのだと断定はできない。だけど心配だから二人を探す手伝いをしてほしいんだ」

「わかりましたぁ~。私の知り合いや友人に久住さんを見ていないか聞いてみます」

「よろしくお願いするよ。あ、それと琴音ちゃんから凛華ちゃん達に話をしておいてほしいのと、探している間に優太君が帰ってくるかもしれないから凛華ちゃん達には時河荘にいてほしいということも伝えておいてほしい。その間に私の方でツテを使って探してみるから」

琴音ちゃんは私の頼みを快諾し、携帯電話をポケットから取り出して、友達に連絡しながら凛華ちゃん達の部屋へと向かっていった。

琴音ちゃんの後ろ姿を見送り、そのまま時河荘の門を出てから人がいない、人気が無い路地に入っていく。

自分の携帯を取り出して、忌々しい連絡先を画面に表示させた。

顔が歪むような拒絶感が表情に出てしまうが、優太君のため仕方がないことだ、と心に言い聞かせて不満を無理やり押し込めた。

だが、その電話番号にコールをかけるも応答することはなく、折り返しの電話が来る気配もなかった。

「クソっ!なんで出ないんだ」

そう悪態を吐いたとき、再び嫌な想像が浮かび上がり、胸の内を騒がせてきた。

「まさかソフィーも……」

その予感が外れていることを願って、再度かけ直すもやはり連絡は不可能だった。

暗鬱なことばかりを考えてしまい、頭を抱えてしまう。

いくら犬猿の仲の間柄でも、共に肩を並べて過ごした同僚として彼女が巻き込まれているのだとしたら、胸を痛めないわけがない。

「こんな時、お前ならどうするんだ……鷹斗?」

かつての友人の名前を嘆くように呟くも、ただ儚く虚空へと消えていくだけ。

あの時と同じ、自分は今も無力のままだ。

それでも、彼から託された思いを胸に自分が思いつくかぎり足搔いてみせると誓ったはずだ。

だからまだ私、時河宗一は諦めるわけにはいかなかった。

気持ちを改め、ソフィーとの連絡を一旦諦める。

代わりに自分の記憶の中の、とある電話番号を入力して、コールボタンを押す。

記憶のままの電話番号であってくれ、と念じながら受話器を耳に当てる。

コール音が続いていく時間がたった数十秒ほどのはずにも関わらず、千秋のように感じた。

やがて受話器から接続したことを知らせる効果音が鼓膜に響き、不意に笑みがこぼれ落ちる。

だが受話器越しの相手と交渉するためにすぐさま、額に浮かぶ冷や汗を拭って、平静であるように装う。

「誰かね?」

「突然のご連絡、申し訳ありません。時河です。」

電話越しにも関わらず、その穏やかな口調というオブラートに包まれた威厳とキリキリと内蔵を絞めつけるような重圧が伝わってきて息苦しくなる。

初めて会ったときから恐ろしい人だという印象を抱いていたが、長い時間でその与えてくるプレッシャーの密度が増している気がする。

だが、ここで怖じ気づいているわけにもいかない。

押しつぶしてくるような圧力に負けないよう努め、脈拍が早くなっている心臓を押さえながら、緊張で震える唇を動かして、受話器から聞こえてくる声の主に要件を告げた。


「ねぇ、聞いた?あの話」

「えぇ、聞いたわよ。ひどい話よね」

「あたし達のメンツが丸潰れだわ」

「まるで、うちの病院に任せきれないって言っているようなものじゃない」

「医師の方々もそう愚痴を吐いていたわ」

「この病院の先生たちは外面が良くても、中身はプライドの塊のような人たちだから、さすがに応えたわよね」

休憩時間中の看護師二人は、病院の屋上のスペースで院内全体に送られた通達の内容を話題に上げていた。

横山駅近くで起こったガス爆発事故から、既に五日が経過している。

崩落現場で救出された重軽傷の生存者達は現在、横山市内にある複数の大学病院に搬送され、治療を終えたばかりだった。

彼女達が勤務している大学病院もまた、受け入れ先のうちの一つである。

そして現在、療養中で絶対安静の状態である被災者たちを別の場所に移送するという一方的な通達が送られてきたため、現在院内の雰囲気が最悪という言葉というほかない状況であった。

