愛する者と世界
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「ボクを…殺して…」
「ふざけんなッ!そんなこと…出来るはずがないだろッ!!」
地面の至るところに亀裂が走り、またある部分は破壊され、またある部分には巨大なクレーターが出来ている。
激しい戦闘があったと思われるこの部屋に寂しげな少女の声と、少年の怒声が鳴り響く。
少女の思いを嘲笑うかのようにドス黒い“何か”が少女を包んでいく。
「お願い……もう、これしか方法がないんだ…。このままだとボクは君を…君のいるこの世界を壊してしまう…。だから……」
少女の目からだんだんと光がなくなり、代わりに闇が拡がっていく。
それでも少女は言葉を紡ぐ。
自分の愛した人間に殺されるために。
「これがボクの最期のわがままだよ……ボクは君がいるこの世界を壊したくないんだ…だからお願い…ボクがボクじゃなくなる前にーーーーー」
ーーーーーボクを殺してーーーーー
「っ………!!!」
少年は剣を手に駆け出す。
異形の怪物になろうとしている相棒を助けるために。
少女との思い出の数々が脳裏に甦る。
その全てが少年の背中を押す。
「うぉぉぉぉぉぉッ!!!」
少女への思いを込めた刀身が少女の胸を貫いた。
そしてその傷口から、少女を取り込もうとしていたドス黒い“何か”が外へ流れていく。
やがて、それは完全に消滅したのだった。
「うっ……………」
力なく倒れる少女を抱き抱える少年。
「ボクのわがまま……聞いてくれて…ありがとう…」
「っ……バカやろうが……」
少女は苦しみながらも頬笑む。
「えへへ……君に抱かれながら眠れるなんて…嬉しいよ…」
「…お前……少し重くなったか?太ったんじゃないのか?」
「バカ……女の子にそう言うことは…言っちゃダメなんだよ……?」
既に少女の目は光を灯してはいなかった。
もう、少年の姿も見えない。
「ボクね…どうしても伝えたいことがあるんだ…」
「……何だ?」
そして少女は、今までで一番最高に美しく、綺麗な笑顔でこう告げた。
「ボクは……君のことが大好き……だったよ…」
「くっ………ああ。俺も…お前が大好きだった。だから…ゆっくり休め…」
「うん……それじゃ……バイバイ……」
少女はゆっくりと瞳を閉じ、やがて眠るように一生を終えた。
少女の体が光に包まれ、天に昇っていく。
すると空を覆っていた不気味な黒雲は消え、暖かな陽の光が少年を包み込む。
「………やっぱり、お前のいない世界は静かだな…。だけど…何も感じねぇ……俺の選択は間違っていたのか…?」
少年はただ一人誰もいない空間に問いかける。
それに答える相棒の声はなく、ただ虚しさだけがその場に取り残された。
「少し……疲れたな……」
少年は地面に横になり、込み上げてくる眠気を受け入れるかのようにその意識を手放したーーー