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Another Future  作者: ともぉ
プロローグ
1/6

愛する者と世界

このサイトでの初作品となります。


誤字脱字、アドバイスなどありましたら是非お願いいたします。


誹謗中傷はご遠慮下さい。


基本更新は遅め…というより気まぐれになるのでご了承下さい。

「ボクを…殺して…」


「ふざけんなッ!そんなこと…出来るはずがないだろッ!!」


地面の至るところに亀裂が走り、またある部分は破壊され、またある部分には巨大なクレーターが出来ている。


激しい戦闘があったと思われるこの部屋に寂しげな少女の声と、少年の怒声が鳴り響く。


少女の思いを嘲笑うかのようにドス黒い“何か”が少女を包んでいく。


「お願い……もう、これしか方法がないんだ…。このままだとボクは君を…君のいるこの世界を壊してしまう…。だから……」


少女の目からだんだんと光がなくなり、代わりに闇が拡がっていく。


それでも少女は言葉を紡ぐ。


自分の愛した人間に殺されるために。


「これがボクの最期のわがままだよ……ボクは君がいるこの世界を壊したくないんだ…だからお願い…ボクがボクじゃなくなる前にーーーーー」


ーーーーーボクを殺してーーーーー


「っ………!!!」


少年は剣を手に駆け出す。


異形の怪物になろうとしている相棒を助けるために。


少女との思い出の数々が脳裏に甦る。


その全てが少年の背中を押す。


「うぉぉぉぉぉぉッ!!!」


少女への思いを込めた刀身が少女の胸を貫いた。


そしてその傷口から、少女を取り込もうとしていたドス黒い“何か”が外へ流れていく。


やがて、それは完全に消滅したのだった。


「うっ……………」


力なく倒れる少女を抱き抱える少年。


「ボクのわがまま……聞いてくれて…ありがとう…」


「っ……バカやろうが……」


少女は苦しみながらも頬笑む。


「えへへ……君に抱かれながら眠れるなんて…嬉しいよ…」


「…お前……少し重くなったか?太ったんじゃないのか?」


「バカ……女の子にそう言うことは…言っちゃダメなんだよ……?」


既に少女の目は光を灯してはいなかった。


もう、少年の姿も見えない。


「ボクね…どうしても伝えたいことがあるんだ…」


「……何だ?」


そして少女は、今までで一番最高に美しく、綺麗な笑顔でこう告げた。


「ボクは……君のことが大好き……だったよ…」


「くっ………ああ。俺も…お前が大好きだった。だから…ゆっくり休め…」


「うん……それじゃ……バイバイ……」


少女はゆっくりと瞳を閉じ、やがて眠るように一生を終えた。


少女の体が光に包まれ、天に昇っていく。


すると空を覆っていた不気味な黒雲は消え、暖かな陽の光が少年を包み込む。


「………やっぱり、お前のいない世界は静かだな…。だけど…何も感じねぇ……俺の選択は間違っていたのか…?」


少年はただ一人誰もいない空間に問いかける。


それに答える相棒の声はなく、ただ虚しさだけがその場に取り残された。


「少し……疲れたな……」


少年は地面に横になり、込み上げてくる眠気を受け入れるかのようにその意識を手放したーーー



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