「でも、そのお達しには誰も背けないんでしょう?」

「院長先生が後押ししているのよね?もっと別の誰かに封殺されて丸め込まれてる、なんて話もあるけど」

「あながち噂じゃないのかもしれないわね……」

まだ冷えるこの時期に、外で休憩時間を過ごすのに必須なカップコーヒーを啜りながら、ベンチの背もたれに体重を預ける。

隣に座っている同僚の看護師もまた、その唐突の知らせに対して僅かな憤りを感じていた。

「上の人達って本当に勝手よね。独断で決めて私たちの意見なんて全く聞き入れてくれない」

「あまり言いたくないけども、先生方が汗水垂らして彼らの命を救ったにも関わらず、手柄を横取りするように……。それに絶対安静にも関わらず今の時期に移送なんて、患者達の身体のケアが心配だわ」

考えれば考えるほど頭が痛くなって憂鬱になるばかりだが、同意しかねるとはいえ院長が決定したことならば、それに従わなくてはいけない。

さもないと、ここで働くことばかりでなく明日の我が身にも関わってくる事態に追い込まれかねず、嫌々従うしかないという非常にやり切れない思いを背負っていくしかなかった。

「たしか、明日までに移送の準備を整えなくちゃいけないのよね」

「本当はもっと早くに設定されていたらしいわよ。それを何とか南雲先生達が予定を延ばすように今も取り合っているらしいわ」

「えっ、まさか今日中までに用意しろ、なんて馬鹿みたいな話だったの⁉」

「その『まさか』らしいわよ。とりあえず今日と明日はあたし達も大忙しね。ホント嫌になっちゃう」

「……でも一番大変なのは被災者である彼らよね」

「そうね……」

横山駅ガス爆発事故と呼称される半径二キロメートル四方を廃墟へと変貌させた大災害、そのおぞましい爪痕が残された場所の生還者は三割程度であった。

生存者である重軽傷者は百十五名、死者百八十八名、行方不明者四十二名と現在では判明している。

被災地は血肉が至るところに散乱、腐臭が広がっている状況で、身元不明の遺骸が数多く存在していたらしい。

特に爆心地であると伺える場所には、遺体すら残らなかった者もいたという話さえあった。

だが、夥しくも惨たらしい悲惨な現場で生還した者も、またいた。

それは奇跡と呼ぶに等しかったが、絶望的な窮地から生還した者はあまりにも大きい代償を背負っている者ばかりで、今後の人生を過ごしていくのにあまりに大きく、理不尽なハンデであった。

しかし、それにも例外があった。

もしこの世界に神が存在しているのならば、その加護を一心に受けているのではないかと評されるほど、重大な身体の損傷を負うことなく、元の生活に問題無く復帰できると見込める者も数名存在していた。

そしてこの院内には、そのように囁かれている者を二人、保護していた。

「……あっ、もうこんな時間じゃない。早くナースステーションに戻らないと」

「そうね、行きましょ」

徐にベンチから立ち上がって、二人は屋上を後にした。

ナースステーションに戻り、移送準備を早速着手しなければならないのだが、その前に患者たちの検診訪問の予定が控えていた。

「訪問と記録行ってきます」

「はい、よろしくね」

左手にチャック表シートを挟んだクリップボードを持って、少々足早に部屋を回って確認していく。

全ての生還者たちはまだ目覚めていないため、あくまで表面上異常が無いかどうか、そして計器や取り付けている電子機械が正常かどうかを確認していた。

流れ作業というわけではないが、明日の準備もかねて手早く確認を済ませる必要がある。

だが、彼女の足は四番目の部屋を前にして、思わず立ち止まり、息を呑んだ。

その部屋は、神に愛された者と呼ばれている患者が眠っているはずの部屋だった。

そのため、可能性として他の重傷患者よりも早くに目覚めているかもしれないということが頭にふと浮かびあがり、そのような場合は、という対処を脳内で順序立てるとともに明日に移送することの旨をどのように説明すればよいかと思い悩んでしまう。

