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第25話★表彰死期(上)

決勝戦で負けてしまったはるな。

「億り人」の夢は断たれ、失意のうちに表彰式がはじまる……


 こんにちは……はるなです。

 もはや星をつける気力もないわたしは、今「魔法少女交翅宴(まほうしょうじょこうしえん)」の表彰式(ひょうしょうしき)に出ています。


 「元気出しなさいよー。そりゃ、3億円もらえないのは辛いだろうけどさ」


 そういって、わたしの頭をポンポンするぴりんを普段なら「タヒね」と殴りかかるところですが、今はその気力もありません。


 右横にいるアルステリアさんを見ると。あちらもなんかいつもの余裕がない感じで元気無さそうです。


 「はるな、ぴりん、話したいことがある」


 「え、小声でなんですか、アルステリアさん?」


 「実は(ゴニョゴニョ)」


 「えっ!? メロお姉ちゃんが消えた?」


 「シーッ! いつも声が大きいよぴりんは」


 「だって、それ、一大事(いちだいじ)じゃないですか(ヒソヒソ)凍り付けになって自分では動けなかったのに、いなくなるなんて事件ですよ?」


 「とりあえず、一部の関係者(かんけいしゃ)には既に捜査(そうさ)してもらってるけど、いま表沙汰にすると混乱するから表彰式が終ってから本格的に動くことにするよ」


 「いったい誰が……?」


 「わからない。あの氷は簡単には溶かせないはずだ。もし、誰かに誘拐されていたら……」


 なんか、メロお姉ちゃんが相当やばそうですが、今三億円ショック中なわたしには、話が全く入ってきません。はー、すさんだ心が虚空(こくう)にふわふわと浮かんでらぁ★★

  

 「みなさん! お待たせしました! ただいまより表彰式をはじめます!! 準決勝以上まで勝ちのこった魔法少女の皆さんは表彰台前までお越しください!」


 競技場(きょうぎじょう)に観客もいれてるので拍手がわき起こります★オメーらヒマ人だな★

 私も、とりあえず、拍手します★★感情は入っていません★★


 「ほら、はるな! あんた準優勝なんだから、はよ行きなさいって!」


 「は?」


 「たぶん、準優勝でも賞品あるんだからさ!」


 「え、そ、そうなの!?」


 「3位まではあるよ! 電化製品(でんかせいひん)とかもらえるはず!」


 家がないのに電化製品もらっても使えねーよクソガ★★

 身分証もないからセ◯ストにも売れないし★★素直にゲンナマを渡して欲しいです(キッパリ)★★


 わずかな期待を胸に、やたらでっけぇ段差無しの表彰台のところまで早足でとぼとぼ歩いていく私とアルステリアさん。元気の無い私たちを(むか)えたのは、優勝したイシュカともう一人の知らないとんがりぼうしをかぶった魔法使いあるいはウィッチみたいな魔法少女でした。イシュカは、戦闘マシーンのようだったあの時とは違い、優勝した余裕もあるのか、ちょっと優しい表情をしているように見えます。


 「はるな、無事(ぶじ)で良かったよ」


 「……はい」


 「気持ちはわかるよ。どうやらお金に困ってるみたいだし」


 「あ、はい……」


 「安心して、もしもの時は私も力を貸すから」


 「え?」


 「とりあえず、細かい(はなし)は式が終わったあとでしましょう」


 ん、まさかこの子、お金を分けてくれるつもりなのかっ!?

