第22話☆相席贖道(あいせきしょくどう)
ついにアルステリアとの戦いが迫るはるな。
ぴりんと特訓をしてかなり強くなったが、力の差はまだかなりあるのであった……
☆☆転がり続けてラランラーン☆☆
☆☆どーも、準決勝を前にして特訓中のはるなだよ☆☆
☆☆億万長者が現実味を帯びてきたぜ☆☆
「《スターシールド》!!」
「てやー! 」
「まだまだ! そんなんじゃアルステリアには勝てないよ! あのアクラさんですら負けたんだから!」
ぴりんにスパーリングの相手をしてもらっていますが、フツー以下の魔法少女が相手だと、練習相手としては不安があります★★
それに、罪魔法は使えるものの、いまのところ決定打になりそうな魔法が少ないのも不安要素です★★現時点で最高威力を出せるのは「スタック・レファリー」ですが、あの魔法は相手に大きく依存してしまう上、向こうにバレていたら対策される可能性大★★
あーあ、せめて、はるなにも専属コーチがいたらなあ★★
「いやー、やっとりますね!」
「え!?」
誰やねんと振り向くと、はるな達の方を見て何か嬉しそうに腕組みベガ立ちしている丸メガネの女の人がいました☆☆もしかして、ファンか何かかな☆☆
「何でしょーか?」
「今までの戦い見せてもらいましたよ、はるっぴ。あなた、罪魔法の使い手なんですよね?」
「そうですけど……!? いや、いきなりあだ名で呼ぶとか……!?」
ちょっとまてぇ(゜ロ゜)
こ、こいつ、髪型とか変えてるけど、この髪の色、背丈、間違いない、こいつ、ウラノーマじゃん!! あの人を斬っても無表情でアルステリアさんとの戦いで急に棄権した謎すぎる残虐剣士ウラノーマがなして変装してるんよ!?
「あれ? どうかしましたか?」
「えと、あなたは、誰です?」
「ああ、自己紹介が遅れましたね!」
そう言って、ウラノーマ(?)はササッと懐から名刺を取り出し、わたしたちに渡しました。
「わたくし、罪魔法を研究しながら各地を巡る、さすらいの魔法使い! 名を裏野腹 木米と申します!」
名前のクセがスゴい☆☆
しかも、名字からしてウラノーマなの匂わすなよ☆☆
それにしても、どーしてこーなった☆☆(汗)☆☆
「あんた、ウラノーマよね!? このぴりんの目は騙せないんだから!」
「えー違いますよ~人違いですって~」
「はぁ、そりゃ同一人物と信じたくはないけどさ。それで、今日は何の用?」
「いやー、さっきも言いましたが、私は今までの日々を罪魔法の研究に費やしてきたんですよー。でも罪属性を持ってる人ってエンターライズでもぜーんぜんいないじゃないですか? 邪属性よりも絶望的なレベルで見たことないわけですよー。各地を転々として探しても全然いなかったわけですよー。だから、もーあきらめよーかなーって思ってたこの頃だったわけなんです。けど! 何となくふらりと立ち寄った「魔法少女交翅宴」に、罪魔法使いのはるっぴが出てるじゃありませんか! こりゃあ黙っちゃいられない! そう思って、是非とも会って話したいなーと思ってここにきたわけです、以上説明終わり!」
「クソうさんくさいし。にしても、よくそこまでキャラ変できるわね?」
「まあ、ひょっとしたらはるっぴのパワーアップにもつながるかもしれませんし。悪い話じゃないと思うけどなー?」
「うわこっちの投げた言葉のボール軽くスルーしたし。で、どうすんの、はるな? 一応話しくらい聞いてみる?」
そうですね。
確かに今のままだとアルステリアさんを倒すには心もとない感じで、もう人押しほしいとは思ってたんですよね☆☆少しでも力になるならいいかな敵意はあんま感じないし☆☆まーこちらも聞きたいことあるし☆☆
「うん、わかりました。じゃあ、どうすればいいですか?」
「ありがと! じゃあ、まずは、はるっぴが今使える魔法を見せてもらいたいなー」
「わかりました」
「じゃ、今後私のことはボクベー先生とでも呼んでください」
「ああ、うん」
メガネをキラーンとするボクベー先生の前で、私はメロお姉ちゃんと一緒に練習して習得した魔法をバシーン、プリーンと披露しました。
「なるほど。究極魔法以下のものはかなり使えるようですね! これを覚えるのにどれくらいかかりました?」
「多く見積もって4、5日ですね」
「ぶっほぉっ!? ま、マジすかっ!?」
「えっへん☆」
「私は、ひとつ覚えるのでも3ヶ月かかったのに。さすがはるっぴ! よっ大統領!」
誉められるとすなおに嬉しいけど、なんやねんこのヨイショ君っぷりは☆☆
「このペースなら、究極魔法や神階魔法も覚えらるかもしれませんね。禁断魔法とも呼ばれるの《プロミネンス・タルタロス》とか《ネクロハンド・アトモスフィア》を覚えられたら優勝もかなり現実味を帯びるんですが」
「あ、それ、使ったことあります」
「えっ?」
「直感詠唱で偶然発動した感じですけど」
「ちょとまて!! マジすか!! なら話は早い、ちょっとお手を拝借しますよ!」
そう言うと、ボクベー先生はまるで手相を見るかのように私の右手を握って引き寄せると、もう片方の手のひらを私の手のひらの上に重ねました。何をする気でしょう? ちょっと怖い★★
「一度使った魔法は遡及習得ができるのです。このようにすれば」
ポワア。
なにか暖かいものがボクベーの手から流れてきます。それがだんだんカラダじゅうに広がって、何やら目の前に走馬燈のように過去の私とカラスっぽいやつが戦ったときの映像が再生されて、ピカーンと何かがひかりました。そして、ポーンと使い方が頭に記憶されて、チーンとなってコーンとなった結果、
はるなは 《プロミネンス・タルタロス》 を覚えた!