深呼吸をしてから部屋のドアを開けて、中に入ると他の患者の部屋と変わらない光景が広がっていて、ホッと胸を撫で下ろした。

ただそれでもなお起きているかも、なんて考えが過ぎり、確認をしようと本人が使用しているベッドに歩み寄る。

ベッドカーテンに指を掛けて、ゆっくりと隙間を作りながら中を覗いた。

そこには、やはり他の患者と変わらず、目を閉じて、規則的な寝息を立てている姿がベッドの上にあった。

ホッと胸を撫で下ろしながら、その患者に微笑みかけることを忘れずに形式的な昼の挨拶をした。

「久住さーん、お昼のバイタルチェック及び血圧の測定を行いますね」

一点の曇りもない、まだあどけなさが残るその寝顔に、つい母性のような庇護欲を抱きそうになる。

まだ僅か中学と高校生の境目という時に、あんな災害に巻き込まれて、眠っている彼に対し、奇跡という言葉を使うのは抵抗があった。

ピンク味がかった唇が僅かに開いていて、頬と額がマシュマロのように白く艶がある。

一体どのような夢を見ているのだろう、と思惟しながら無防備で静かな寝顔を見つめてしまっていた。


ガス爆発事故から一週間が既に経過していた。

爆発事故の生還者達は各病院から移送され、現在は長野県山中のとある建物内で保護されていた。

周囲十キロメートルに渡り、木々が鬱蒼と生い茂った樹海が辺り一面に広がっている。

人を決して寄せ付けないようなその場所は、一度踏み入れたらその黒海に飲み込まれ、一部に変えられてしまうのではないか、そんな心理的な恐怖を煽るような自然の要塞が出来上がっていた。

春先にも関わらず、キャンバス一面に黒を塗りたくったような景色が仕上がっており、底気味が悪いアート作品のようであった。

樹海と言えば山梨県にある有名な某所をイメージするだろうが、その場所はあくまで数多あるうちの一つに過ぎない。

そして、生還者達が運び込まれたその場所は長野県南部にある某森林地帯。

人によってそこを樹海であると説く者もいれば、連峰であると説く者もまたいる。

この場合、どちらの解釈が正しいかと言えばどちらもそうであり、樹海であって連峰であると言って間違いはないだろう。

長野県南部地帯の『自然の要塞』と呼ばれるその場所の最奥に座している建築物はG.U.A.R.D日本支部の拠点であった。

その組織、建物自体が秘匿の存在であるがゆえ、木々や山岳を隠れ蓑にして、現地住民や政府機関に所属する団体からの不可視化を図っていた。

移送された生還者達はその建物の上層階の一角にある仮設のメディカルケア区画に収容されていた。

八人で一部屋を割り宛て、生還者達の身柄を保護するとともに身の回りのケア、および監視を常時行っていた。

隔離している生存者達は一週間の時を経てもなお目覚めた者はいなかった。

一人を除いて……。

カツ、カツ、とヒールで床を踏みならす音が、廊下中に響き渡る。

膨れ上がった怒気の熱を押さえ込むように平常さを装ってはいるもののも、漏れ出した覇気は足音になって現れ出ていた。

通りすがる職員が彼女の進む道の障害にならないようにと配慮して譲り開けるとともに、彼女の外見とその廊下の配色が赤を基調としていることから、自然とレッドカーペットを歩むハリウッドスター女優のような構図が出来上がっていた。

だがその高貴な立ち居振る舞いは、ある要因によって見劣りしていた。

額を覆うように巻いている包帯、右腕はギブスを巻いて三角巾で固定されているというなんとも痛ましい患者服姿であった。

彼女は横山駅ガス爆発事故に巻き込まれ、命に別状は無かったものの頭部裂傷、左腕骨折という傷痍を負っていた。

事故に遭ったあの日、爆心地に比較的近いとはいえ室内であること、壁が上手いこと防風材の役割を担ったとともに、瓦礫同士が合わさって出来上がった隙間に身体が収まっていた。

