第13話☆【1回戦第1試合】色々とギリギリな戦い
いよいよ始まった魔法少女交翅宴!
さまざまな陰謀が渦巻く(?)中、島根代表代理はるなが初戦で戦う相手は……
うわはー、魔法少女はるなです☆☆
いよいよ戦いがはじまるよ☆☆練習の成果を見せるときです☆☆
薄暗い通路をとことこ歩いたその先に見える光に、私は飛び込みます。すると、開会式よりも沢山の歓声が、私を迎えてくれました☆☆ブーイングもありません☆☆よく、教育されたお客さんですね☆☆☆☆
「はるなちゃーん、がんばってねー!」
観客席の前の方からメロお姉ちゃんの声が聞こえます。ちなみに、魔法少女はちゃんと特別な部屋で観戦できるのですが、お姉ちゃんはわざわざ応援しに来てくれたみたいです☆☆ぴりんも付いて来て何か言ってますが、それはスルーして、手をブンブンふって答える私☆☆
『さあ! いよいよ魔法少女交翅宴がはじまります! 栄え第1回戦第1試合は、千葉代表エメリスさんと島根代表はるなさんです! 』
ワーッ!!
オーッ!!
人気声ばりのアナウンスでガッツリ盛り上がる会場☆☆お客さんは私よりノリノリです☆☆観る専は気楽で良いよね☆☆
んで、私の対戦相手ですが、カチューシャをしたうえに髪を後で束ねて三つ編みにしたこげ茶色の髪の何だかエルフ感が漂う美少女。服装はやや、大人っぽいかな? ただ、それよりもまず、こいつは開会式のときからんできたおさげ野郎の後でケタケタ笑ってたんですよねーあいつの仲間と考えるとクソ臭しかしません★★★
「あなたが、私の相手なんてね。フフ、幸運だわ」
ほらな、さっそく悪党フラグ立ったし★★
「聞いてるわよ。あなた、例の杖泥棒なんですってね。追放までされた犯罪者がよくものこのこ参加できたものよ。今持ってるその杖も盗品かしら?」
「違いますよ!」
「フフ、大変悪いのだけれど、汚い盗人にはさっさと退場していただかないとね」
よくもまあそんな噛ませ犬的台詞を吐きますよね。負けて恥ずかしい思いしても知らんよ?
『それでは試合開始です!!』
館内放送で声優ばりな声したアナウンサーがはじまりを告げると、ピーっとサックスフォンみたいな音が鳴り響きました。うわー、いよいよですね緊張しますね☆☆
「犯罪者ですし、最悪死んでも仕方ないでしょう。ご覚悟なさいませ。私の召喚せし英雄が、あなたを葬り去るでしょう」
そう言うと、千葉の噛ませ犬女エメリスは、手をパーにして前にかざし目を瞑りました。
「我と契約せし英雄よ。いま、此処に姿を顕現せよ!」
んー、何かなー★★魔方陣が現れて、光ってブワーッてなってるんですが、これって何かさー見たことあるんだよねー★★いわゆるキガイカンってやつ★★
「……お呼びですか、ご主人様」
ああ、何か某有名バトルマンガに出てきそうな筋肉を何かの毛皮で半分隠してるノリノリさらけだして大きな棍棒を持った屈強な男が出てきたよ☆召喚OKなのかよって点はともかくとしても、聖杯を巡る戦争に出る気満々の能力してんな★★マスターって言ったらやばかったですね★★知ってる人にとってはギリギリ感が半端ないです★★
「ヘラクレス、良くきたわね」
「ご命令を」
うわー、そうかそう来たか★★ギリシャ神話の英雄来たか★★またギリギリの線な奴ををぶっこんで来たな★★それで、言葉が話せない狂戦士だったら アウトですよ★★まあ、どっちかと言えば見た感じは栄光の方のヘラクレスに近い感じですけど……あはあ、それはそれでヤバイですね★★
「あの、ボケッとしたのを叩きのめしてちょうだい!」
「承知した! フンッ!」
ヘラクレスが棍棒を縦にブンとひと振りしました。それだけで衝撃波がズバババッと起こって、それが私めがけて飛んで来うわー!!
ドガァン!
