第19話☆【3回戦第3試合】~刀剣ランデブー~
3回でついに修羅のごとき強さを見せた剣士ウラノーマと、最強クラスの実力を持つ天才魔法少女アルステリアがついに激突する! ある種の頂上決戦の行方や如何に!?
ワータシハーステキナアジデス(キリッ)
ポーッポポッポッポッ☆ポーッポポッポッポ(プォーン)
トーナメントのマッチングの関係で2回戦が免除されて3回戦も突破できたラッキーな天才瞬殺魔法少女はるなです☆☆よって今回は観る専になります☆☆
私が今日観戦に来たのは、目玉も目玉、メロお姉ちゃんを氷漬けにして放置プレイしたアルステリアさんと、敵の魔法少女を容赦なく惨殺した剣士ウラノーマの対決です。とにかく、こいつらは決勝に軽く勝ち残りそうな実力の持ち主なので。特に目を凝らして戦い方をよーく分析しなくてはならないのです。これは、とてもマジメな話。
「どっちかが消えるのか」
よこに座るぴりんがぼんやりとした目で言います。あんさん、1回戦であっさり敗退したのは、命のことを考えたら悪い話でもないでヤンスすよホント。あの2人にぶっ殺されるくらいならある程度経済的にゆとらあるなら平凡な暮らしをとった方が良いし。ま、仮に1回戦勝ち残っても、先に私とマッチングすることになるのでその時点でボコられる運命だったんだけどね☆☆へへっ★★
「アルステリアさんも強いけど、ウラノーマは未知の強さよね。2回戦も相手が戦意喪失するくらいボコボコにやっつけてたし」
「あれ、あんまり横の繋がり無いんですか?」
「いやー、まあ魔法少女でも仲良しグループがあってそれ以外はそこまで交流がないって言うのもあるけど、あのウラノーマって子は特に縁がないのよね。愛想がないって言うか、感じは悪くないんだけど、いつも何か遠いところを見ている感じなの。心ここにあらずって感じで、同じ世界に生きてる気が、あんまりしないんだよね。話そうにも腕組みして拒絶オーラ出しまくってるし」
ぴりんの言いたいことは、大体わかります。
あの子は異質なんです。普通の魔法少女ではない何考えてるかわからない特異な雰囲気が漂っています。そして、だけど、私は、あの子の事を知っている。あの子も多分私の事を知っていて、向こうは異質に思っていないかもしれない。まあ、ぴりんの場合は何となく「話すに値しない」とか思われてそうだけど☆
いろいろ気にはなりますが、ぜったい戦いたく無いので、ここで負けてほしいの事に変わりはありませんけどね☆☆できれば相討ちダブルノックダウンするのが、最高です☆☆
『さあ、1回戦、2回戦で特に強さを見せつけた2人が、ここで対戦します! 果たして生き残るのはどちらでしょうか? それでは、試合開始ですっ!!』
アナウンサーもどっちか死ぬかもと思っているようですね~
では、ここからは、あの2人のやりとりを、アナウンサーではなく私がお伝えいたします☆☆
「ルーテルをあそこまでやるとは驚いたよ。きみが隅におけない事は良く判った」
「それは、誉めているのか、貶しているのか」
「見下せる相手だと思うかい? 油断をすれば私の首が飛びかねないと言うのに」
「……エグザイル・ビーストに情など通じはすまい。世界を守るため、魔法少女は強くなくてはならないのに。あのような驕り高ぶる愚か者はこの場には必要ない」
「修羅だね、君は」
「御託は終わりだ。始めるぞ」
ウラノーマはスチャッと鞘から刀を抜き、構えます。それにしても、あの刀、いい仕事してますねー☆鑑定したらうん百万するかもしれない☆1回戦は居合い抜きのスタイルからはじめましたが、今回は違うようです。
「その構え、天然理心流かな?」
「この〈大和守秀國〉で、貴様の威勢をも斬り落とそう」
「いいね! その刀は、まるで、君の写し身のように鋭い」
対するアルステリアさんは両手に冷気を集め始めました。あれは、おそらく……
「ならば、その気持ちに応え、剣には剣でお相手しよう!《ツインアイスソード》!!」
メロお姉ちゃんと戦った時にも使った氷剣を二本生み出し、両手に握りました☆二刀流とは、宮本武蔵ごっこでもするつもりでしょうか☆
「アルステリア、まさかそんな氷細工でこの真剣を捌くつもりか?」
「氷の刃の切れ味、侮るなよ」
「随分な自信と余裕。それは天才と煽てられての慢心からくるものではなかろうな。ならば、真っ向からお相手いたそう」
キィン!
