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6.視線と鼻血

 ちょちょちょ、やばい!

 必死になって寝巻きの裾を押さえるも、逆さまの状態ではうまくいかず、足や下着があらわになる。

 そんな私をガン見するセオル。


 瞳孔が開きすぎてて怖い。

 まばたき全然しないじゃん、怖すぎるんだけど、何なの一体!


 必死に裾を押さえながら体勢を整える。

 ほっと一息ついてセオルに視線を向けると、たらりと彼の鼻から一筋の赤い線が垂れるのが見えた。


「あ、鼻血」


 思わず声に出てしまったのだろう。

 イレーヌが慌てて口を押さえる姿が可愛い。

 そんなことを考えながら、現実逃避をする。


 彼は使用人に差し出されたハンカチで鼻を押さえた。

 幸い服は汚さずに済んだようだ。

 え、鼻血押さえながら、まだこっちを見てる。

 目が完全に据わってるのが恐怖心をあおる。

 もう下着も足を完璧に隠せているのに。


 そもそもなんであいつに私が視えてんの?

 大体視えてるなら、黙ってないで話しかけてきてもいいんじゃない?


 いまだ黙りこくったままじっとこっちを見つめているセオルに腹が立ってきた。

 ヒールを履いていたらカッカッカッと音が響き渡りそうな勢いで、彼の目の前に立つ。


『視えてます?』


 ぐっと顔を近づけて、率直に問いかける。

 彼はベッドの上の私をちらりと一瞥したあと、こくりと頷いた。


 やっぱ視えてるのかよ!!

 え、しかも声まで聞こえるとかどうなってんの?

 私生きてる?

 もしかして死んで霊体になったってこと?

 そしてあいつは霊能力者で死んだ私の姿が視えるってこと?


 慌てて自分の体に近づいて観察するも、正直息があるのかわからない。

 呼吸音もよく聞こえないし、胸の動きで呼吸の有無を確認したくても、布団が邪魔だ。


 半ばパニック状態の私のそばに、いつの間にかセオルが立っていた。

 そしてその手を、私の首筋にそっと伸ばす。

 咎めるように父が声をあげたが、セオルは手をかざしてそれを制した。


『ど、どう?生きてる?死んでないよね?ね?』

「脈拍は安定している」


 独り言のように、セオルが呟いた。

 どうやら生きているらしい。

 そう安堵したはいいが、どうやったら戻れるのかが問題だ。

 このまま意識だけが身体を離れて彷徨い続けては、いずれ肉体にも悪影響を及ぼすかもしれない。


 思い切って自分の体に重なってみた。

 水面に潜り込むような感覚がしたかと思えば、私は肉体の中に戻っていた。


 戻れてよかった。

 そう思った瞬間、ふっと意識が途切れる。

 ああ、この感覚――覚えがある。

 魔法の訓練を始めたばかりの頃、無茶して魔力切れを起こしたときのそれと同じだ。

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