14.早すぎる再会
空から眺める屋敷はいつもと少し違って見えるから不思議だ。
こんな状況にならなければ、きっとこの景色を見ることはなかった。
自室の窓をすり抜け、ベッドに横たわる自分の肉体を見下ろす。
こうしてまじまじ観察してみると、記憶の中の鏡に映る自分の姿と比べると、線が細くなったのがわかる。
それでも丁寧に手入れされた髪は変わらぬままで、マリアとロザリーの献身に深く感謝した。
重なり合うように横たわれば、精神体は無事に肉体と一体となる。
相変わらず身体は動かせないけれど、ひとまず身体に戻れたことに安堵した。
それと同時にひどい倦怠感を覚える。
魔力が底をついたのだと察して、私は素直に睡魔に身を任せた。
変態相手だったけど、久しぶりに会話ができてうれしかったな。
またお話ししたいなぁ。
そう思いつつも、心の片隅に言いしれぬ不安が渦巻いていることに気づいていた。
もしかしたら、次はないかもしれない。
ほかの人と同じように、セオルの目にも私の姿が映らなくなったら?
セオルが会いに来てくれなかったら?
底しれぬ恐怖に絡め取られそうになりながら、私は意識を手放した。
※
ずいぶんとよく寝た気がする。
昨日の倦怠感がまるで嘘のようだと思いながら、私は瞼を持ち上げた。
相変わらず身体の感覚はない。
「おはよう」
斜め上から声がして、心臓が飛び出すかと思った。
視界の端に、昨日別れの挨拶を交わしたはずの男がちらついている。
は???
確かに会いにくるとは言ってたけど、何で昨日の今日でここにいるわけ?
仕事忙しいんじゃなかった?
気のせい?暇なの??
そこまでぐるぐると考えてから、はっとした。
もしかしたら、何日も眠ってしまっていたのかもしれない。
実は今は一週間後とか、そんな展開がーー
「昨日ぶりだね。寝顔も天使のような愛らしさだったよ」
あるわけなかった。
しかもさっきおはようとか言ってたから、普段とほとんど変わらない時刻に目が覚めたのだろう。
そもそもコイツ、昨日自宅へ戻ってたはずなのに、なんで起きたらいるわけ?
家に帰ったあと、こっちにとんぼ返りしてきたわけ?
もしかして家に帰らず馬車で引き返してきたとかーーいや、服は変わっているから、さすがに一度は帰宅しているのか?
状況が呑み込めず、とりあえず黙って様子を見ることにした。
千里眼を使って直接文句を言ってやってもいいが、昨日みたいにしどろもどろになって終わりそうな気がしてやまない。
「ご両親から許可をもらってね、君の状態を魔法学の観点から分析してみることにしたんだ」
私の心の声を知ってか知らずか、来訪の目的はすんなり教えてもらえた。
国の魔法省で働くセオルは、同期のなかでもとびきりの出世頭らしいと、以前父が言っていた。
父も魔法省に勤めているけど、私と同じくあまり魔力量の多い方ではないから、事務仕事をメインに行っているそうだ。
そのため憧れが強いのか、父はたびたび彼の仕事ぶりを嬉しそうに語っていた。
あんな立派な息子ができるのは誇らしいことだと。
彼の専門は確かーー
「医師では原因がわからない……それなら、病ではなく呪いが原因の可能性もあるんじゃないかって思って」