な、何とか避けましたが、衝撃波は観客席の方まで飛んでいきましたよ★★ただ、どうやら強力な結界張られてるみたいで、観客席の人たちには当たる事はない仕様のようです★まあ、当然ですね観に来ただけで死ぬのはありえません★★私は残念ながら今の当たったら死ぬ可能性大です★★
「チッ、はずしたか」わかりやすく悔しがるエメリス。
「舌打ちはいけませんね! 舌打ちしてる時点で負けです!」
「ほざくなよ、盗っ人小娘!」
「本当の事を言ったまでです」
ちょっと挑発してましたが、なかなか分が悪いですね。2対1なだけでもまずいんですが、何せヘラクレスと言えば数々の(一部ヤバい)武勇伝を持つ半身半人の英雄です。肉体的身体的な強さは桁外れなので私みたいな可憐な少女が真っ向から戦って勝てる相手ではありません。暫くは舌戦に持ち込んで誤魔化すしかありませんね。
「ほう、この子供が盗人とな」
「そうよ、ヘラクレス! こいつは国家的に重要なものを盗み出したの」
「なるほど、それは面白い。おお、この吾輩も、かつては色々な罪をおかしたものだ。師を殺し、大切なものを奪い、誘拐もしたことがある」
「へ?」
意外だったのか、ポカンとするエメリス。いや、自分で召喚しといてそんなことも知らないんですね~ギリシャ神話の方々はなかなかエグいことしまくってるんですよ。ある意味思考無しに暴走するどっかのヘラクレスなんかよりずっと野蛮と言えるかもしれません。
「敵ながら気が合いそうだな、豆粒のような娘よ」
「いやー、ヘラクレスさんみたいな英雄にそう言ってもらえるなんて嬉しいですね」
「お前も、このまま生きればいずれその報いをうけるだろう」
「え、そ、そうなんですか」
「ゆえに、我輩がこの場で命を奪うとするかな」
ヒャワー!? 棍棒構えないで!! 戦闘モード入らないでー!!!
「さっさと冥府に旅立てぇ」
「キャー!」
ドカーン!
ドカーン!
うわー殺されるうヘ(゜ο°;)ノ
にげろや逃げろうヘ(゜ο°;)ノ
「まーてー!!」
全速力で逃げる私★★
動きはそんなに早くないけど、このままでは、体力的にいずれ追いつかれてしまいます。あのぶっとい腕で掴まれたらメキメキメキメキボキボキボキボキボキボキして死んじゃうよーどーしよどーしよー
「はるなちゃーん! 魔法を使うのよ!!」
メロお姉ちゃんの声がします☆☆アドバイスアリガト(^人^)
魔法、そう私は魔法少女なのでしたテヘペロ☆☆せや、この前沢山覚えた魔法のなかに使えるものがあったはず……うんうん、あれを使いましょう!!
「我が魂……この加速に捧ぐ……<サクリファイス・アクセル>!!」
それを唱えた途端、足にビリビリした感覚が生まれます。そして同時に、体がビックリするくらい身軽になります☆☆
「とう!」
まずは空に向かってジャンプ☆飛び上がったその高さは会場を見渡せるほど。しかも、空中で魔力を放出することにより、さらに滞空時間を延ばすことが出来ます。つまり、やっと曲がりなりにも空を飛ぶ技術を得たのです。魔力の消耗に未知的な部分はあるけど走るよりはマシですね☆☆
「羽無しで浮くとは小癪な事をする!」
ヘラクレスさんは大きな声を出します。あー、どーも空を飛べないみたいですね☆
「撃ち落としてくれるわ!」
ブンッ! ズバァァ!
うわ、リング状の真空波を飛ばしてきました☆
流石に対空技くらいはありますよね☆だけど、そうはイカのキン●マです☆☆ミ
ブン! ズバァァ!
ブン! ズバァ!
そりゃ、当たったら大変です☆☆けど、距離が離れすぎてるんですよ☆☆攻撃が届くのに間隔がありすぎるんです☆☆ガッツリ加速した私ならこれくらい容易にかわせます☆☆
「こらーー降りてこぬかーー卑怯ものーー!!」
いやいや怒鳴られても、2対1で戦ってる上か弱い子供を相手にしてる超英雄にそんなこと言われる筋合いはありませんよ☆☆さーて、時間は稼げるとしてどうやってアイツらを倒すかですよねー何せヘラクレスはメッチャ頑丈そうだし……ん?
