第20話☆【準々決勝第1試合】~Sランク悪役令嬢だけど転生して異世界でも成り上がりたい夢を見ない~
いよいよ準決勝まで駒を進めたはるな。
対戦相手は超絶お嬢様魔法少女ヴィーナス。
金銭的には圧倒的優位な相手だが果たして……
「おーっほっほっ!」
こんにちは、はるなです☆いよいよ準々決勝まで来ました☆
今日の対戦相手は、くるくるカールもみあげがすごい蒼髪のお嬢様感ただよう魔法少女ヴィーナスだよ☆☆
「おーっほっほっほ!!」
なんか、いかにもって感じの笑い方でょ? もー、呆れるを通り越してリアルにこんなやついるんやなって感心するレベル☆☆
「おーっほっほっほっほ!!」
「あのー、いつまで笑ってるんですかー!? もう試合始まってますよー!?」
「あらやだ、失礼。 でも、ハラハラ焦るのは余裕のない一般市民のやることですわよ? わたくしのような気高き身分の者は、優雅に! 可憐に! エレガントに! ラインの川の流れのようにおだやか、かつ華麗に振る舞うものなのです!」
「いやー、ライン川ってまあまあ流れ激しいんじゃないかと。少なくとも日本ラインはけっこう急流ですよ?」
「おーっほっほっ! 細かいことは気になさらないことよ! モルダウもドナウもラインも利根川も、大きな視点で言えば川に変わりはありません。川だけに!」
「うっざ! さりげなくおやギャ(※おやじギャグの略)をいれましたね!」
「とにかく流れたら海に行き着きます。おーっほっほっほっほっ!」
こいつ昭和のお座敷リトルソングたいにまとめた上で笑ってごまかしたぞ☆☆まーおっほっほ自体は意外と耳ざわりが良い声優的ボイスなので何かクセになりそうだけどな☆☆
「ここまで、難なく勝ち上がってきたわたくしの才能には、自分で言うのもなんですけれど、我ながら惚れ惚れしてしまいます。優勝賞金など全く必要ないのですが、己の高みを目指すと言うプライスレスの崇高な目標を持って戦うという、この立場に甘んじないというスタンス! まったくアメイジングとは思いませんか?」
「いやー、自画自賛も甚だしいです。しかし、そんなにお金あるんですか?」
「よくぞ聞いてくれました! わたくしヴィーナス・シュタッツベルトは、エンターライズでも屈指の大富豪ルーエン・シュタッツベルトの寵愛を受ける、誉れ高き箱入り娘なのです!」
「あなたは箱からガッツリはみ出してますよ定期」
「家は500坪の大豪邸! 庭にはウォータースライダー付きのプールがありますの! 家自体は120階の高層タワーマンションで、自分の部屋が300部屋くらいあります! 屋上にはドバイのものに負けない天空から眼下を見下ろすプール、他の家屋に繋がっているプールもありますのよ!」
「どんだけプールあんねん! バリバリの水属性か!」
「ざーんねん、わたくしは地属性ですのよ! それはともかく、ほらご覧なさい、これがその写真ですのよ! マジッターに上げてるんでよかったらフォローしてくださいね! ペットのドラゴニュートちゃんたちも写ってますでしょ? ほらほら」
「いやいや、今見せなくていいですよココ喫茶店じゃないんで……ってゆーか、もしかしてSNS運営会社の株を全部買い取ったりとかしてませんよね?」
「ええ、この前お父様にお願いしてマジッターの株を5000ドル分購入して取締役の権利を得たんですのよ! けれど、やっぱり皆さんの表現の自由を侵害するナンセンスなことになる可能性もありますので、CEOの権利はキャンセルいたしました」
いやー、言ってることが本当だったらこいつテッスラヤベー奴かもしれん☆☆でも、話盛ってませんかね☆☆
「まあ、表現の自由をはき違えた風紀を乱す下賎な輩の排除には今後も協力するつもりですけど!」
「はいはい、やる気ありますね。んで、いつまで自慢話するんです? こちらには、さっきからズーっとスキだらけに見えるんですけど?」
「おーっほっほっほっほ! わたくしを甘く見てはいけませんわよ!! あなたとお話ししているときでも、この高貴良俗なる淑女は、猫の千里眼のごとく周囲を見渡しているのです」
「なんでネコ? もー、それなら先制しますよ! 《ベイティングブロー》!!」
「ぶべっ!?」
私の攻撃魔法を、ヴィーナスは、モロに食らって吹き飛びました★★千里眼とは一体★★こいつ、3回戦までよー勝ち残れたな★★
「や、やりますわね島根代表! この高貴なるわたくしの顔に、わずかとはいえ傷をつけるなんて!! 」
「いやー、ガッツリ擦りむいてますけど」
「まっ!? いいですわ!! わたくし、高鳴ってまいりました!! 燃えてきました!! このヴィーナス、全力でいかせてもらいますわよ! スペシャルゴージャスパワードスーツカモーン!!」
シュイン!