はるなは 《ネクロハンド・アトモスフィア》 を覚えた!
はるなは 《アークリリース》 を覚えた!
はるなは 《ガルカ・ナガン》 を覚えた!
はるなは 《ルオーティーバ》 を覚えた!
まるでゲームみたいにあっさりお手軽無努力だよ☆☆
(何か使ったことない魔法まで一緒に習得してるんですけど、何ですかねこれ?)
「はい! これで、神階魔法と究極魔法をひとつづつ使えるようになったわけです! かなり身魂に負担のかかる魔法なので多用は難しいかもしれませんが罪属性のはるっぴならそんなにダメージを気にせず使えると思いますよ」
「すごいですね! とりあえずありがとうございます! ……ん、ちょっと待ってください」
「どうしたの、はるっぴ?」
「この理屈だと、直感詠唱でひたすら魔法を使い続けて、全部今のソキューしゅうとくすれば、あっという間にたくさんの魔法を使えるようになりませんか?」
「うーん、それはやめといた方が」
「え?」
「直感詠唱の危険性は、はるっぴもわかってるよね? 変な魔法、たとえば自爆魔法とか発動したら最悪死んじゃうわけだし。そもそも神階魔法のプロタルが発動したのは、ホント宝くじで1等前後賞当たるよりずーっと低い確率なんですよ。まさに奇跡の中の奇跡ってわけ」
「まあ、そうですね」そんな運良かったんだ。まさか人生の運を全部使い果たしてないよね★★
「あと属性の合わない魔法は、使えても威力が大幅に下がるんで覚えてもあんま意味ないですよ」
「なるへそ」
「まあ、とりあえずこれでアルステリアさんとはほぼ互角にやれるのではないでしょうか」
「ん? と、は、とは?」
「まあ、非常に強い罪属性なんですけど、弱点がないわけではないので」
「弱点?」
「はい。ひとつは、対になる〈邪属性〉。これは、お互いにとって特効になりますが、魔法少女に邪属性持ちはいなさそうなので、これは大会ではあんまり気にしなくてもいいかな~。ただ、もう1つが問題ですね」
「何ですか、それは?」
「罪属性は、対象に罪を着せることで威力を増す特徴がある。これは、対象に背負う罪が無いほど効果が高まります。簡単に言うと罪の意識の無い苦労知らずほどきくのです。エグザイルビーストみたいに悪さすること以外なーんも考えてない脳筋モンスターにも効果テキメンなんです!」
「へー」
「それはつまりですね、逆に言えば、もともとたくさん罪を背負ってる人、罪深い人には効果が弱まるってことになるわけです」
「えー、そうなんですか。罪を背負ってる人を見分けるのって、難しくないですか?」
「まあ、わかる魔法もあるにはあるんですが、多分すぐには覚えられないし、どのみち大会中の相手は選べないから、わかってもテンション下がるだけかもしれないし必須ではないかな~」
「そーですか」
「ま、やることはやりましたし今日はこの辺で! 次の試合楽しみにしてますよ、はるっぴ! では!」
そう言うと、ボクベーは笑いながらピューと走り去っていきました★☆ホント何なんですかねあの人☆☆でもまあこれで大幅なパワーアップがでたわけですし、とりあえず大大大大感謝です☆☆
よーし! アルステリアさん待っとれやぁ! 絶対ぶっ倒して氷漬けメロお姉ちゃんを何とかしてもらうからなぁゴシ☆彡
少しだけ触れていますが、アルステリアとアクラが戦ってアルステリアが勝っています。アクラはかなり強かったんですが、バリバリ水属性だったので氷魔法を操る相手にはめっちゃ相性悪かったのよ……マッチ運ってあるよぬ(アーケードゲーマー談)