 だとしたら、な、なんて良いヤツなんだ!! 感動(かんどー)した!! 一気に好感度(こうかんど)ダダ上がりだわ☆☆☆イシュカちゃん最高☆☆☆人間的にも優勝だわ☆☆☆ミ



 「揃いましたね! では、みなさんご注目! 入賞者にメダルの授与をしていただくのは! エンターライズで知らぬもの無し! 賢者の中の賢者! 大賢聖(だいけんせい)ローザルフ様です!!」


 表彰台の上にトコトコのぼったはるな達の前に、金ぴかに光る魔方陣からすっと現れた、ヒゲナガクソジジイ☆☆観客席からも魔法少女からも割れんばかりの拍手が起こりましたが、はるなはやらないよ★★テメーの顔は見飽(みあ)きたぜ★★つーか、あのジジイとあとで面と向かわないかんとかヘドが出るぜペッ★★★★ 



 「それでは、メダルの授与をお願いします」


 こちらに近づいてくるジジイ★★メダルなんかいらねーよ★★★金よこせやゴルァ★★★


 「イシュカ、よくぞ優勝の座を手にしたな」


 「はい」


 ジジイはイシュカの前に立ちました。まあ、優勝した子から渡すわな。じゃあ次は私か★★ちっ、めんどくせえ★★


 「お主の健闘(けんとう)に応え、このメダルを」


 「ローザルフ様」


 「ん、なんじゃ?」


 「あなたの(つみ)(さば)かせていただきます!」



 シュシュシュ!

 イシュカの手から包帯が延びて、ジジイの首や体に巻き付きました! い、一体何が起こっているのでしょーか!? さらに、そこにウラノーマや、ハルシロフら四人の魔法少女が駆け寄ってきました。こいつら、仲間だったんですね☆


挿絵(By みてみん)


 「イシュカ、お主、これはどういうつもりじゃ?」


 「シラを切るおつもりですか? あなたは、あなた方上層部【賢老界(けんろうかい)】と一部の魔法少女がエンターライズの国民をダシにして、私腹(しふく)()やしていると。血税を私的(してき)に流用し、反目の意思のある者は秘かに粛清(しゅくせい)していた!」


 「な、何の話じゃ? ワシには心当たりがないのだが?」


 「許せない!」


 あの物静(ものしずか)かな子がこんなに怒るなんて、ジジイよっぽど悪いことしたんだな。うんうん、わかるわかる☆そいつたぶん汚職(おしょく)してると思うぞ☆イシュカのすぐ後ろにいるウラノーマも刀抜いてるし、天誅(てんちゅう)する気満々だね!


 「あなたの踏んでいる(しかばね)達の声を聞け!」


 「イシュカ!」


 「!?」


挿絵(By みてみん)


 ドスッ


 そのとき、ウラノーマの刀が、イシュカの胸を貫きました。

 え、なんで?


 「あ、かはっ!?」


 「……」


 「どう、して?」


 刀が引き抜かれると、その場に度ドサリと倒れこむイシュカ★何が起こったかわからず呆然とするわたし★キャアアと叫んで駆け寄る3回戦で当たったハルシロフとお菓子みたいな魔法少女★ザワザワざわつく会場★


 「イッちゃん!」


 「ハルちゃん……私、何も、できなかった……」


 「イッちゃん! しっかりして! しっかりするのよ!! こんなとこで死んじゃだめ!!」


 回復魔法を使うハルちゃ……ハルシロフ。このふたりはきっと親友(しんゆう)なんですね★明らかに必死だ★けど、おそらく心臓(たま)をやられてるから、かなり回復は厳しいです★★


 「あらあら、危なかったわねえ」


 ん、背後から声が?

 このトロリとした声は、まさか、メロお姉ちゃん?


 「メロウ!?」


 「フフッ」


 「君を探していたんだぞ! でも、どうして……」


 アルステリアさんの言葉を、メロお姉ちゃんは微笑()ほほみながら全スルーして素通りしました★★視線はずっと、倒れているイッ……イシュカちゃんの方に向いています★★


 「メ、メロウ、ライン……?」


挿絵(By みてみん)


 「もう、ダメじゃないの、イシュカちゃん」


 「ま、まさか……」



挿絵(By みてみん)



 「それは、私の、獲物(えもの)なんだからぁ!!」


 


 


次回が第2章のラストになります。

ここまで読んでくださった方には誠に感謝いたします!



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