第9話☆彡どきどきインフルエンザ(仮)
ずびずはー
こんにちは、今日も元気ではない魔法少女はるなだよ★
ほんとに元気じゃないよ★むしろ死にそうです★
ずびずばー
鼻水か止まりません。ネバーッとしたのがダラーとたれてきて、苦しいです。ティッシュペーパーがほしいんでずけど、そんなお金ないので、ゴミ捨て場から拾った新聞紙でがまんじまず。
チーン
オエー
気管支がはれてる上、おなかがクソ気持ち悪くて吐き気がします。いや、もう既に何度か吐きました★★さらに第二波が来そうですウップ('~`;)
オエー
カハー
ズビズバー
一体何の病気なのかな★★ああ、これ、ひょっとして、ウワサに聞くインフルエンザってやつかもしれません★★
ウプッ
オエー
え、魔法少女なんだから魔法で治せば良いとか言いました? 残念だけど、私は治癒魔法はまったく使えまぜん。覚えたいんですけど、どうも素質が無いっぽいんでずよねー火属性だし★★ズズー★★
なんだか、ゾクゾク寒気もするし、意識もモーローとしてるよ★★これ死ぬやつかも★★誰かに助けを呼びたいんだけど、カサンドラの呪いのせいで一般ピーポーは基本見向きもしてくれないし、腐れ縁の魔法少女ぴりんや唯一の理解者メロお姉ちゃんはこんなときに限って二人揃ってネパールに遠征(ほぼ旅行)してるし★★私がこんなに苦しんでるのに今頃ラッシーやトゥクバ食べてるんだよねチクショーチクショーパクチクショー★★★★
「おやおや、お困りですかな」
ほわぱっ!?
背後から声がして、鳥肌立ちました★★病気のせいでスキだらけだよ★★とりあえず振り向かないと、EBだったりしたら殺されます★★★★
「だ、誰ですか!」
「ほっほっほっ、おどかしてすいませんねえお嬢ちゃん」
そこにいたのは、黒いスーツ姿で頭には黒い三角帽子をかぶり、丸い黒サングラスをかけた痩せ顔にゴブリンみたいなわし鼻をとがらせた色白の腰の曲がった怪しいおじさん或いはおじいさんで、他のパーツと比べてカラフルなJ型ステッキに重心を置いて、口をにんまりとしています★★うわ、確実にヤベー奴だぬ★★
「そんな、疑いの目を向けないでくださいな。なーに、ただのしがない死の商人ですよ」
全然しがなくないね★★
普通である要素がひとつもないですよ★★むしろ死神とかメタトロンとか世界の影の支配者とか物語の真の黒幕でもおかしくないよ★★ズビー('C_`)
「な、何の用でずか」
「すごい鼻水ですね。お嬢ちゃん、ひどい風邪をひいていらっしゃるようですな。よろしければ、良く効く薬を差し上げましょうか? インフルエンザすらたちどころに治る万能薬も持っておりますので」
礼儀正しいけど、スゴマジでうさんくさいね★★でも、今はたまらなく死にそうなのでクスリ欲しいです★★
「それ、本当ですか」
「はい。ワタシ嘘は嫌いでしてね」
うー、サングラスの奥の目が恐いよう(;==)これ、嘘ついたら殺すって意味含んでるよ絶対(==;)でも、肝心な部分は聞くだけ聞いてみますよ★★
「お金は、かかるのですか?」
「いえ、必要ありません。ただ……」
「代わりに何か要るのですか?」
「ええ、少しばかり生贄をいただければ」
「それは、つまり」
「そうですね、相場としては、あなたの肋骨を4本或いは、指1本或いは寿命を2年あたりですかな」
おいこら、割りに会わんわ!! インフルエンザ直っても体の大事な部位無くしたら本末転倒じゃん!! 寿命だってこの前減ったばっかりなんですけど!? クソすぎるズビー(´ω`)
「おや、無理そうな顔をしていますな」
「はい、そのとーりです。他にイケニエにできるものは無いんですか」
「そうですね、インドカピバラ250匹なら交換できますよ」
「えーと、そんな動物聞いたことないんですけど」
「オルテンガルキヤマハダギツネ300匹でも良いですよ」
「……」
あのー、私、からかわれてるんでしょうか★★
だとしたら悪質極まりないですねズズズ(~、~;)
「そうですか」
「現実的なものでお願いします」
「そうですね~」
死の商人さんは腕組みして考え出しました。
そして、しばらくすると、何かひらめいたらしくポンと手で判子を押しました。
「お嬢ちゃん、あなた、魔法少女ですよね」
「あ、はい……」
「それなら、ワタシを驚かせるような魔法を見せてください。もし、お嬢ちゃんがワタシを驚かせる事ができたら、タダで薬を差し上げようじゃありませんか」
お、なかなか面白い条件吹っ掛けてきましたね☆
「どうです? もっとも、ワタシはちょっとやそっとじゃ驚きませんよ。何せ、色々なものを見てきた身ですからねえ」
ニヤリと笑う死の商人★★
