第11話☆才能がないのう?
はるなは<魔法少女交翅宴>に(金に目がくらんで)島根代表で代理参加することとなった。
時間はあまりないため、メロウライン達の力を借りて急遽魔法の特訓を開始した…………のだが…………
「ファイアーボール!」
はるなは、魔法少女☆☆ひとたび魔力を込めれば炎の玉が現れて敵に向かって……いきません★★つーか、火自体お墓参りの時のロウソクのあれくらいしか出ませんでした★★★★こんにちは、私は今「魔法少女交翅宴」に向けて魔法の特訓をしています★★★★しているのですが★★★
「うわっ、なにそれ! マジで笑わせる気!?」
と、言って既に私を見てヘラヘラあざわらってるクソリア充魔法少女ぴりん★★★★くっそー、こいつどっか行けよ★★★★オメーのせいで集中できん……って言いたいけどそうも言えない状況なんですよね★★★★何て言うか集中力以前に、さっぱり魔法が上達しないんです★★★★こんなに何回もやってるのに全然です★★★★
「うーん、この魔法も難しいのね。フレイムアローや、ファイアウォールよりも簡単な火の魔法なのだけど」
メロウラインお姉ちゃんは、熱心に教えてくれてるのに、まだフレイムトーチしか使えないなんて。私、火属性のはずなんだけどなあ★★★★才能ないんですかね★★★★★
「おかしいわね。ひょっとして、他の属性なのかしら」
「そんなんじゃないですよ、こいつは単純に魔力が無いだけですって」
「ぴりんちゃん、そんなこと言わないの。才能がない人間はいないのよ」
「そうですかね。私はそうには思えませんけど」
「信じれば、いつか必ず才能は花開くものなの。自分を信じればね」
何かありがたみある感じの事を言われて流石に真顔になるリア充。ほんと、歳が近い人間とは思えない器量の差を感じますね。
「どう、他の属性の魔法も試してみる?」
「そうですね」
基本的に魔法使いの使う魔法は、火・風・地・水の4つの属性が広く使われていて、みんなそのうちの1つの属性の才能を持っているんです。はるなも、火の属性の才能を持っているはずだったんですが、うーん、違ってたのかな★★
「〈ウィンドショット〉!」
「〈ガイアセイバー〉!」
「〈アクアシェル〉!」
(・_・)
(/。\)
(:/3\:)
何も起こらねー★★★★
どの魔法も、微塵もできる気がしないよ。うわーん、もう心が折れそうですー★★★★メロお姉ちゃんもかなり困り出してるよ★★
「うーん、そうなると光や闇の魔法に賭けてみることになるわね」
「はい」
「あまり、落ち込まないで。きっと、はるなちゃんと相性がいい魔法はあるはずよ」
「そうだと、いいんですけど」
そのあと光の魔法も闇の魔法も試してみたのですが、やはり何も使えませんでした★★★★
「うわー、なんか同情するレベルだわ」
さすがのぴりんも笑えなくなる始末★★★★笑われるよりつらいですよ、その残念そうな顔。
「うーん、カサンドラの呪いがかかってるから魔力が押さえ込まれているの可能性もあるのだけど、変身魔法みたいな特定の魔法は使えるのよね。不思議です」
両手を自分のお腹に当てて、考え込むメロお姉ちゃん。ほんとすいませんお手数をおかけします。ダメなヤツでマジすいません(/。\)
「何かヒントがあれば良いのですが」
「あ、そういえば」
「ぴりんちゃん?」
「言ったかもしれないですけど、こいつ直感詠唱では高等魔法使えたんですよ」
「!! それ、何の魔法を使ったんでしたっけ」
「えーと、《プロミネンス・タルタロス》って禁断魔法です」
それを聞いた途端、メロお姉ちゃんはビカーんと何かを閃いたようです。
「これはもしかして……はるなちゃん、他には何か直感詠唱で使った魔法はあるの?」
「えーと、この前も、直感詠唱で《ネクロハンド・アトモスフィア》って魔法も使いました」
「それも、禁断魔法ですね! しかも、これは、想定していなかったのだけど、わかったような気がします」
「えっ、ほんとですか!?」
「そうなると、1度も、エンターライズに戻らなくてはなりませんね。はるなちゃん、明日まで待ってくださいます?」
「はい、わかりました!」
☆☆☆☆そして翌日☆☆☆☆
「お待たせしました」
「その本は?」
「キュベリオス様の記した魔道書です」
キュベリオス様は、確か、かの伝説的大魔法使いマリアージュ様の七大弟子の一人ですね。この地球のギリシャ神話に出てくるキュベレーと同一視する人もいます。なぜなら、その方が記した、いまメロお姉ちゃんが持ってきた魔道書の名前に通ずるものがあるからです。
「レアーの書ですか」
「さすがに原本ではないけれどね」
「読んだことはありませんが、何か載ってるんですか?」
「ええ」
