やるべきこと 前編
「美味しい!!これすっごく美味しいよ!!」
「ならよかったよ」
場所は変わりセイルの自宅。クラウソラスとの戦闘を終え、疲労した二人は空腹に見舞われ今こうして食事を取っていた。
興奮気味に味の感想を告げるミアライシスに満足の表情を浮かべるセイル。あった食材で作ったチャーハンだったが、中々に好評だったようでミアライシスはご飯一粒残さず平らげていた。
「ごちそうさまでした!!」
「お粗末さん。それはそうと、ミアライシス」
やはりミアライシスという名前にデジャヴのような物を感じるセイルは尋ねてみることにした。
「なーに?というか、ボクのことはミアでいいよ?ミアライシスって呼びにくいでしょ」
「じゃあミア。俺の勘違いだったら悪いんだが、俺達“前にどこかで会ったことがある”か?…例えば別の世界とか」
そこまで言ってセイルに再び疑問が浮かぶ。…別の世界?なぜ自分は今そんな言葉が口から零れたのだろうか。
しかし、そこまで考えたところで酷い頭痛がセイルを襲う。
「ッ!?」
「ちょっ、大丈夫!?」
目の前で突然人間が頭を押さえて悶えたら誰しも驚くだろう。
それは聖霊であるミアライシスも同様だった。
「あ、あぁ。大丈夫だ」
違和感について考えるのをやめると即座に頭痛は引いてしまう。
「びっくりしたよ~。それで、さっきの質問だけど多分人違いじゃないかな?…いや、聖霊違い?」
「そうか…悪い、忘れてくれ」
セイルはそれだけ言うと、この話題を打ち切り別の話題を持ち出した。
「それはそうと、1つ聞きたい。なぜ、クラウソラスがこんなところにいるんだ?確かにこの辺はモンスターも出るが、英名持ちはおろか、龍族なんていないはずだが」
そう言うと、ミアライシスが真面目な表情でこう告げる。
「それを含めて、ボクたちがこれからしなければならないことがあるんだ」
二人の間に緊張が走る。
「数ヶ月前、この世界の中核ースフィアーで大量の障気の発生を確認したんだ」
「障気って………確か大昔に6体の神祖聖霊が自身の命を鍵にして中核に封じ込めたと伝わっているが…」