少女の告白
『第一印象から決めていました。』
とはこのことを言うのだろうか。
慌ただしく動き回るメイド服の女性の中に彼が居た。
涼しげな顔で私の顔を覗き込み、口を歪ませて笑い、私の頬を優しく撫でる。
「なに惚けた面してんだお嬢様」
彼の指はその無骨な態度に似合わず、しなやかで美しく、伝わる熱で頬が染められ、熟した林檎のように、真っ赤になる。
それは彼の目と同じ色でもあった。
血のような、夕焼けのような、柘榴のような…
思いつく限りの赤を思い描いても、表しきれないそのゾッとするほどの赤
それは熱烈に、私の視界を焼き尽くした。
そして、その赤は時折、淡く煌めく金色に被さる。
蜜のような艶やかさを放つその髪は絹の美しさを纏い私を惹きつける。
この世の称賛の言葉が全て彼の為にあるかのように思えた
この世の全ての宝石は全て彼を飾る為にあるかのように思えた
私の全てが彼の為にあるかのように思えた。
これは恋だろうか?それとも執着?
ただ逃げ出したくて、縋っているだけ?
ただ分かるのは、蜘蛛の巣に囚われる蝶のように、もう二度と羽ばたくことが出来ないということだけ。
「(大好き…)」
きっと私は貴方を一生愛し続ける
これは誓いではない、
これは運命に刻み付けられた、確定事項だ。