第12話☆栄冠は誰に耀く!?
自分がレアな属性「罪属性」であることがわかったホームレス魔法少女はるな。短期間で沢山の(おぞましい)魔法を習得し、いざ「魔法少女交翅宴」の場に挑む!!
こんにちはー☆☆
島根代表(代理)の魔法少女はるなです☆☆
私は今、兵庫県にやってきてます! はじめての近畿地方なので、しばらくエセ関西風に喋らしてもらうで☆☆
「あーあ、せっかく来たんだから三宮とか行きたいんだけどな」
岐阜県代表のぴりんは、気の抜けた事をほざきよった。
これだから観光気分のペーペー田舎もん魔法少女はあかんのや☆☆兵庫ってったら三宮より神戸の港や中華街やろが☆☆☆☆竜鳴軒のホーホー切麺食べてみいな☆☆めっちゃうまいで☆☆ま、ワシは食べたこどないけどな↗
それはさておき、ワシらがいま居るんは西宮にある我らがタイガースの本拠地である甲子園球場(こうしえん球場)! やなくて(バシッ)、その並行裏世界に作られたコロシアム「交翅宴求場」や☆☆何か1周回ってダサい名前やのお☆☆成人式にリーゼントで来るようなヤンキーに命名してもらったんかいな☆☆そうかいな☆☆
「人口太陽に青空までちゃんとつくってあるね。随分手の込んだ事しますよ」
「この世界含めて造るのに2年かかったそうよ」
「それって、エンターライズの税金を使ってるんだっけ」
「そうよ、ぴりんちゃん。普段から税金を払ってくださる皆さんには感謝しないとね」
「直接還元したほうが良いような気がするけどね」
せやな。このアホボケナスでもわかるわな。ひーこら働いとる庶民の金でこんなもん造っとってええんやろか? 次の選挙で惨敗してもしらんぞ! と、言いたいんやがエンターライズは日本と違って政府じゃなくて大魔道士さまが実権を握る一種の独裁体制なんや。逆らっても力でねじ伏せられる実力主義の社会って言っても過言やあらへん。だから、反感持ってるヤツも多いやろな★★一応安定した治世を保っている点は評価できるが、停滞と腐敗は避けて通れそうにはない政をしているのは間違いない★★今回、こんなことを企画したのも、なんやらそういった政治的事情もあるんかなって思う★★
まー、しかし、あのコロッセウムと後楽園球場を足して2をかけた……なにかけとんねん(バシッ)な建物といいその周りに立ち並ぶ屋台とガヤつく人びとを見てると、お祭りイベントの色が強い来はするな☆☆
「これだけ、人が集まるなんて思わなかったわ」
「そうですね。こんな規模の大イベントだとは思ってなかったです」
どーせ、裕福なエンターライズの奴らが来てるんやろな★★
向こうは日本と比べてると規制が厳しくて娯楽が少ないし、こうなるのはわからんでもないわ★★どーせ普段はヒマしてるんやろ★★いつも餓えに苦しみながら生活しとるワシを、ちっとは見習えっての★★★しかし、ええ匂いがするなあ~屋台で売ってるたべものどれもうまそうやで~☆☆マジで腹減ってきたわ★★★★
「はるなちゃん、なにか食べる?」
「え、ええんか……じゃなくて、いいんですか?」
「ここに来るまでになにも食べてないし、開会式中は食事できないから。お姉ちゃんが買ってあげるわ」
「わーい」
あんた仏様やー。ワシ普段はコンビニのゴミあさって残りカスくったり、10円のうめー棒1本で済ませとるさかい、こんなありがたいことはないで☆☆
「……あんた、1番高いの選んだでしょ」
「はむはむ」
ぴりんの言うのは間違いやない☆☆ワシはメロ姉の親切に甘えて、ついつい日本円で千円くらいするマイマイソーセージを選んでしもた☆☆エンターライズのB級グルメでは最高峰に位置する逸品で、ハグドーイノシシの肉を腸詰めにして、サノヤ樹のチップで炙ってから丹念に焼くという手の込みよう。見た目は名前のようにでんでん虫が棒に刺さったみたいなんやが、かぶりついた瞬間きつね色になった皮のパリッと言う香ばしさと、舌に染み渡る肉汁のジュワーと深い旨味が、それはもうたまないうまさなんや☆☆こんなん食べたらしばらく他のソーセージ食べられへんわ☆☆もはや時を忘れます☆☆
「おーい、何幸せそうにぼさっと突っ立ってんのよ? ほんと、あんたってビンボーくさいわね。行くわよ。食べるのは歩きながらにしなさい」
