感じない
公園でのゆったりとした時間は過ぎていき、午後の一時になろうとしていた。林太郎と楓はあのホームレスに言われたことに気にとめなかったわけではないが、時間が立つにつれどうせ戯言とだろうと林太郎は自然に何事もなかったかのように楓の一時を楽しむのであった。
たわいもない時間が過ぎて夕暮れ時。デパートの雑貨店の中を楓と林太郎は彷徨いていた。棚には海外のおもちゃや熊の縫いぐるみ。又海外の大きなキャンデーとかか棚に並べられていた。平日ともありお客は楓と林太郎、それに子供連れの親子がいるぐらいで、店内の陽気な洋楽の音楽が流れている。
男の子がおもちゃの銃を手にとりはしゃぐ姿を見て林太郎は自分にもあんな無邪気な頃も自分にはあったんだなと、感慨させられた。
それか二人は雑貨店を歩いた後お店を出た。辺りは既に暗く夜の七時を廻ろうとしていた。
そろそろ家に帰ろうと思った林太郎は楓の手を繋ぎ自宅に替えることにした。帰り道林太郎と楓が歩いていると歩道橋が見える。信号機が青から赤に点滅していた。ふと林太郎はあの夢の事を思い出す。あの時自分は無人トラックに引かれるという恐ろしい夢。それは自分の身に本当に起きたような錯覚をさせる恐ろしいものであった。林太郎が呆然にしていると楓が肩を叩いてきた。
「どうかしたの。さっきから上の空だけど」
「いやなんでもない」林太郎は首を左右に降った。
信号機の色が青になった。左右確認すると車が止まっていることを目視して歩道を渡った。
暫く歩いて自宅に着いた。インターホンを押すと母の和泉が出迎えてくれた。
「遅かったじゃないの何処にいってたの」エプロンで手を拭き、心配そうな顔つきをしている。
「公園で楓と散歩してた」デートというのは恥ずかしいので散歩というのが適当かと思い。照れながら頭を掻く林太郎
「うん」円満な表情を浮かべる楓
「そうなの。あ、ご飯できてるから一緒にたべましょう」
食卓に着くとテーブルには唐揚げにサラダに味噌汁それに付けもと色とりどりの料理が並べられていた。それぞれの席に着くと和泉が茶碗にご飯をもりテーブルに置く。手に箸を持つと三人揃っていただきますと言って食べ始めた。
「林太郎。あんまり遅くなっちゃ駄目よ。お母さん心配してるんだから」
「ごめんごめん。でも俺も今年で21歳だよ。心配される年じゃないから」
「私は心配なの。遅れる時は返事を頂戴。いいわね。楓ちゃんもよ」
「はい。お母さん」微笑みながら返事をする。
「お願いだから連絡は入れるようにね」
食事が食い終わると和泉は食器をかたしはじめる。林太郎と楓は自分の部屋に入った。
林太郎は液晶テレビをつけ適当にテレビのチャンネルをリモコンを使って廻した。ニュース番組は教育テレビと在り来たりな番組しかなくどれも見ようとはおもわなかった。チャンネルを廻していたお笑い番組があったのでそのチャンネルを見ることした。二人の漫才師が一人がボケをやりもう一人が突っ込みをしていて観客大いに笑っている。観客の笑いに釣られるように林太郎もついつい笑ってしまった。
しかし楓には何が面白いか分からずただただ画面を表情を変えることなく画面を見つめていた。まるで人形が表情を変えないように、真っ直ぐな視線を液晶画面に向けていた。
暫くお笑い番組が終わり、ニュースの報道番組に差し掛かろうとしていた。林太郎はテレビの液晶画面の電源を消した。そして林太郎は楓を見つめるなりいきなり抱きしめた。
「ど、どうしたの林太郎」
「楓お前が好きだ」
「あ、り、林太郎」
林太郎は楓をベットに押し倒しすと唇を無理矢理重ねあう。楓はただやられがままになにも抵抗をしない。楓は天井をみながら上の空であった。
次第に息づかいが荒くなり、楓の服を脱がしていく。肌は人間そのもにそっくりで血管が浮き出ている。
淫らにさらした肌は二つ山は美しく別れていて綺麗にそびえ立つっている。
林太郎は山に手を伸ばしイジメだした。夢中になって貪りながら楓の顔を見ると天井をただ見つめているだけで人形のように無表情のままだ。
「楓気持ちいいか」林太郎は息をきらしながら言った。
「きもちいいとはどういう感情」
「き、きもちいいてそれは……」
急に山を貪るの辞め、冷静になった。楓はあくまでロボットだ。確かに色んな感情を教えてきたが、ロボットに気持ちいいという感情があるのか分からない、寧ろ人間にしか備わってない感情だと林太郎は考えた。
「ご、ごめん」楓に頭を下げて声を落とす。
「林太郎ごめんなさい。気持ちいいという感情がわからないの。今度から気持ちいいという感情は勉強するね」微笑みながら晒した胸を隠さずに服をきはじめる。
「ちょと俺は外にでる」
部屋を出ると和泉にはなにも言わず家を出た。辺りは暗く街頭がつきはじめていた。
宛もなく歩き立ち止まった。林太郎は近くにあった電信柱を素手で殴った。拳からは擦り傷に皮膚が裂け、血が垂れている。じりじりと痛みが走り、林太郎の頬から涙が零れだした。
「これじゃ俺一人のオナニーじゃんかよ。クソ」
誰もいない夜道。林太郎はただ自分の惨めさに気づき、失った者は二度と帰らないことを身に感じだのだった。