終から始へ
辺り一面真っ白な空間。
そこに一人の少年と光に包まれた謎の人影が立っていた。
『………あなたはこれで満足ですか?』
謎の人影はそう問いかける。
『確かに世界は救われました。あなたの大切なものを犠牲にすることによって。今一度問います。あなたはこの結末に満足していますか?』
謎の人影は再び問いかける。
『答えなさい。“セイル・ハーレスト”』
その名を呼ばれた少年ーーーセイルは答える。
「…満足してないに決まってるだろ……!!」
そして再びセイルを謎の睡魔が襲い、セイルはその意識を手放すのだった。
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「……ん………眠っちまってたみたいだな………」
少年ーーーーセイル・ハーレストは“ベッドの上”で目が覚める。
身に纏うのは白銀の鎧や漆黒のローブなどではなく、至って普通の衣服。
そう。剣や鎧なんてものは存在していなかった。
「……ん?俺は何で家に…?」
セイルも脳が覚醒してきたようで、自分がこの場にいる不思議さに気がついたようだ。
「俺は確か…………ん?あれ?」
しかし、セイルの身に異変が起きる。
「……俺、今まで何してたんだっけ…?」
今起きた時より前のセイルの記憶が無くなっている。
ーーーいや、無くなっているというより記憶にぽっかり穴が空いているような感覚といった方が正しいかもしれない。
何か…とても大切な何かを失ったような………
「………とりあえず、外に出てみるか」
セイルは洗顔や歯磨きを済ませ、軽く身支度を終えると、朝食も食べないまま外へ赴くのだった。