言い終えたかどうかと言う段階で、まるで瞬間移動したかのように、ウラノーマはアルステリアに肉薄し、一閃を放ちます。それをアルステリアさんは、咄嗟の判断で二本の氷剣の刃を目の前で×字に重ならせて防ぎました。そして、前方に押し付けると、カウンターで三連続で斬りつけます☆☆
キン!
キン!
キン!
これを全て防ぐと、ウラノーマは刀を車輪の刃のようにして右に1回転した後、今度はフェンシングのように連続で突きをかましました。開始早々お互い苛烈な攻めを見せていますね。ここまでの試合の中ではもっとも激しい争いになりそうです☆☆にしても、ウラノーマは1回戦から今んとこまで物理攻撃しかしとらんけど、あの子ホントーに魔法少女なのかえ?
ガン!
ガキィ!
バリィン!!
息つくひまもない鮮やかな剣劇が繰り広げられます☆しかし、こうやって打ち合いになると、やはり耐久力についてはアルステリアさんの氷の剣が劣りますね★美しく輝く光の結晶を撒き散らしているうちに、2本のうち1本が刀に負けてパリンと砕け散りました★しかしアルステリアそんなもんでしょって感じで多分じゅーじゅーわかってたに違いありません☆
「そうか、ならば、これはどうだ? 《絶対零度剣》!!」
すぐさま新たに氷の剣を生み出すアルステリアさん。しかも、さっきのより長くてカッコいい見た目をしています。名前はラノベ大好き中学2年生夏の過ちみたいな名前ですが、気にしてはいけません☆☆
「まるで無限剣製だな。だが、脆いものを続々と生み出したところで何になるものか」
「言っておくが、強度はさっきよりも上だ」
「ならば最初からそれにすればよかろうに」
ウラノーマ、それは確かに正論ですね~ただ、何も考え無しにこんな一見したら無駄な行為をする相手とも思えないですよ☆
「そらそら!」
さらに、苛烈に攻め立てるアルステリアさん。ウラノーマはそれを冷静に捌き続け、反撃の隙を見付けては高速で切り返します☆すごいのは、両方ともほぼ自分の体に攻撃が当たっていないこと。あの素早い攻撃を全て凌ぎ続けるなんて圧巻の回避能力です★★他の魔法少女が何とかできる相手じゃねーぞコイツら★★
「やるな。氷のくせに意外と硬い」
「密度と込められた魔力が高ければ十二分な凶器になるのさ!」
「言ってくれる。だが、残念ながら、それでも脆い」
バキイン
たった一度の斬擊でアルステリアさんの両方の剣が同時にぶっ壊れました。そして、ウラノーマはさらに斬りかかります。
「斬る」
「つっ!?」
アルステリアさんの服の、肩のあたりがバッサリと切り裂かれました。
魔法少女の戦闘衣装「オルタナティブ・エンハンスド・ドレス(通称:OED)」は装着者の魔力に応じて耐久性能が向上します。今の一撃を受けてあの程度の傷ですんだのは、ひとえにアルステリアさんの魔力が高いからでしょう☆エメリスやぴりんみたいなレベルだど、多分体が裂けて死んでる状況かな☆
「流石だ。この私の体に傷を付けるとは」
「その上から目線の物言いをする癖、直した方が良いぞ。アルステリア」
「ああ、すまないな。君に失礼な態度だったかな。じゃあ、お詫びとして、ここからは泥臭くいかせてもらうよ!」
「何……?」
「《ソルト・ロトン・フリーズ》!!」
アルステリアさんの魔法で、ウラノーマの刀の刃の部分に濁った茶褐色の水が纏わりつき、みるみる凍っていきます。
「君の刀は名刀に違いない。けれど、まったく刃こぼれしていないわけじゃないのでは? なぜなら、今も氷の剛剣と打ち合ったからね」
「貴様……もしやそれが最初からの狙いか?」
「どうかしら」
パキイン!
