表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/16

15.呪いと魔法のスクロール

 呪い。

 他者の肉体や精神を蝕む魔法。

 確か遠い昔には、そんな魔法が存在したと言われている。

 しかしそれも古くに廃れてしまい、今ではおとぎ話の中にしか登場しない言葉だ。

 彼は古代魔法の研究を専門にしているから、その一環で呪いについても詳しいのかもしれない。


 それでも、呪い?呪いかぁ………。

 そんなものがよりにもよって私にかけられることがある?

 そもそも一体誰がそんなものを扱えるというのだろう?

 私には人に恨まれる覚えもなければ、そんなだいそれたことができる知り合いにも心当たりがない。


「もしも呪いを受けたのであれば、なんらかの魔力痕跡が見つかるかもしれない。このスクロールに触れてみて」


 そう言って彼が私の手をとり、サイドテーブルに置いてあったスクロールに触れさせる。

 仄かな光を発したその魔法道具は、くるくると丸まっていた紙を広げていく。

 伸びた箇所には、数式のようなものが浮かび上がっていた。


 なにこれ、おもしろーい。


 魔力の少ない私は魔法経験も乏しい。

 世の中には便利な魔法道具が溢れているけれど、私に扱えるのは魔力の少ない者でも使える初級アイテム程度。

 それこそ部屋の照明だとか、冷風機だとか、生活のお役立ちアイテムくらいのものだ。

 スクロールも初級のものしか触ったことがない。


 でもこれは、間違いなく中級、あるいは上級スクロールだろう。

 魔力の痕跡を辿るだなんて難しいことが、初級スクロールでできるはずがない。

 魔力の流れを感じないことから、スクロールには、私ではなく彼の魔力が注がれているのだろう。

 

 やがて光が止まり、スクロールも動きを止めた。

 彼は私の手をそっとベッドに横たえ、スクロールを確認する。


 あ、そっち向けられると見えない!

 滅多に見られない光景に、戸惑いより好奇心が勝ってしまった。

 

( 千里眼 )


 衝動に抗えずに唱える。

 ふわりと浮かび上がる感覚のあと顔を上げると、目を丸くしたセオルと視線がぶつかった。

 セオルがあまりにも嬉しそうに微笑むものだから、無性に恥ずかしくて肉体へ戻りたくなったけれど、せっかく出てきたのだからと踏みとどまり、彼の持つスクロールをのぞき込んだ。


 うん、全然わかんない。

 見たこともない数式や文字の羅列に目眩がしそうだ。


「ほら、ここをみてごらん」


 一点をぴっとセオルが指さす。

 ここと言われても、やっぱりわからない。


「外部魔力の痕跡がある。3ヶ月前…、ちょうど最初の不調が起こり始めた頃だ」

『そうなの?見方がわからないんだけど』

「あ、ごめん」


 素直に打ち明けると、何やら説明が始まった。

 丁寧な説明なのだろうけど、専門用語が多過ぎてまったくわからない。

 それに、そもそも解説してほしいとは言ってない。


『わかんないから、要点だけ説明してくれる?』

「わかった」


 呆れられないかと少し不安だったけど、彼は気にする様子もなく了承してくれた。

 これは、対象者の魔力の流れの記録を書き出すスクロールらしい。

 魔力の消費量や流れから、いつ、どんな魔法を発動したのか読み取ることができるため、普段は魔法犯罪の捜査に用いられるという。


 こんな便利なものがあるとは知らなかった。

 そう口にはしなかったが、考えていることが通じたのか「一般市民には秘匿されている代物だよ」とセオルが付け加える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