表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

文学

お客様サポート

作者: 純白米

 あるところに、小さな古びたお店がありました。そのお店の名は「お客様サポート」

そこでは、人生のサポートをしてくれる人がいるという噂です。


 ある人の話では、テストで点数が取れずに困っていたときに、勉強のやり方を教えてくれたそうです。その通りにやると、見る見るうちに点数が伸びていったとか。


 またある人の話では、部屋に引きこもって出てこられない子どものところへ行き、外には楽しいことがいっぱいあるということをたくさん教えてくれたそうです。その子は、じきに外へ出てみようと思うようになり、今では普通に生活しているんだとか。


 別のある人が友人と喧嘩してしまったというときには、仲直りの方法を一緒に考えてくれたそうです。そのかいあって、無事に仲直りできたのだとか。


 そしてある人が恋人と別れてしまったときも、失恋の乗り越え方をいろいろ教えてくれたとか。おかげで、その人は近々新しい恋に進めそうです。


 学校での悩み、自分自身についての悩み、友人関係の悩み、恋人関係の悩み……

 そこは、生きていく上で出会う様々な悩みを、どんなことでも次々と解決してくれる

魔法のようなお店だと言われています。


 そんな噂を聞いて、ある男はそのお店を尋ねました。


「おれは、今お金がなくて困っているんだ。悪いけど、お金を貸してくれないか。」


そうすると、お店はそれにこう答えた。


「お客様、お金に困っているのでしたら、良い仕事をご紹介致しますよ。」

「いやいや、そういうことじゃないんだよ。おれは、お金を貸してもらって、助けてほしいだけなんだ。今までだって、たくさんの人を助けてきたんだろ?」


それを聞いてお店の人は、少しの間沈黙をした。そして、ゆっくりと話を始めた。


「よく、魚を与えるのではなく魚の釣り方を教えよ、という言葉を聞きます。


魚を与えれば、その時は空腹をしのげるかもしれないが、やがてまた同じ状況に陥る。

だが、魚の釣り方を教えれば、その人はずっと空腹をしのげるという意味です。


私は、お客様を助けたことなど、一度もありません。

悩まれているお客様は、なんとかしたい、どうにかしたいと思っているのです。

ただ、そのためにどうすればいいのか、つまり魚の取り方が分からないだけ。

私はそこに、釣り方を教えてあげているだけです。


現に、私がいくら釣り方を教えても、自分で魚を釣ろうとしない人は

いつまでも空腹のままでした。悩みが解決されることはありません。

自分でどうにかするという気持ちのない人は、変われないでしょう。

悩みをどうにかする、魚を釣るのは、いつもその人自身なんです。

その人が、変わらなければ。


私は、あくまでサポートですから……。

変わるためには、お客様の一歩が必要なのです。」


あなたは何かに悩んでいますか?

それはきっと、魚の取り方がわからないから悩むのでしょう。

誰かに相談して下さい。その誰かは、魚を取ってくれはしないかもしれないけれど

きっと、魚の取り方を一緒に考えてくれるはずです。

お客様サポートは、きっとあなたのすぐそばに


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