「ほわい」
はたから見たら、ワシらお祭りに来た近所の女の子達にしかみえんやろなと思いつつ、人混み掻き分けて進む。戦いの始まりを前にするとやはり緊張感あるなあ☆☆旅の始まりの、あの体に走るわくわくぞくぞくする感じに似とる……あー、そろそろ疲れたので元のしゃべり方に戻りますね☆☆
「ようこそ、いらっしゃいました」
交翅宴求場に入ってすぐ、私たちはひろーいロビーの受付に向かいました。するとデラべっぴんなお姉さんが、にこりと微笑んで私たちを迎えてくれましたよ☆☆キャビンアテンダントさんみたいな服装からしてセクシー☆☆
「参加者の方ですね」
「はい」
メロお姉ちゃんは、まるで保護者のように慣れた感じで対応してくれます☆☆頼りになるなあ☆☆旅行に行くときは絶対同伴してほしいです☆☆行く金はまったくありませんけどね☆☆
「では、あちらの専用口からお入りください」
一般のお客さんは向こうで列を作ってますが、私たちは悠々と別口から移動できます。何だかコミケの売り手と買い手の違いみたいですね☆☆あれも売る方はサクッと入れるのですよ。フラゲはできませんけど☆☆
専用通路を抜けた先には控え室や自販機ルームなどがありましたが、係員の指示でまずは「闘技場」に行きます。ようは、試合をするところですね。
青い空をのぞかせた、グラウンドのような砂地。
甲子園の中より広い気がしますが気のせいでは無いと思います。何か競技をするためと言うより。戦いを行うために作られた感じがするつくりで、観客席などの装飾は古代ローマ建築とかそんな感じですが、大きな映像表示版や電子時計が付いていたりと、以外と近代的なものを
「おう、来たか!」
そこには、この前お世話になった新潟県担当の魔法少女アクラさんを含め、色とりどり、個性様々な魔法少女の方達がいました。
「聞いたぜよ! お前さんが島根の代理だってな」
「はい」
「まあ、どこで当たるかわからんが、そんときゃ、よろしくな」
私はガシッと握手をしました。
この人やメロお姉ちゃんは、非常に感じの良い方です☆☆ただ、他はそうもいかなさそう。
「なーに? このイモっ子」
おさげみたいな髪型の、いかにも高そうなドレスを着た女の子が高慢ちきな態度で、つかつか私に近づいてきました。
「あのブスも大概だけど、まさかこんなのが代理だなんて。しかも、何かくさいんだけど~」
うわ、この一重まぶたイジメっ子的な台詞吐きやがった。碌でなしフラグ発動ですね。こーいう言葉の暴力振るうやつを逮捕する法律作ってほしいですマジで★★横にいる後で髪まとめてる奴もにかにか冷たい笑を浮かべて不快です(`´)
「やめなさいな、可愛そうでしょう? フフッ」
「そーね、どーせすぐにいなくなるんだし」
あー、ムカツク! オメーら実戦で叩き潰したるから覚悟しとけや☆☆ペッ☆☆
「ふんっ」
あれ? なぜかぴりんも怒ってるよ。
自分でも、結構暴言吐くくせに、他がやると怒るんだ☆☆やっぱりそういう人なんですね☆☆
「あら、どうしたの?」
「ルーテル。あんたこそ、そんな油断してたらすぐ負けるよ?」
「ふーん。あなたみたいな単純単細胞が何を偉そうに」
「本当の事を言ってるつもりだけど? あんたと当たったらゼッタイ私が倒すし」
「へぇー」
「なに、その態度! 大して実力ないくせに!」
「……なんで、すって? 今、何て言ったの? 岐阜のド田舎担当のクセにクソ生意気な!」
「そーいうの聞き飽きましたあ! もう少しひねった返ししたらどうかなー見栄っぱりバカウ○コ!」
はじまる前からヒートアップかよ。いいぜ、もっとやれ☆☆どーせならこの時点でやりあって大会から摘まみ出されてください☆☆
「ぴりんちゃん、ルーテルちゃん、その辺にしておきなさい」
「むう」
「チッ」
おや、メロお姉ちゃんにたしなめれたら二人ともクールダウンしましたよ。流石は姉ちゃん☆☆徳の高さがうかがえます☆☆
『魔法少女の皆さん! 会場の中央にお集まりください!』
おー、いよいよですね。
みんなまん中に向かって歩いていきます……ん? あそこにいるのは?