それ故、彼女は軽傷で済んでいたとともに、他の被災者よりも早く目覚めていた。

そんな彼女が目覚めてすぐに行ったことは、待機していた部下に対して現状報告の促しだった。

そして次は、支部拠点地下にある司令室への出頭、まさに今この時だ。

司令室の自動ドアの前に立ち、静かな駆動音とともに迅速に両端に開くのを確認して中に入る。

支部拠点の司令室内は階段状となっており、上段に局長、副局長の席があり、下段に十名ほどの司令室職員がPCや端末を各々のデスクに広げられるほどのスペースがある。

室内はLEDライトの光源に照らされているが、局長席から向かって前方にある壁にプロジェクターの光が投射される際は、必然的に光源を押さえられる。

司令室内で作業していた手近な部下に「繋げて」と一言命令し、端末に必要なコマンドを入力させる。

すると、司令室内の明かりが落とされ、設置されている四基のプロジェクターが作動し、光が放出される。

そして瞬く間に光の粒子は司令室の一面の壁に収まりきるくらいの、三人分の巨大な上半身を形作っていき、強面で皺が寄っている様々な壮年な男性像を模していった。

彼らは包帯を纏った彼女を一瞥して僅かに口角を上げるとともに、左側の老人が重そうな口を開けた。

「おや、バレット君か。無事でなによりだ、予想していたよりも元気そうじゃないか。」

「おかげ様で……。お気遣い感謝します。」

「気にせんでいい。それよりも支部の局長ともある君が今回の騒動に巻き込まれ、あまつさえ前線から外れていた分の損失は甚だしい……。どう繕うつもりかね?」

「……それにつきましては弁明の余地はないと存じております。私にとって身に余る役でありながら責務を改める必要があると心得ております」

「そうか。ならば話は早い、これより君の任を解……」

「ですが、その前に一つお伺いしたいことがあります」

「……何かね?」

話を遮られ、左側の老人はその太く生え揃った眉毛を僅かに上げる。

「なぜ、私への連絡を怠ったのですか?」

「……。怠っただと?」

「事態が発生する前、地下を突き進む震動の反応が消失したことをなぜ私まで情報が届かなかったのでしょうか?」

「情報の錯綜を防ぐためだ、それ以上でもそれ以下でもない」

「私は以前から此度の未確認生物には我々の常識が通用しない可能性を示唆してきました。こちらの探知に気付き、震動を遮断してmそのまま直進していたことも視野に入れるべきでした」

