そんな事は言っておりません
本日は晴天です。
私の気分は曇天です。
それはもう真っ暗です。
「プリシア様の好きな紅茶は?」
「ダージリンですね」
「ダージリンは香りが良いですよね、僕はディンブラです」
「すっきりして美味しいですよね」
「はい」
「....」
「....」
本日はケイト様が来ております。
何で?
それはケイト様のお父上が連れて来たからです。
それは良いです良いですけどお父様、会話が続きません助けてください。
何でお父様方はニコニコ微笑んでいるのですか見てないで助けてくださいよ。
私のコミュ力は地を這っているのですよ?壊滅的なのですよ?
「ケイト殿は、本がお好きだそうで」
「はい特に伝記などが好きです」
「実はプリシアも本を好んでいるのですよ」
「そうなんですか?」
「はい」
お父様、見かねて助け船を出してくれたのは嬉しいです。
けど他に話題、無かったのですか?何で私の事なのですか。もういっそのことお父様がずっと相手していれば良いのではないのですか?もう私は部屋に篭りたいのです。
「プリシア様はどんな本を読みますか?」
「歴史書や伝記も読みますね」
「そうなんですか」
そう言ってケイト様は少しびっくりした様子ですね。分かっております、私がそう見えないのは。せいぜい恋愛小説程度しか読まないと思われていたのでしょうね。ケイト様の中の私のイメージは本なんかよりも装飾品や華やかな物にしか興味が無いと思われていたのでしょう。
一つ言いたいです容姿で決めつけないで頂きたい。私だって気にしているんです。
「ではプリシア様の好きな本はありますか?」
「そうですね...例えば...」
何故かケイト様と本で少し盛り上がりました。そんな様子を微笑ましそうに眺めるお父様達。意味が分かりません。
まあ会話が続かず気まずい思いをした時よりはマシですが。
「それでは本日はありがとうございました」
やっとケイト様達がお帰りになりました。
やっと部屋に篭れます。
「プリシア、その何だケイト殿はプリシアから見てどうだったかな?」
「...?ケイト様ですか?そうですね...本の趣味は合いましたね」
「そうじゃなくて男の子としてはどうだったかな?」
「....」
やっとお父様の言いたい事が分かりました。
お父様達は私とケイト様を婚約させたいのでしょうね。ですが本人の意思を優先させている辺り無理矢理婚約はさせたくないのでしょう。ですがお父様、ケイト様は攻略対象者なのですケイト様と婚約した途端、私に破滅フラグが建つのです。それだけは勘弁願いたいのですが。
「...お父様、私はまだそういう事は分かりませんわ。ですけど理想はお父様の様な方ですわ」
「...プリシアっ!」
感極まったお父様が抱きしめてきました。...お父様、自分で言っておいて何ですが少し鬱陶しいです。離してください。
「プリシアは将来私と結婚するんだねっ!」
「....」
お父様、そんな事は言っておりません。
それに、それはそれで嫌です面倒です。