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48.燃費

「リアちゃんの魔力量は調べたのか?」


 おじさまに尋ねられて、セオルは頷いた。

 いつの間に調べられていたのだろうか。

 毎日いろんな検査をしているから、情けないことに具体的に何を検査しているのか私は一切把握できていない。

 

「魔力量は変化ありませんでした。以前の検査時と変わりありませんでした」

『あれ?魔力量なんて教えたことあったっけ?』

「リリーのことで俺の知らないことがあると思う?」


 あるでしょ、普通は。

 怖いんだけど。


「魔力が増えたわけではないのに、強い魔法が使えるようになった……か」

「多分魔力の流れが変化したのが原因だと思います」

『魔力の流れ?』

「うん。普通はさ、魔法を使うときに漏れ出ちゃう魔力っていうのがあるの。それが結構多くて、平均で本来必要な魔力の50倍くらいの魔力を消費してるんだ」

『え、めちゃくちゃ無駄じゃん』

「だよね。で、訓練を積んで魔力コントロールがうまくなると、無駄にする魔力を減らせるようになる。俺の場合、10倍くらいかな。これでも国内トップレベルくらいの効率の良さだといえる」

『ふうん』


 ほかの人の1/5程度の魔力消費量で魔法を使えると考えると、すごいことだと言えるだろう。

 加えて、セオルの魔力量は私より格段に多い。


「で、多分リリーは無駄にする魔力がほぼゼロなんだと思う」

『うん……って、ゼロ?!』

「そう。だからすっごい燃費がいいんだろうね」


 流石リリー、なんて言われても、まったく現実味がない。

 何かの間違いなんじゃないかと思ってしまう。


「それが本当なら、とんでもないことだよ?!」

『えっ?えっ??』

「大魔法使いも夢じゃない!」

『だ、大魔法使い……』

「ちょっと、勝手なこと言わないでください。あと近すぎ」


 私の至近距離で熱く語るフィリーおじさまの顔を押しのけるようにして、セオルが言う。

 おじさまの首が信じられない角度になってるけど、大丈夫かな。


「いたたたたたた、ちょ、首、首が」

「セオルくん、曲がっちゃいけない感じで曲がっちゃうから」


 大丈夫じゃなかったらしい。

 痛がるおじさまを庇うように、お父様が焦って声をあげた。

 セオルから離れて首をさするおじさまに同情する。


「このことはこの場だけの秘密でお願いします」

「なんで?これすっごいことだよ?」

「リリーは大魔法使いではなく、俺のお嫁さんになるんで。それに下手に地位を得たら、有事の際に駆り出されちゃうでしょ。俺はリリーが危ないところに行くのは断固反対です」

「~~うぅ、一理ある」


 おじさまは難しい顔をしながらも、納得してくれたらしい。

 お父様も少しほっとした顔をしている。

 危ないところには私も行きたくない―――でも。


『ものすっごい魔法とか使ってみたい』


 それはそれ、これはこれ。

 魔力が少ないからこそ、魔法に憧れがあるのだ。

 一度でいいからかっこいい魔法を使ってみたい。


 嘘。

 使えるものなら何度でも使いたい。


「これがすでにものすっごい魔法なんだけど」

『えぇ~?もっと派手なやつ』

「となると上級の攻撃魔法とか?」

『危ないのはちょっと』

「もちろん許可しないよ」


 許可制なの?

 人を傷つけたくはないからいいけど。


「魔法は俺が教えてあげる」

『えー』

「これでも一応、国のトップクラスの魔法使いだよ?何でも聞いて」

『なんか鼻息荒くない?怖い』

「え?リリーの魔法の先生になるのっていいなぁって思って」

「??」

「先生♡って呼んでいいよ。いや……呼んでください」


 気持ち悪っ。

 さっきから何言ってんだ、コイツ。


 フィリーおじさまドン引きしてるし、オスカー爆笑してるし、お父様は唖然としてる。

 そうよね、今までと態度が全然違うから戸惑うよね。

 すごくよくわかる。

 こんなに変なやつだなんて知らなかったし、出来れば知りたくなかった。


「ま、まぁ……それはそれとして。今後リアちゃんに関する調査を魔法省が執り行ってもよろしいですか?すでに本人の了承は得ておりますので」

「は、はい。よろしくお願いします」

「つきましては調査員による訪問を―――」

「待ってください」


 フィリーおじさまの話の途中で、セオルが口を挟んだ。

 こういうの、目上の人にはとくにやっちゃいけない気がするんだけど。

 おじさまは慣れているのか、とくに気にした様子もなく「どうした?」なんて尋ねている。

 もっと厳しく叱ってもいいと思います。

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