「君ならそれができた、と言えるのかね?」

「僭越ながら……」

「キサマ!自惚れるのも大概に……!」

「チョウ委員、そこまでだ」

真ん中に座している男が左側、チョウと呼ばれた男を静止する。

チョウは歯を食いしばりながらも、一旦引き下がった。

真ん中の老人がチョウに変わり、口を開いた。

「君の言い分も承知している。可能性の考慮が満足のいくものではなく、君への情報伝達が遅くなったのも我々の落ち度だ」

「……」

「だが、先ほど未確認生物の行動は予測を超えるものとしながら、その可能性を判断『できた』と言った。違いないかな?」

「……相違ありません」

「そうか、ならば……」

光粒子状の男は不敵な笑みを作りながら、言葉を続けた。

「ならば、君が指揮を執り、現時点の支部内にある火力を用いて、横山市に現れた怪物を駆逐してみせよ」

「……⁉」

委員会はソフィーのことを快く思っていなかった。

かつて研究者であり、六年前の『始まり』から一転、入隊して僅か五年で局長を任されるほどになった彼女を疎ましく感じていた。

ソフィーはそれに気付きつつ、幹部である委員会はその権力に胡坐を掻いていることを見抜いており、軽蔑していた。

お互いを嫌悪の対象で見ている間柄、正直突飛な命令が飛んでくるのでは、と考慮していたが、まさかここまで杜撰な命令を下してくるとは予想外だった。

だがソフィーは負い目がある以上、後には引くわけにはいかない。

むしろ前進しなくてはいけなかった。

「不服かね?」

「……いえ。この度の討伐権限をしかと拝命させていただきます」

「では早速取り掛かりたまえ。我々から君への命令は以上だが、君から他に何か言いたいことはあるかね?」

「私からはこれ以上申し上げることはありません」

「よろしい、では幸運を祈っているよ」

底意地の悪い笑みを顔に張り付けた老人のその言葉を最後に通信が終了し、三人の老人を形成していた光粒子は宙に霧散していった。

「……やられたわ」

呟きながら頭を抱えるソフィーを気遣うように近くにいた職員たちが立ち上がるが、ソフィーはそれを左手で静止した。

老人会に言及するべき問題点を逸らされたうえ、結果的に無理難題を吹っ掛けられてしまい、不覚であった。

自身の慢心が招いてしまったこととはいえ、奴らの失態を押し付ける格好の的として、ソフィーを見ていたことをまず始めに気付いておくべきであった。

そうすればもっとより良いルートを選択することができたかもしれない、と考えたところで脳内自省会を閉廷させる。

後悔ばかりの自分に嫌気が差して、愚盲に因る過ちは一旦置いておくことにする。

謀略とはいえ引き受けてしまったからには、他に選択肢はソフィーに用意されていない。

「とりあえず一旦現状を整理させて、ユミヅカ情報士」

「はい、局長」

ソフィーの声に反応した眼鏡を掛けてポニーテールにしている女性職員が、機材を操作して、手元に表示された報告データを閲覧する。

「八日前、秋田県山中の猟奇殺人事件周辺で微弱な震動を観測。震動は南下していき、約二十二時間後に震動の反応が消失し、三時間後に未確認生物が横山駅の並木通りにて道路を突き破り、現れ出る瞬間が映像で記録されています。この生物が横山駅ガス爆発事故を引き起こして間違いないかと見ています」

「その後の生物の動きは?」

「消息不明となっています。現地調査を行いましたが、生物の行方を追うための痕跡に当たる物を発見できず、付近の監視カメラは爆発により記録が残されていませんでした。ですが、生物の死体などが未だに発見できていないことから生存していると仮定するべきだと進言します。報告は以上になります」

「わかったわ、ありがとう、ヒイラギ女史。アザカミ解析官、生物の特徴についての情報は解明できたかしら?」

ソフィーの問いかけに対し、長髪の栄養失調と見紛うほど痩せ細った男が彼女に向き直りながら立ち上がった。

「あ~、移動したような痕跡がある場所で見つかった細胞片を調べたのですが、様々な鉱物や木片、動物の死骸を分解して一から作り直したように再構成されていますね。内部に取り入れた物などのメタデータをそのままの状態で配合を行ったものと考えていますね。あとヒイラギ女史も言っていましたが、自分も横山駅の爆発の原因としては今のところ未確認生物の攻撃による物が非常に高いと見ていますね。爆発現場に残されていた破片を調べてみたら火薬片と鉱物の欠片と思しき物を発見したので、おそらく爆薬となる物を内側に内包させて、それを起爆剤にして撃ち出したのではないか、と見てますね」

「その火薬の成分などはわかっているかしら?」

「黒色火薬に使われる物と非常に似ていますね。黒色火薬は主に花火とかに使われる物が有名で、静電気や衝撃に敏感な代物であって危険な物ですね。採取されたその火薬片は破壊力や燃焼速度などは数段上がってあり、衝撃に弱い物質を宿した状態で震動波を伴って動いていたわけですから、耐衝撃に強い部分に火薬を詰めていて、攻撃の際に貯蔵庫のようなところから取り出して使っているのかと……。自分からは以上ですね」