お姉ちゃんはパラパラとコピー魔道書をめくります。初版だったら日本円で1億円、原本だったら日本円で750億円くらいの価値があるのですが、この本は日本円で多分5万円くらいの価値だと思います。それでもけっこー高いよね☆☆☆☆
「この本には、他の魔道書にはなかなか見られない魔法が記されているの」
「それは」
うわ、何かドキドキします☆☆
なんだろなんだろなんだろな☆☆
「ゴクリ」
「気持ちが音に出ましたね。実際にそれくらいの予想外である可能性があります」
「そんな凄いのですか!?」
「ええ、はるなちゃんが、もし、罪属性なのであれば」
「つみ、ぞくせい?」
なにその業の深そうな名前★★
若干嫌な予感がしてきましたゾワゾワ★★
「6つの属性の他に存在した古の4属性の1つ。己の肉体や精神を犠牲にする代わりに高い効果を持つの。普通の魔法使いや魔法少女が使えば時に自滅するほどのリスクを伴うから、みんな使わなくなって廃れてしまったのよ」
「ええっ、なにそれ」
「はるなちゃんが使った《プロミネンス・タルタロス》ともう1つの禁断魔法も罪属性なのよ」
「そうなんですか! じゃあ、ランダムに魔法を使ったわけじゃなかったんですね」
「まだ断定はできないけど、何万以上もある魔法からその2つを発動させたのは偶然にしてはできすぎています。とにかく、遣ってみましょう」
よっしゃやったるでー! と、言いたいのですが、あの、罪属性の魔法っていま聞いた感じだと、へたに使ったらヤバイんじゃないですか?
「そうね、ますは1番使いやすそうな<ベインネイル>から試してみましょうか」
ベイーン!!
いや、日本語訳すると「痛みの爪」みたいな意味ですよね★★なんかイヤーな予感がするんだけど、するんだけど★★
「はるなちゃん?」
「わ、わかりました。やってみます」
いや、ここまで配慮してもらって、やらないわけにはいかないでしょ。ぶっちゃけ罰ゲームれべるやりたくないけどやるしかないですね。
「じゃあ、まずは利き手に意識を集中しつつ、頭がい骨に絡まる蛇をイメージしてみて」
いや、なにそのグロい映像★★想像したくないよ鬱すぎです★★でも★★ねえ★★
「はるなちゃん?」
「わ、わかりました。んん」
頭がい骨、どくろ、しゃれこうべ、蛇さん、うにょうにょ、スネーク、スネーク!? トラックの下に隠れて様子を見るんだ! ちくしょう、まさか戦車なんか用意してたなんて!
「どう? イメージが体の命脈を伝う感覚はあるかしら」
「……そうですね……うまく回り込んで背後から撃ち込むか、あるいは地雷でタイヤを……」
「はるなちゃん?」
「なるほど…………これが」
何か体をビリビリしたものが走ります。今までの魔法と違って手応えがあるりますよ大佐☆☆だんだん右手に力が集まっていくこの感覚は間違いないです大佐☆☆☆☆
「来ました!」
「はるなちゃん!」
「それは、罪深き鍵爪! <ベイン・ネイル・クラッチ>!!」
ビリビリビリ!
ボワシャア!
あれ、何か魔法の名前に余計な言葉付けちゃったよ。
ま、いっか。
ゴォォォ!
「すごいわ……最初から進化系で発動するなんて」
メロお姉ちゃんが驚くのも無理はありません。私の右手首から何だか知らないけど黒い煙をジワジワと発する3本の動物の骨のような鋭く尖った三本爪が生えているのですから。うわー、これ可憐な魔法少女が使うヤツじゃないです。魔王の部下の四天王の武力担当が使いそうなヤツですよ★★★★
「どう、痛かったり苦しかったりしない」
「うーん、なんか軽い静電気みたいな感じはありますけど。それくらいですね」
「その余裕、どうやら間違いなさそうね。はるなちゃんは、罪属性なのよ」
そんなレア属性なのはうれしいよーな気もしますが、何かモヤモヤするんですよね~
「そうなると、罪属性の魔法を使ってもほとんどリスクを負わないはずよ」
「えっ、そうなんですか。じゃあ、寿命が縮んだりとかもしないんですか!?」
「さすがに禁断魔法レベルになるとわからないわね。少しは影響が出るかも」
「そうですか……」流石にそこまでうまい話ではないよね。
「でも、これから沢山の罪魔法を覚えていけば、更なる抵抗力がつくかもしれないわ」
「そうなんですね、ありがとうございます!」
「いえいえ。とにかく、解ったからには少しでも早く多く他の魔法を覚えないとね」
「はい!」
その後も、お姉ちゃんに付き合ってもらい、はるなは罪魔法をどんどん覚えていったのでした。一気に実戦レベルに近づいたのですが、どの魔法も何かいちいち陰鬱感と邪悪感バリバリなの何とかしてほしいです…………マジで悪堕ちしかねないラインナップ…………どんな感じに仕上がったのかは、実戦でおひろめしたいと思いますのでお楽しみに☆☆☆☆