シュシュイン!
ガッシャーン!
おおっ!? 何か急に謎の鉄のかたまりが地面からいっぱい出てきてヴィーナスに貼り付いていきます!! そして!!
「装着完了ですわ!! 2000ドルをかけて開発したスペシャルデリシャスデリバリーパワードスーツを身に付けたわたくし! その名は〈スーパーフルメタルヴィーナス〉!!」
うわー、なにこのマーベルパチモン感☆☆
デザインした奴絶対アメコミ大好きだろ☆☆
しかも、この手のものはダサいのがお約束なのに、まあまあの出来なのがツッコみにくい☆☆
くっそちょっとうらやましー★★はるなもメタル化したいよう★★
「さあ、くらいなさい! マルチプルレーザー!」
手から光線を放つSFメカと化したヴィーナス。
もはや魔法ではない☆☆化学兵器だろそれ☆☆
とりあえず、発射速度が甘いから余裕でかわせるけどね☆☆こちらもカウンター攻撃しますよ☆☆
「くらえっ!《ツインギロチンスラッシャー》!!」
罪属性魔法のひとつで、平たい刃で敵を切り裂く魔法です☆
並の装甲なら真っ二つにするくらいに強力だよ☆☆
カンカン
あー、くるーく弾かれた★★
ハリボテじゃなくてガチの強化装甲かよちくしょー★★
「おーっほっほっほっほ!! 効きませんわ!! このパワードスーツは魔法を反射するグレミンタイト製ですのよ!!」
「セコー! 何かそれインチキくさくないですか? 思いっきり道具持ち込んでますよね!?」
「問答無用!! これは魔法!! お金は魔法!! お金があれば通常なし得ない事も成せる!! つまり、お金があれば何でもできる!! お金は夢を叶える魔法なのです!!」
「部分的にわからなくもないけど、たいがい間違ってる気がしますね~でも、一切迷いなく言われると何だか真実味でてくるのが何だかすごい」
「さあさあ! 我が栄光の前にひれ伏しなさい!!」
「この超リア充! 絶対倒しますよ! 爆発しろ!!」
何か、コイツには思った事を直で言っちゃいますね☆☆
しかしどういった方法を使いますかね~並の魔法は無効化しちゃうみたいだし。ただ、さっきからいろいろスピードが遅い。硬いんですけど機動性が全然ない重装歩兵みたいな感じなので、スキそのものは結構ありますね。瞬発的でなくとも爆発的な破壊力が出せれば、あの装甲を無理やり力でねじ伏せる方法も考えられます。そういった魔法は……あ、あるかもしれません。
「出でよ、罪を重ねし盾〈スタック・レファリー〉!!」
罪属性の上級魔法。右腕に黒い盾を発生させます。単純に攻撃を防ぐ能力もありますが、もう一つの効果が重要です。
「わたくしの攻撃を防ごうとお思いですの? おーっほっほっほ! このスーパーフルメタルデラックスヴィーナスはそんなに簡単に弾切れしませんわよ!? さあ、ミサイルレーザーのの雨あられをお喰らいなさい!!」
そう言ってホーミングミサイルとレーザーをバンバン発射してきました★★まさに雨あられってやつ★★もちろん直撃したらさすがにヤバいので、横にスライド移動しつつ、かわしきれないものだけ盾でカンカンと防ぎます☆☆ダメージはないけど振動がからだに響くなぁ☆☆しかし、そう簡単にと言うだけで弾切れはあるわけですね☆☆
『おーっと! はるな選手、ヴィーナス選手の熾烈な攻撃の前に防戦一方です! ここから巻き返せるでしょうか!』