「わかったわ、ありがとう」

手に持ったボールペンを片手で器用に一回転してから、ソフィーは反対側を唇に押し当てて思考する。

未確認生物は明らかに意思や目的を持って行動していると見て間違いはないだろう。

そうでなければ、震動を意図的に感知されないようにするだけでなく、横山駅に突如として現れるわけがない。

だとしたら、あの生物の目的は一体何なのか。

伝えられた情報をジグソーパズルのピースのように整理していくと、次第に一つの考えが脳内で導き出されるとともに、まだあどけなさを残したあの子の姿が脳裏に浮かんだ。

傍らに立っているショートカットで化粧気の無い女性職員に顔を傾けながら、口を開く。

「ヤマブキ副局長、すぐに事故生存者の保護を要請します」

「はい、既に本局のDブロックの医療部門に任せています」

「……やっぱりあなたもあの生物の目的は、あの場にいた誰かだと?」

「俄に信じがたいことですが、おそらくその可能性が非常に高いかと思われます」

彼女たちの中では、未確認生物の目的として二つの可能性を予測していた。

未確認生物を一旦ここでⅩと呼称することにする。

Ⅹの目的として考えられる一つ目は、横山駅周辺にある建築物などのスポットの破壊を狙った行動であること。

二つ目に、先に言ったとおり当時事故現場にいた人間の誰かを殺すために行動していたこと。

一つ目の横山駅にある何かオブジェクトを破壊するとしたら、Ⅹがとった行動基準に矛盾が生じることになる。

横山駅の破壊跡のビル群やスポットの映像や写真の記録を見る限り、完全な破壊にまで至っていないのだ。

つまるところ、跡形もないといった状況まで追い込まれた場所が見受けられず、この場所の何かを破壊することが目的なのだとしたら疑問が残る。

仮に、的が小さいものだとしたらそれこそ疑問が残る。

大量虐殺攻撃を初手で見舞うような怪物が、暗殺者のように誰にも悟られないような攻撃を放てるとは俄かに考えがたい。

クラスター弾のように破壊力があっても拡散式であるならばその場所を破壊するために何度も同じような攻撃を繰り出して焦土に変えるのが、道理なのではないだろうか。

だが、記録の写真を見た限りだと、同じ場所を数度に渡って破壊行動を行ったようには考えられないほどだった。

だからこそ、一つ目は可能性としては軽薄であった。

そして二つ目の特定の人間を狙った可能性に行き着いた訳であるが、そうするとさらに一つ可能性が浮き彫りになってくる。

虐殺が行われたその瞬間に特定の人物が既に葬られたという可能性である。

だが、この可能性もまた疑問が生じてくる。

もしその時、絶命したのであるならばⅩはなぜ破壊した周辺で移動した痕跡を残しているのだろうか?

特定の人物を抹殺するために何かしらの生命反応などを受信し、その反応が横山駅にいると感知して大量虐殺攻撃に転じたとする。

もし、その攻撃で死んでいたとするならば反応が無くなり、周りを探し回るように移動したりはしないのではないだろうか。

そしてⅩはその人物を探すようにその場を彷徨った形跡があるというならば、何らかの理由により捜索を断念せざるを得なかったのではないだろうか。

加えてこの一週間ほどⅩの行方は不明、生存者がその間に襲われていないのだとすると、なおさら目標追跡の継続を断念せざる何かがその時に起こったのだろうという推察に至った。

「そうなると……」

「次の敵の狙いは、ここですね」

「……ヤマブキ、ちょっとこっちに来なさい」

「なぜですか?局長」

「いいから来なさい」

能面のように無表情になったソフィーに首を傾げながら、付いていく。

司令室の片隅、他の職員に聞こえないようにと隅に顔を向け合いながら小声でぼそぼそとソフィーは八馬吹副局長に声を掛ける。

「ヤマブキ、前々から言ってるけども私の言うことを先読みするのはやめなさい」

「いけませんか?長い間お傍にいた私ならではの芸当であると自負しているのですが」

「尚更やめなさい。リズムが崩れてしまうのでやりにくいわ」

「わかりました、善処いたします」

「ハァ……。頼むわね」

溜息を一つ、右腕に巻かれているギブスを擦りながら元の場所まで二人で戻っていく。

そんな二人を尻目に、司令室内では「あぁ、またか」と感嘆ムードになる。

ソフィーより二歳年上の八馬吹副局長は仕事が早く、いわゆるできるサポータータイプであるのだが、どこか抜けているというか良かれと思っていることが他の人にとってはそうではなかったりするタイプの人間だ。