刀の刃が砕け、弾け飛びました。これは、おそらく急速に刀身体を劣化させたと思われます。鉄も錆びたら(もろ)脆くなりますのでその要領だと思います。理科の授業なんてまともに受けてない魔法少女ですが、まあそれくらいは分かる感じです。とあるおじさんの錆びた自転車が走行中に真ん中からボキッとへし折れたのを見たことあるし☆
「秀國が、砕けただと……」
「どうする、もう一本刀はあるみたいだけど。それとも……」
「そうか、ならば、ここまでだな」
「えっ?」
ウラノーマは、右手を上げて観客席の方を見ました。これは、ギブアップ、途中棄権及び敗北宣言です! ど、どうしてこのタイミングで!?
「なぜだ、ウラノーマ! なぜ、戦いを止めるんだ?」
「これ以上の戦い、こちらに勝機は無い。降参する。それだの事だ」
「君の実力なら、そんなことはないはずだが?」
「刀による攻撃が通じない以上、単純な魔法での戦いでは勝機はこちらにはないのだ。理由としては十分だろう」
あんなに殺気に満ちていたのに、あきらかにスッカリ戦意を失っています。もしかして、魔法は全然使えないのかなぁ? それとも、くそ高価な刀がぶっ壊れたからもう一本壊されたくないとか? なら気持ちは多少わからなくもないけど、それにしても何だか不可解な行動ですね。流石のアルステリアさんも呆気に取られた様子です(汗)
『……は、はい、はい! そういうわけで、勝者はアルステリアさんに決まりました!!』
結果が決まると歓声とブーイングが同時に起こりました。まあ、雑にみればチキンムーブだし折角盛り上がったところで終わりじゃ。観客の皆さんはさぞかし消化不良でご不満な事でしょう~★★チケット代返せやゴラァって言う人がいそう★★まあ、はるなにとってはヤバイ奴が1人消えてくれたから、嬉しいの一言に尽きるけどね☆☆
「残念だな。君とはもう少し戦いたかったのだけど」
「……残念、か……私はそうは思わない。刀は高価なものだからな。無意味な継戦で無闇に壊されては困る」
「それは君なりの洒落かい?」
「それは、想像に任せる。それでは、今後のご武運を祈らせてもらうぞ」
刀以外は傷ひとつ付かないまま、ウラノーマはアルステリアに背を向けて退場していきました★★わからない、わからないですホント何なのよアイツ★★
「わかんない! ホント何なのよアイツ! 試合投げるなんてサイテー」
うわー、ピリンにも連鎖しちゃいました★★韻を踏んじゃった感じで放置犬フン並に不快です★★ケッ★★
「な、なによ、その不服そうな顔は! さっき焼きそばとスムージー買ってあげた恩を忘れたんじゃないでしょうね?」
「わ、わすれてないです!」
「それはともかく、はるながアルステリアさんと戦う確率は高くなったね」
「うん」
まあ、ギリギリ及第点最低保証的な結果だとは思いますが、ものすごーくモヤモヤするよ★★観客のみなさん他みんなそうだろうけど、私の場合、ウラノーマが私の知ってるような知らないような人物なので、余計モヤモヤするわけです★★いろいろ謎すぎるんや★★あー、こりゃ今日の晩は布団に入ってもなかなか眠れそうにねーわ★★明日寝不足確定★★
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※なお、この日の夜は21時頃にスヤァと寝て次の日は爽やかな朝を迎えたのでしたたテヘペロリン☆
大幅なミスがあり18話と19話をごっそり入れ替えるという改訂を行いました。大変申し訳ありません~
2回線……