いや、ちょっと待った。
ヘラクレスは確かに堅くて強いだろうけど、召喚したアイツ、エメリスの実力はどうなんだろ? 何かさっきから命令だけして何もしてないんですよね~口たけじゃなくて何かで攻撃するなり強化魔法をかけるなりすればいいのに、その程度も出来ないんでしょーか? だとすれば、エメリスを狙えば何とかなるかも!! よーし、試してみますよ☆☆
「我が腕より放つは、贖罪の魔弾! <シンズ・スフィア・ブレイク>!!」
目標に向けた杖の頭から、白い煙を発たせて燃え盛る黒い玉が現れて、ドンと言う大砲のような音と共に即座に飛んでいきます☆☆普通の人ならこの攻撃魔法使うだけで体がボロボロになるらしいけど、はるなは罪属性だから少ーし痛いだけで大体へっちゃらです☆☆
ドカーン!!
直撃したのか地面に当たったかはわかりませんが、結構な大爆発が起こりドクロみたいな煙(?)がジュワーと上がってきました☆☆効いたかな~当たったらひとたまりもなさそうだけど☆☆
「ご、ご主人様!!?」
ヘラクレスが驚いてます☆☆
これは、手応えありですね☆☆
「わ、わたしの服がーー!!」
うっひょー☆☆何とか生きてた★★
魔法の服が守ったんですね★★ただ、もうブラジャーとおパンツしか着衣してない18禁2歩手前週刊少年漫画レベルのサービス状態になってます☆☆なるほど下着は紫ですか、うっわー大人な高級感ですね☆☆ただし、胸は、あまりない☆☆
「きゃー! 見ないでー」
うわー、今さら手で隠しても無駄でしょうに☆☆もはや完全無防備じゃん☆☆このまま放置プレイもありですが、マジな試合だし、さっさととどめさしたろか☆☆
「<シンズ・スフィア・ブレイク>2発目!!」
「な、何で私がこんな目にー!?」
ドカッーーン!(吹き飛ぶ)
クルクルクル!(回る)
パタン!(地面に打ち付ける)
ガクッ……(気絶する)
『(ピーッ)そーこまでーー!! 勝者は、島根代表はるなさんでるぇーーす!! 』
『ワーッ!!!』※会場一同
アナウンサーの人なんでサッカーの試合みたいに巻き舌しましたかね? まあ、それは良しとして初戦突破です☆☆大勝利ブイックトゥリー(^-^)v☆☆
さー、終わったので地上に降りましょう☆☆
シュタッ☆ミ(※着地音)
「こーーむーーすーーめーー」
「ほわっ!?」
Why? なんで、ヘラクレスさんまだいるんですカ? 召喚主はやられたんですけド……試合終わったんですけド!? 消えてない上殺す鬼満々の顔してるのどうしてなのかなホワッツジャパニーズピーポー!?
「よくも、我輩を無視してくれたなあーー卑怯者がーーー!」
「ひゃーー!!」
「なんてな」
「えっ!?」
急にニカッと笑うヘラクレスさん。
あービックリした……心臓が吹き飛ぶかと思ったよ★★
「卑怯も戦術の内よ。我輩も昔はよく狡い真似をしたものだ。しかし、それは勝利に対する貪欲さでもある」
「あ、はい」
「我が主人は、その点においてお主に後れをとっていた。ゆえに、この結果は自然の流よ」
あれ、このヘラクレスさんもしかしていっぺん死んで神になった後のヘラクレスさんですかね。敵を誉めるなんて、流石は英雄☆☆寛大な御方です☆☆
「小娘、お主との戦いはもっと先、成熟してから行うとしよう。それまで生きておれよ」
「はい」いやー、正直二度と戦いたくないんですが。
「では、さらばだ!」
そう言ってヘラクレスさんは光と共に消え……ません。
おいおい、なんでですか。ふつーこの展開だとフェードアウトですよね。召喚したままになるとか、まさに「ありがた迷惑」です★★★はよ、消えろや★★★
「むう、何ともばつが悪い」
「ですね」
「仕方ないな。小娘、せっかくだから御主人が回復するまで、我輩の武勇伝でも聞かせてやろうか?」
「いや、大体知ってるんで結構です」
「いやいや、書物に書かれているものは大分真実とはかけ離れているものぞ。ヘラ様との一件とてあんな酷いものでは無かったし……さあさあ聞くがよい……」
結局私は、その後2時間くらい控え室で、真のヘラクレスの栄光を聞かされたのでした。面白いには面白かったんですが、何か疲れてあまり頭に入って来なかったよ★★ヘパイストスだけディスりが長かったのだけは、すごく記憶に残ったけどね★★★★