いわゆるズレた人である、と局内では陰で称されている。

だが、切れ者であるゆえ少人数ではあるものの、ソフィーからの信頼を勝ち取っているほどであった。

彼女もここでは必要とされる人物であり、今の二人の会話で少し司令室内の職職員たちの緊張の糸が解れて肩の力が少し抜けていた。

そんなほんの一瞬の司令室内の和やかな空気もソフィーの咳払い一つで引き締まった。

「戦闘班にこのことは?」

「既に伝達済みです」

「ありがとう。さすがに早いわね」

「お褒めに預かり光栄です」

ソフィーの世辞に八馬吹副局長は当然と言ったように表情を変えることはなかったが、僅かに頬が緩んでいることにソフィーは気付いていた。

ソフィーは司令室の職員全員を見渡してから、八馬吹副局長に局内の職員全体に届くようアナウンススピーカーモードに切り替えさせる。

『みんな、私が不在の間にそれぞれの任務を全うしてくれたこと、局長としてお礼を言わせてください、……本当にありがとう』

局内全体に響き渡るソフィーの声に安堵する者もいれば、次の指示を待つ者もいて、はたまた何事かと訝しむ者も、各々が見せる面持ちは多種多様であった。

『今、起こっていることを少なからず理解している者もいれば、認知していない者もいるでしょう。私にもこの事態の全容をまだ把握しきれていません……。一週間前の事故の被災者に親しい間柄の者もいるでしょう。不安や心配を抱えている者もまた察しています……』

数秒、沈黙の間が局内全体を包み込む。

その間、やはり職員たちはどこか思うところがあるのだろう、暗く、険しい様相をしている者が大多数を占めていた。

鬱屈した沈黙を打ち破るように再びソフィーが職員全員に向かって声を発した。

『それでも……今はまだ、耐えてほしい!耐えて、戦ってほしい!私たちが相手にしているのは、これまでの常識が通用しないと目されている敵、我々が力を合わせない限り明日は無いかもしれない……。だからこそ今一度、みんなの命を私に預からせてください!そして私から最後に職員全員に命令を下します』

スピーカーに音が入らないよう注意しながら、息を吸い込んで確固たる意思を再確認するようにそれを口に出した。

「自分たちの今できうることを諦めず、最大限に尽くしなさい!以上、G.U.A.R.D日本支部局長、ソフィー・サラ・バレット」

命令を出し終えたそのタイミングを見計らって、八馬吹副局長にスピーカーモードを切るように指示する。

モードが切り替わるのを確認してから、不要に入りすぎた肩の力を抜くように溜息を吐く。

「素晴らしい演説でした、局長」

「お世辞ならいいわ、ヤマブキ」

「いいえ、心からそれを思っていますよ。それに職員たちのことを見てください」

目線を前に向けると、先ほどよりも活き活きしているような、どこか吹っ切れてリフレッシュしたような司令室職員一同の顔ぶれがあった。

「みな、局長のことが心配でした。そしてあなたの声と意思を聞けて、ようやく本腰入れて作業に入れます。局長が思っているほど彼らは、柔な性格をしていません。こき使ってあげてください」

「……黙っていなさい、副局長」

そう言いながらソフィーは、顔を俯かせる。

傍らに立ってサポートするはずの八馬吹副局長は、なにか気に障るような事を言ってしまいソフィーの機嫌を損ねてしまったのでは、と謝罪をするも、彼女の耳にそれは届いていなかった。

かつてソフィーは誰とも関わろうとしない、一匹狼のような存在であった。

口語的に言うとボッチと言われてもおかしくない時期があった。

他人のコミュニティーに交わらないようにしてきた過去と、彼女のシャイな一面も相まって、そのように人から純粋な厚い信頼を一心に受けるというような経験が乏しく、加えて彼女の先ほどのらしくない演説を脳内記憶で反芻してしまい、顔から火が出るような思いで思考回路が一種のショート寸前のような状態になっていた。

