第44話☆2JJの変
魔法少女新撰組の二代目局長となった芹沢はるな。
「壬生狼新選組」の野望を阻止し、実質母的存在のメナを救うため、はるなは戦いの道を選んだのであった!
「いやー! 快晴快晴! 絶好の討う(う)ち入り日和かやな局長!!」
「いや原田、ここ電脳空間ですよね? 天気の概念なんかあるんですか?」
「もちろん! 電脳魔法空間でも雨降ったり曇ったり、雪降ったりするよ!」
「そうなんだ」
「やっぱさ、いつも同じ天気じゃ風情がないやん?」
「デリカシーなそうなあなたが言いますか。いやー、野外で生活してた身としたら、やっぱり雨と雪はイヤですよ?」
「え、局長いままでどんな暮らししてたん?」
「橋の下にダンボールで家をつくって暮らしてました」
「へー! なんか、桂小五郎みたいやな!」
☆こんにちは☆
魔法少女新選組局長 芹沢はるなです☆ バージョンは入力面倒くさい(※作者談)ので割愛します☆この方がスマートですし、いいよねよね☆☆ちなみに、ウラやんがオーダーメイドで新撰組の陣羽織を用意してくれていたので、さっそく羽織っています☆人生初のコスプレ感☆
今日は、はるなママをミブロ新撰組から助けて、荒槌財閥の野望を止めるため、かれらのアジトを攻め込みます★★ドキドキして昨晩はよく眠れませんでした★★寝る前に原田と対戦系のゲームしすぎたのもあるけど、それ抜きでも
昨日ウラやんに今回の作戦の全容を聞いたので、以下にまとめます。
①敵のアジトは「2JJ」。実際の京都では二条城にあたる建物です。けっこう堂々(どうど う)と居を構えてますね☆ただただずさんなのか、それだけ守れる余裕なのかはわかりませんが。
②周囲には警備している隊士がたくさんいおり、その中でも特に「煌魔の器」が強敵。そのため、原田と斎藤が「2JJ」北側に回り込んで奇襲を仕掛け、敵の目を引き主力の一部をそちらに対応させて戦力を分散させ、その隙に私とウラやんと新見が南から正門に向けて一点突破するとのこと。
③大橋と武田は私たちの後方支援。背後からの奇襲があった場合の対応などを臨機応変に行う。
以上のような感じで、そんな難しい作戦内容ではないですね☆実質ごり押しな感じですし☆何か人数少ないのにさらに分散させる作戦ってちょっと不安なんですけど、ウラやんがバリ強いのでおおよそ何とかしてくれそうな気はします☆
「はるっぴ、はじめのうちは無理しなくていいよ! 私達がなんとかするから、重要な局面までなるべく力をためておいて!」
「わかりました! まだ色々わからないのでよろしくお願いしますね!」
「まかせといて! はるっぴにイイとこみせちゃうから!」
自身に満ちあふれた笑顔を見せるウラやん。他のみんなも、今までもどかしい思いをしていたのか、やる気満々(きまんまん)と言う雰囲気です☆
「ついにこの時か来ましたね!」
「あーしのバエなパワー見せたるし~」
「……」
「クワワッ、道端に転がる理もあります。探しながら進むといたしましょうか」
いや、武田と大橋のやる気は良くわからん(~_~)
「では! 討ち入り開始です! 無事にお役目果たすため頑張ろうね! みんな生きて帰ろう!!」
「おー!」
ウラノーマの宣言と共に、私達はNIC本願寺を出ました☆よーし、やったるぞー☆わたしだって昔よりは強くなってるんです! 記憶は無いけど元チート(多分)なのです! 負ける道理はない! ハズ!
入り口で別れて北に向かった原田と斎藤が先に動く事になってるので、私達はゆっくりめに足を進めます☆
「久々のはるっぴとの任務だあ! いいトコ見せちゃうぞ!」
「ずっと浮かれてますね副局長。あんまり油断しないでくださいよ?」
「わかってるって! ねー、はるっぴ!」
そう言いながら路上で堂々と思いっきりわたしに抱きついてくるウラやん。精神年齢下がりまくってるなー★新見がやれやれと言う顔するのもわかります★
「あ、そうだ! まだ余裕あるし、あそこ見ていこうよ!」
「あそこ?」
「あのね! 向こうの家の軒先にね、謎のボクサーの人形が置いてあるんだ!」
「ウラやん、緊張感のかけら無いですね」
「こーいうのはかたくなるといけませんから! リラックスするのが大切なのです!」
「まあ、間違ってもいない気はしますけどね」
「じゃ、行こ!」
私の手を引っ張って、ウラやんはるんるんと住宅街を駆けていきます。つーか、このあたりって民家ばかりだけど、実際に人住んでるのかな?
「このへんはまだ誰も住んでないんだよね! 今のところ秘密の場所だから。本物の京都を透写魔法でコピーした抜け殻ハウスばっかです」
「なんか3Dプリンターみたいな方法使った感じですね、肖像権大丈夫ですか?」
「まあ、一般公開されてないから!」
「ずさんなガバナンスしてますね~荒槌財閥が絡んでるみたいですが、なかなか企業としてコンプラまずいとおもいます。監査役は仕事してないのかな」
「あ、あれあれ! 見て見てはるっぴ!」
いつのまにか2メーターくらい先に行って、家の門の前で嬉しそうに指をさすウラやん☆どれどれ……? な、なんですか、あのくねくねしたボクサー人形!? なんで内股で股間隠してるの!?
