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君と僕らの英雄譚   作者: ぱぶろん
4/10

君と僕らの英雄譚その4

光陽が僕らの村を照らしていく中、騒がしい声が二つに増えた。先程屋敷へやってきたマリアとルーチェがいい争っているようだ。


「なんでお前は毎日来るんだ!邪魔だ!」


「貴女こそ後からアモール様のところへ来た癖に図々しいですのよ!」


「なんだと!」


「なんですの!」


大きな声を出しているものだから、牛や羊は二人の元からどんどん離れていき、とうとう広い牧場の中に二人だけが残されているのを、遠くから僕は見ていた。


「おーい。2人とも。手伝って欲しいことがあるんだけど」


ふたりにきこえるよう、若干大きな声でふたりを呼ぶ。聞こえてるかな。


「アモール様~今すぐ向かいますわ~!」


いち早く反応してくれたのはマリアだ。


「おい!待て!」


ふたりが駆け足で駆けてくる。ルーチェは騎士なだけあって走るのが早い。これはルーチェの方が早く着くだろうか、とそう思っているとやさしい風が吹いたのを感じた。


風魔法(シルフス)


そうマリアが魔法を唱えると、マリアの体がふわっと浮き、風に任せて、ルーチェをすっと追い抜いていく。


「!?お前!」


「お先ですわ」


そう言って僕の元へ先にマリアがたどり着いた。


「アモール様。おはようございます。貴方のマリアでございます」


「あ、あはは。おはよう、マリア」


「魔法なんてずるいぞ!」


「使えない貴女が悪いのですわ」


「なんだと!」


「はいはい、喧嘩はやめてね。明日の出店の準備をしなくちゃいけないからそっち、手伝ってくれないかな。もう夕方には出なくちゃいけないんだ」


理由を付けて喧嘩を止める。


「アモール様が言うのなら」


「仕方ない」


良かった。収まったようだ。


「それで、出店て、なんだ?私がこの村に来てから初めてだよな?」


「そうだね。出店って言っても、最寄りの街にここで作った乳製品やら、釣った魚を売りに行くだけなんだけどね。保存するために地下室に冷凍してるんだ。それを馬車に積むのを手伝って欲しいんだよ。僕は力仕事が苦手だから…」


「なんだか楽しそうだな。地下室なんて初めて行くし、手伝わせてくれ」


「ありがとう。マリアは残った動物のみんなの様子を見ててくれるかな」


「むう、アモール様がそういうのなら仕方ないですわ。今だけはアモール様の手伝いを許可しますわ」


「お前の許可なんてしらん」


「はいはい、喧嘩しないで。さぁ行こうかルーチェ」


そう言ってやしきのちかくにある地下倉庫へ歩いていった。


続く




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