しかしそんなソフィーの気恥ずかしい思いを打ち消すように、司令室内全方位に届く警報が鳴り響いた。

我に返るように顔を正面に向けて、司令室の職員全員に状況報告を命じる。

「神奈川県沿岸部、地下およそ二百メートルにて震源を感知、移動していることが確認されています。……進路直上にG.U.A.R.D日本支部があります!」

自身の機材モニターを通して、得た情報を読み上げる弓塚情報士に目線を向ける。

弓塚情報士の報告を受けて、ソフィーは自身の予感が的中してしまったことに歯噛みしながら、持っているペンの反対側を再度唇に押し当てる。

そしてさらに、追い打ちを掛けるように弓塚情報士の隣に席を置いている黒木情報士が焦燥感に駆られた様子でソフィーに身体を向けて報告した。

「イ、イースター島にて新たな未確認生物が地中から出現、個体照合が全ての動植物カテゴリー内に該当するデータがありません!映像、出ます!」

プロジェクターから投影された粒子状のモニターに映る未確認生物。

その姿は、まるで恐竜図鑑に登場するような翼竜の姿と酷似しているが、隆々とした体格の大部分がフィクションに登場する石造のガーゴイルのように、鉱物のようなで艶々した光沢を伴った堅牢な体躯を持ち合わせているのが確認できた。

映像を観たかぎりだと、モニターに映し出された個体と翼竜の違いは三つあるのがわかる。

一つ目に挙げられるのは、両腕だ。

翼竜の場合、両腕に相当する箇所が蝙蝠の翼のように、長く伸びた前足の指によって広げられた薄い膜があり、飛行するための最大の特徴を兼ね備えているが、それとは別に三本の爪のような突起物が胴体左右から両腕が生えて、備わっているのがわかる。

二つ目は角、翼竜の一種であるプテラノドンの特徴として後頭部にある長大なトサカが有名であるが、映像の個体には後頭部のトサカとともに額に相当する箇所からトサカと同等のスケールの角が生えている。

三つ目はその瞳、決して生物のような生気を感じ取れる瞳などではなく、爛々とした飴細工のような、生気を感じられない光色を灯していた。

それはやがて、人間四人分を超えるほど大きい翼を横一杯に広げる。

満月をバックに、生まれ出でた穴から翼竜擬きは、底知れない漆黒広がる天の原へと巣立っていった。

二体目の新たな未確認生物の姿を目の当たりにしたソフィーに、驚愕するな、というのは無理な話であった。

「二体目⁉しかも飛行型!」

「現在衛星カメラから観測していますが、飛行型生物はおよそ……、し、信じられません!時速二千kmを裕に超えて、超音速旅客機並みの速度でこちらに向かっています!」

予測外過ぎる展開に戸惑いを隠せず、ペンを握る力がさらに加わって負荷がかかっていく。

冷静さを保てないまま、黒木情報士を問い詰めた。

「……ここへの到着予想時間は?」

「……およそ、六時間後になります」

黒川情報士がおそるおそる答えると、さらに弓塚情報士が続けて報告した。

「し、震源もまた到着予想時間は、およそ六時間後となります……」

「……最悪な状況ですね」

八馬吹副局長の苦虫をすり潰したように呟く声が鼓膜を通り越して、脳髄に直接問いかけるように聞こえてくる気がする。

想定外の敵の増加に脳内シミュレートが追いつかない、それでも二体が同時にこの地で合流するのは最悪な状況であるとソフィーの直感が告げていた。

ならば、とこの場で部下たちに出す命令は、これ以外無いだろう。

「ベース・ファイター飛行中隊にスクランブル要請を!足が速いC小隊は準備ができ次第、出撃!A、B小隊は待機を……。新たな飛行型の未確認生物を海上で足止めして、なるべく到着時間を遅らせて!最初の未確認生物はここで迎え撃つ!」

「了解、中隊各所に命令伝達を行います」

司令室内のオペレーター、情報士が本拠点内の各所に情報連絡を行うとともに、数少ないデータから解析官は有効な戦術を計算し出す。

(ユウタくん……、今度こそ必ず、あなたを守ってみせる……)

守ることができなかった少年の姿を脳裏に思い浮かべながら、この局面を乗り切ってみせる、と誓った碧い瞳には猛々しく燃え盛った闘志が宿っていた。


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