紅の長髪。
剣士のような格好。
静かな瞳。
他の子は見たこと無いけど、あの子だけはどこかで見たことがあります。えーと……どこだったっけ……うーん、思い出せない★★★★ま、あんまり気にすると鬱になるから今はこのへんで考えるのやめるのが吉ですね☆☆☆☆メンタルヘルスエキスパート魔法少女はるな様は冷静なのです☆☆☆☆
『それでは皆さま、開会式を行いたいと思います』
声優ばりの綺麗なアナウンスがこだますると、観客席から沢山の歓声と拍手が起こりました。中にはピーと笛か何かの音もまじってます。マジこいつら楽しんでますね☆☆うやましい身の上です☆☆私だって、あんたらみたいな立場だったら絶対観る側を選ぶわな多分☆☆
『皆さん映像表示板をご覧ください』
すなおに、巨大なテレビモニターと言ってほしいですね~まあ、あれは地球のそれとは構造が全然違うので無理はないのですが……うわっ!?
「魔法少女諸君、観客の皆さまよくぞ交翅宴へ参られた」
超大画面にいきなり金歯ギラギラジジイの顔アップ写すのやめんかい! マジビビったわ!! いやもう笑わせる気だろこれ!!
「このローザルフから、直々に礼を言わせていただく」
まあ、この方は何ですか、エンターライズで1番偉い大魔法使い「エンシェント▽ハイマスター」なのです。まあ、見た目がしわがれ爺ちゃんだから尊敬する人としてはビミョーですが、とってもすごい人ですよ☆☆☆☆ちなみに、私にカサンドラの呪いをかけたのも、私を追放したのもこの人です★★★★
静かになる観客席、膝をつく魔法少女一同。まー、当然です。江戸時代なら将軍様みたいなもんですし。不敬なんかしたら私の二の舞になりかねません★★★★まあ、一人ひとりの態度を見てるかどうかは怪しいですが★★★★
「さて、今回このような事を起こしたの理由、多くの者が知っていることであろう。昨今のエグザイル・ビーストの出現や、魔物達の凶暴化、闇滅星の出現は、我々エンターライズに住むものについて非常に大きな脅威となっている。また、これらは何かの予兆である可能性は高い、最悪魔王なる存在も関わっているやもしれん」
なかなか深刻な事態ですよね。まー、あのじーちゃん達にも責任はありそうですが☆☆
「時代は、若く強き魔法使いを早急に求めている。より強き者、嚢中之錐を見だす必要があるのだ。よって、今まで封印してきた魔法少女どうしの戦いであるマジックバトルアリーナを改め、魔法少女交翅宴を開いた次第である」
いやー、強いはともかく若けりゃいいってわけではないと思うんですがねーさっきの魔法少女とぴりんみたいにクソはクソ、腐ってるやつは腐ってるんです☆☆甘めーなジジイ☆☆
「正直、この判断に同感を抱かない者もいるだろうが。これは我々の決意である。ゆえに少し脛に傷があろうと、参加を許した者もおる。誰とは言わんがな」
ギクッΣ
あいつまさか、人の心を読みやがりましたか? もしかして、私の事がっつり見てるんですか目をつけられてますか★★うわー、やっぱり私って有名人ですねー★★悪い意味で★★
「さて、日本を担う魔法少女達よ。すでに周知であろうが、これからはじまる戦いは、模擬戦ではない。実戦だ。つまり」
ゴクリ
「最悪相手を殺しても、罪には問われぬ」
オ、オエーッ!?