フッ、笑いたいのはこちらのほうですよズビーズー( ´_ゝ`)
「もちろん、やります」
「ほー、言いましたね。なかなか自信があるようですね」
そりゃそーです☆
はるなは、ランダム要素があるけど、うまくいけば伝説の禁断魔法すら使えるんです。うまくいけば、ですけど。
「では、決まりですな」
「はい」
「ちなみに、もし、私を驚かせられなかったら、その時は覚悟してくださいね」
え、今なんと。
「場合によっては、命をいただくかもしれません」
ウッギャーズビズビー!!●!? それ先に言えよ★★★★
一気に危機的状況になっちまったじゃねーかこのクソ鬼畜詐欺師!!!×!! ただでさえインフルエンザなのにウワーーもう頭おかしくなりそうだわーーズビャゲホー(´コ`)
「ぐぬぬ」
「さあ、早く早く」
「わかりまじたよわがりまじた」
も、もうやるしかありませんね……
腹をくくるしかないです……ズビズビー……
「出よ! スティーマ・ラータ!」
異次元より出でるは私の秘密兵器である魔法の杖☆
ふつーの安物とは違うのです☆☆何でかは企業秘密ズバビーゲホッ(`3´)
「おお、これはこれは」
「驚きまじたか? ゴホッ」
「さて、ここからどう出ますかね」
どうもこうもありませんよ★★
直感詠唱を使うだけです★★
コツン
杖を地に刺し、瞳を閉じます。
そしてあらゆる神経を研ぎ澄ませ、明鏡止水に限りなく向かいます。インフルエンザの苦しみ、死の恐怖、絶体絶命の危機、鼻水ズピーなどあらゆる感覚を静寂の奈落に沈め、ただ、内なる声に耳を傾ける。そして、それを聞きとどけた時、それは具現する。
この時、私が放つ魔法。
それは、
「現れよ、全てを掴む暗黒の両腕。《ネクロハンド・アトモスフィア》!!」
なんかまた闇を感じるイントネーションですね★★それは置いといて、地面から、にょきっと真っ黒なムキムキの悪魔みたいな腕が生えてきました。だいたい、死の商人さんをはさむように、あっ、しまった★★★★風邪引いてたからターゲットを何にするか考えてなかったよ★★だから、たぶん、そうなるよね★★
「ぐひゃあ!?」
2本の腕が、死の商人さんを挟み込んでギュッと握りました★★あー、すごいパワーですね。ギリギリバキバキと締め付ける音がします★★
「こ、ごれはぁぁぐぐぐゲゲゲ!!」
いや、決して、わざとやったわけじゃないですよ★★
ええ、事故です★★これは、事故です★★
グシャアッ
あー、握りつぶされました★★グロいのでソフトに状況を説明すると、トマトをぎゅうって潰したら下から汁ブシャー、へたの部分はポーンと言った感じです★★ま、即死ですね★★
いや、本当にごめんなさい★★
あぐでも、わざとじゃないので★★いやほんとに★★
「いやはや、これはまいりましたな」
ゲゲッ!?
な、何か声がしますよ!?
「まさか、このワタシめがこのような、まさに首皮ひとつにされるとわね」
ズビャー、生首が喋ってます!
やっぱこの程度では死なないんでずね★★死の商人ですね★★
「お気になさらず、ほれ」
頭が浮き上がると、すぐにそこから体がブワッと出てきて、あっという間に元通りの姿に戻りました★★もしかして不死身なんですかね★★★★んで、私はこれからどーなるんでしょうか(~_~;)
「ええと」
「ええ、ええ、まさか禁断魔法を使うとは思いませんでしたよ。十分に驚きました」
やったー! ……と、言いたいのですが、禁断魔法ってのは、基本自らの寿命を減らすんです。つまり、寿命を生け贄にささげるのとあんま変わらんじゃないですかここまでのくだりほぼ無意味かよチクショー( ̄□ ̄怒)
「お約束どおり万能薬をお渡ししましょう。と、言いたいのですが」
「え?」
「私の体は再生できても、薬の方は先程の魔法で失われてしまいまして」
ギェホー!! 泣きっ面に蜂とはまさにこの事です!!
「ほっほっほっ、しかし、ご安心ください。お嬢ちゃんはそのインフルエンザで死ぬことは絶対にありませんから」
「は、はぁ?」
「何せ、このワタシめの目が確かなら、お嬢ちゃんはおそらく……ほっほっほっ、そう言うことで失礼いたします」
意味ありげなこと言ってシュッと消えるなボケー!
ズバーサイアグでずーーーーやりぞんじゃないですかー!! 死ぬーーゥオエーーー( >д<)、;'.・
その後3日3晩苦しみ続けた私でしたが、死の商人さんの言った通り、その後はケロッと元気になったピチピチ少女はるななのでした☆☆☆
ちなみに、ぴりんとメロお姉ちゃんがネパール旅行のおみやげでハチミツとヒマラヤ岩塩買ってきてくれたんで、毎日ペロペロなめてます。割とありがたいけど、何でこの組み合わせなのかな☆☆どっちか固形物してくれヨ☆☆