ってアナウンサーの声が聞こえましたが、まだそんなに追い詰められてないですよ☆☆放送席からじゃ見えにくいでしょうが、攻撃がボンボン当たれば当たるほど盾の色がだんだん白くなっているんです☆☆これがどういうことか、もうすぐわかるでしょう☆☆まあ、練習ではその状態にできなかったので、私も今回初めて見ることになるんですけどね☆☆ぶっつけ本番の効果発動はスリルあるなぁ☆☆
「おーっほっほっ!! もうそろそろ観念してもよろしくてよ!? 弾薬の費用が節約できますから!!」
「まだまだこれから、です!」
「まだ抵抗を続けるおつもりですのね! そのおハート、打ち砕いてみせますわよ!! おーっほっほっ!!」
つーか、その有り余るお金を二億円くらいくれるってんなら喜んで白旗あげて降参するんだけどね☆☆あーでも、八百長はバレたら今より悲惨なことになりかねないから流石にやめた方がいっか☆☆つか、コイツここまで対戦相手を買収して勝ち上がったりしてないよね? よね?
とか考えてたら、いよいよ攻撃受けまくった盾の色がほぼ真っ白になり光だしました!
「よし、今だ! 溜め込んだエネルギーを放出します! 〈シールドパージ・アタック〉!!」
「なっ!?」
盾がどっと重くなると、ヴィーナスのものとは格が違う、超ごんぶとエネルギービームがビィィンと発射されました☆☆あまりの威力と衝撃と風圧で私も少し油断したら飛ばされそうな感じですムググ!
「ぐっ! こんなもの、私の装甲で!」
「ぐいいいい!!」
盾から出るビームは、まるで冬場にがまんしたオシッコのように止まりません☆☆自分でもとめられない壮大なお漏らしです☆☆例えが悪くてすんません☆☆
「えっ!? このグレミンタイトの装甲が!? どうしてなのぉぉぉ!?」
「リア充爆発しろー!!」
「い、いやぁぁぁぁん!!」
ボカァン。
ホントに爆発したリア充。それからしばらくして、やっとダダもれビームはおさまりました☆うん、究極魔法に匹敵する、侮れない威力でした☆
『ヴィーナスさん! 凄まじい攻撃を受けてかろうじて塵にはならなかったようですが、服もボロボロの瀕死状態でこれ以上戦うは無理でしょうか!? あ、でも立ち上がった!! 素晴らしい根性、執念です!!』
「をーっほっほっほっ……げふっ!? ……ほはぁ…」
『おーっと! 笑ったらすぐにクルクル回ってまた倒れたー! これぞまさしくバタンキュー! さすがにこれ以上はドクターストップ! 勝者は、はるなさん!! 大会のダークホースが予想をまたまたくつがえし準決勝進出です!!』
ワーッ(歓声)
ふっ、死ななかっただけラッキーだったな……金の力で押そうと思ったお前が甘かったのさ……世の中にゃあ、お金でかえないものってのがたっくさんあるんだぜ? もっと世界をちゃーんと見ろよ、世間知らずのお嬢さん!!
なんて言いたいけど、魔法少女らしくないので言いません☆
これで、残りは2戦☆☆次の相手はおそらく、アルステリアさんになるでしょう☆☆
気を引き締めて挑むつもりなので、みなさん是非ともこの成長目覚ましい魔法少女はるなを応援してくださいね☆彡
(最悪死ぬかもしれんけど、ここまできて引けるかっての!)
あ、最後にひと言。
おーーっほっほっほっほっ!!
……
……やっぱ、プロお嬢様のようにはいきませんね……
なおヴィーナスはここまでは普通に戦っていた模様。
余計な事しなければ勝てたかもしれないのに……令嬢、お嬢様系は咬ませ犬キャラ多い印象……