ま、マジか……いや、メロお姉ちゃんから大体聞いてましたけど、こーも、ハッキリと殺人OK出ますか★★★★いいのかなあ、このジーさん日本で例えれば総理大臣レベルの人なんだけど★★★★やっぱエンターライズは結構ヤベエ世界だわ★★★★
「みな最善を尽くし、全力を尽くし勝利を掴みとるのだ。健闘を祈る」
『ありがとうございました。皆さん、ローザルフ様に盛大なる拍手を』
ぱちぱちぱち。
別に促さんでも、みんな拍手するって☆☆あのジジイは超お偉いさんやぞ☆☆下手に逆らったら、財産没収されたり牢屋にぶちこまれたり私みたいに追放されたりしかねんしな☆☆
「だれがジジイじゃバカ者!」
ひゃっ!?
いま、何か直接あたまの中にメッセージが飛び込んできたんですけど……気のせいかな、気のせいだよね……
『それでは、次に、選手宣誓を秋田県代表の魔法少女アイラさんにしていただきます』
はい。と、茶髪の魔法少女さんが「拡声魔法」を使って声を大きくして答えました。
「宣誓! 我々魔法少女一同は、エンターライズの未来のため、世界の平和のため、正々堂々と戦うことを誓います!」
思いっきり甲子園リスペクトしてますが、まあ清々しいんで良いのではないかと思います。
『ありがとうございました! では、開会式の最大の目玉、トーナメントの抽選を始めましょう! 抽選箱召喚!』
ブオン
ドッスン
我々の前に机とその上に乗っかる4角形の抽選箱が突然現れました☆☆
『では、お一人づつ中のボールを取って、出た番号を見えるように掲げてください』
魔法使いのくせに、随分普通のやり方ですね。これも甲子園リスペクトなのかな? せっかくだから、もう少し趣向を凝らせばいいのに★★まー、最初に引くのは身の上的に気が引けるので真ん中辺りで引きにいきましょう☆☆
そして1列に並ぶ魔法少女たち。
玉を引いて空にかざすたび、映像版に映し出されたトーナメント表が名前で埋まっていきます。もちろん日本語ではなくエンターライズのムーリー語で表記されているため、地球の人には多分読めません★★けど、今後そのへんは私が全部翻訳するのでご安心ください☆☆☆☆
「オーッ!」
人気があるのか、強いからなのか、一部の魔法少女が引いたときには歓声が大きくなります。メロお姉ちゃんは、相手が良くて好カードなのか、やっぱり人気があるからなのか1、2を争うざわつきが起こりましたが、私とぴりんはさっぱりでした★★つーか、私はわかるけど、ぴりんは素で人気無いのかな? うわー残念な奴です★★
『……さあ、これで全ての抽選が終わりました。戦いは、明後日から始まります。魔法少女達の戦いに、是非ご期待ください!』
うーん★★★★抽選結果なんですが★★★★
なんつーか、なんつーか、私がひいた玉「2」だったんですよね☆☆縁起の良い番号なんですが、おそらくトーナメント戦は番号順に戦うことになるので、私は「魔法少女交翅宴」として最初の対戦カード! つまり、前に試合を見ることなく、ぶっつけ本番で戦う事になってしまいました★★かなり目立つけど嬉しくないよ★★運命の神様はなかなかひどい采配振るいますね★★★★
しかし、ビンボーライフを脱するためには、私は何としても勝ち残らなくてはなりません☆☆はるなのハングリー精神をみせてやりますよ☆☆☆☆
次回「はるな、著作権におびえる」をどうぞご期待ください!☆☆☆☆絶対見てね☆☆見なきゃドポポポーン☆☆☆☆