「どうよ? すごいでしょ!」
「うん、ナニこれな珍百景に投稿してもいいレベルですね。これ、実際の京都にもあるの?」
「うん!」
「誰がなんの目的で……」
その時、パアンと上空で何かが弾ける音がしました☆
「今のは」
「のろしだよ! ハラちゃんたちが今から攻撃するって合図だね! よし、5分くらいしたらこっちも仕掛けるよ!」
「はい!」
謎のボクサーからはなれ、私達はまたゆるゆると2JJに向けて歩き始めます☆緊張のせいなのかこういう時の5分は少し長く感じます★
「……うん、そろそろだ。キンタ、私が先陣はるっぴからあまり離れないようにしてね」
「まかせてください、土方さん」
「おねがいします……じゃあ、魔法少女新撰組副局長(まほうしょうじょしんせんぐみふくきょくちょう)の名に於いて、ここからは羅刹の如く斬り込みます!」
ウラやんから放たれる気配がガラリと変わり、走り出したその背後は砂ぼこりが起こりました☆つーか速い! 置いてかれちゃう! この辺の土地勘無いからはぐれると困る! 待って待って!
ちょっと進んだだけですぐに大通りに出ました☆
うん、なんか沢山の人影があるぞ?
「侵入者、ハッケンイタシタ」
え、鉄のマスクを被った、新撰組っぽい羽織を着たやつらがいっぱいいますよ! これがミブロ新選組の隊士でしょうか!?
「はるっぴ!」前方でウラやんが刀を構えています☆
「すごい数ですね!」
「こいつらは全員AIのロボット! 人じゃないから遠慮しなくていいよ!」
「はい!」
力は温存してといわれてるので、なるべく低コストで持続性のある魔法でしのぎたいですね☆それならこれかな☆
「出でよ、摘み払いの刃!〈ジェノサイド・リッパー〉!!」
わたしの右手に灰色の煙が纏わりつき細長い剣みたいな形になります☆似たようなので爪もあるけど、リーチはこっちが上なんですよね☆どうだ、剣の中をキラキラ線が走ってて機動兵器の武器っぽくてでカッコいいだろう? ワイルドだろう?
「……コウゲキ」
おっと、ドヤってる場合じゃなかったですね! えい!
「……!!」
着ている羽織を切り裂きましたがまだ足りませんね!
とやっ!!
「……!! 危険状態、セーフモードに移行」
メカだから装甲が厚い!!
つーか、わたしが力を抑えすぎなのかな☆少しパワーを上げます!! ムン!!
「バギッ!? 戦闘、不能」
胸部をズバッ深く切り裂かれると、メカ新選組隊士の目の光が消え、ドサリとその場に倒れました☆そして、すぐにジャギジャギなノイズのかたまりになって消えてしまいました☆やったー1体倒したよ☆☆
「はるなさん、大丈夫ですか!?」
あ、キンタめっちゃバッサバッサ手際よく倒しとるやん。ウラやんもスパスパやん。あいつらつっよ★
よし、これなら目的地までは楽勝やな☆
「はるっぴ! うしろー!」
え?
あ、頭に角はえたメカがいる!! なんか指揮官っぽいやつかな!?
「目標補足。帯電」
きゃー!! なんか頭と右手に雷を集めてるよ!? バリアバリア!!
「発射」
「〈スタック・レファリー〉!!」
タメ時間が長くてよかったー☆
さあ、魔法の盾に吸収された電撃をお返しです!! シールドパージ!!
「ギギギギギギー!!」
ロボットに雷はよく効くってどっかのファイナルなゲームでも言ってましたからね!! 案の定、ビビビガガガとなって耐えきれなくなってショートしてドカンと爆発しました☆
「さすがだね!! さ、行こう!!」
包囲網は崩れたみたいなので、ウラやんを先頭にスナック感覚でロボ隊士をたおしながら目的地に向けてガンガン進みます。
「見えた! あそこが2JJだよ!」
「なんか人がいますね」
「あれは、あちゃー、釣られなかったか!!」
門の前に男が4人。いずれも武器を持っており、用心棒みたいな風貌です。
「よう堂々と真正面から来よったなぁ、土方」
ギロッとした目の剣士風の不良男が、ウラやんに話しかけました。
「ひとりくらいは向こう言ってくれるとおもったんだけどな」
「ワシら天誅組が、そんな見え透いた策に乗ると思うなや!」
あれ、作戦読まれてました?
バレバレ?
「あはは、しくじっちゃったなあ」
「そうか、はるなが戻ってきたんか」
「言っとくけど、はるっぴは記憶喪失だから岡にぃのこと覚えてないからね」
あー、こいつが鼻くそほじってそうなアレか★
「ふーん、風の噂では聞いとったがな。なら、こそばゆいが名乗っておかんとなぁ! ワシは、煌魔の器が一人、岡田以次郎じゃあ!」
ああ、岡田以蔵がらみか★ってことは、この4人は★
「俺は田中真紅之助!」
「拙者は河上幻刀斎にござる」
「僕は中村夜半と申します」
やっぱ、幕末四大人斬り関係か☆
でも、なんで新選組に手を貸してるのかな? 元の奴らはほぼ敵だったはずだけど?
「その顔、本当に、ワシらんこと覚えとらんようじゃな」
「そうですね。ごめんなさい」
「謝らんでええぞ、はるな。お前にゃあ恨みなんぞ無いからのぉ。ワシがムカついとんのは、そっちのクソバカ野郎じゃ、土方ぁ!!」
そう言ってギッとウラやんを睨み付ける岡田★
ふたりの間に一体何かあったのでしょう?
〈☆ドキドキしながら次回に続く☆〉
※岡田以外の人斬り対応表
田中真紅之助↔田中新兵衛
河上幻刀斎↔河上彦斎
中村夜半↔中村半次郎
ボクサーの像はホントに京都の町中にあったんですよ~今でもあるかは不明です。
西本願寺付近にあったラーメン屋さんも今でもあるのかな〜しみじみ