嘲る父と恋愛フラグ
プルルルルル…
プルルルルル…
「おう、陸か?」
「親父!!説明しろ!!」
「何をだ?」
「何で俺の小三未満の記憶が全く無いんだよ!!何かしたのか!?」
「…蒼夸か?」
「…いや、クラスメイトから。」
「名前は?」
「…言う必要ないだろ。」
「なんでだ?」
「それよりこっちの質問に答えろ!!」
「お前の記憶力が無いだけだ。お前が小三になる前はここにいた。これでいいか?」
「なんだよそれ!?そんなんで誤魔化せると思ってるのか!?」
「誤魔化すもなにも、お前、何か勘違いしてないか?」
「なんだと…?」
「そもそも、人の記憶なんて消せるわけ無いだろw」
俺は静かに受話器を置いた。
それもそうですよねー!!
「はぁ、何やってんだか…」
本当に蒼夸に毒されてしまったようだ。
でも…
「何か…違うような…ていうか、普通に学校サボっちゃった!!どうしよう!!」
陸の父は静かに携帯をしまう。
「だから、関わるなと言っとるのに…」
そう、静かに呟いた。
「説明してください。」
目を反らす。
「何故勝手に帰ったのですか?」
「えぇと…それは…」
「言えないような理由ですか?」
「…うぅん…」
担任に絶賛説教され中です。
「転校してきたばかりなのに、そんなことでは困ります。風紀が乱れてしまいます。そうしなければいけなかった理由があるなら、ちゃんと話してください。考慮しますので」
「うぅ…」
言えない。まさか、勘違いで家に帰って記憶を消されたー!!なんて中二病チックなことを父に聞いたなんて…死んでも言えない。
「先生、私が犯人だ。」
蒼夸が手を挙げた。
「何がですか?」
「私が陸の家に何者かが侵入した、と報告したためだと思われる。」
「成る程。それは確かに恥ずかしいですね…。まぁ、わかりました。今回はそうしておきましょう。ですが、もう騙されてはいけませんよ?」
「は、はい…。」
庇ってくれたのか…?
「もう、びっくりしちゃったよー。陸くん、いきなり学校走って出ていっちゃうんだもん。」
「は、ははは…」
苦笑いするしかない。
「まさか、もう敵性生物が陸と接触したんじゃ…」
「いや、違うから。」
「むぅ、違ったか…」
蒼夸が少し頬を膨らませた。
(普通にしてれば可愛いのにな…
って、なに考えてんだ!?)
おもいっきり机に頭をぶつけた。
(落ち着け、落ち着け、落ち着け…)
何度もぶつける。漫画だったら、顔が血塗れなレベルで。
「ちょっ、陸くん!?」
「まさか、電波の影響か!?」
「ちがうよ!!」
ふう、少し落ち着いた。
そう言えば、永久子が、蒼夸の思い人が、俺だって言ってたな…
ゴッ
「ちょっ、陸くん!?なんでまた机に頭打ち付けてるの!?」
「やはり、電波の影響か…」
「だから、違うから!!」
「じゃあ、何なの…?」
うぅ、ここで嘘ついてもしょうがないしな…
よし、ここは単刀直入に聞いてみよう。勘違いってこともあるし。
「ねぇ、蒼夸。」
「何?」
「永久子から聞いたんだけど…」
蒼夸は顔を真っ赤にして永久子の方を向いた。
永久子は逃走ずみだった。
「いや、違うから!!違うからー!!」
そういって、蒼夸は走り去ってしまった。
「違うのか…」
なんとも複雑な気分になった。
ゴッ
なんでだよ!!
落ち着け!!俺!!