8 公爵令嬢レイシア誘拐事件
マリエールとルシアは禁書に夢中になり、徹夜した。お陰で魔法返しが完成して、予告当日を迎えられた。
8 公爵令嬢レイシア誘拐事件
マリエールとルシアは、意見交換したり役割を分担したり明日の午後にはマリエールの屋敷に集まる事にした。
マリエールは禁書の解明を急いだ。マリエールは精神支配の魔法とその返しを担当したが、徹夜で禁書の解明をして大きな収穫を得た。ルシアがマリエールの所に来た時には2人とも目を真っ赤にして疲れ切っていたが満足げに笑っている。マリエールは、
「念話を交そうよ。」
と言った。ルシアもちろんいいよと言った。禁書の中の魔法だ。お互いに念話の魔法を通じ合えば、遠くに離れて居ても念話で話が出来る。お互いにテレパスも取得しているのであまりプライバシーがないのが難点だが今の2人には問題ない。ルシアは、
「精神支配と操作、その返しも完成したな。感知魔法も相手の精神の感知が出来るから効果も高まるだろうし。」
今迄の感知魔法は存在その物の感知だったが精神の感知も可能になったから精度も威力も上がる可能性が高い。マリエールは、
「シルビアさんに頼んで、催眠、幻覚、精度支配、精度操作の返しを魔法関係者に使える様になって貰う必要があるわね。」
シルビアさんとも念話が使えた方がいいかと思ったが躊躇う。
「シルビアさんに会いに行こう。」
2人は王城に転移した。シルビアさんには直ぐに会えて用件を伝えた。
「明日の午後2時に会議室でいいか。出席出来る魔法使いを集める。出席出来ない魔法使いにも伝えられれば大勢の魔法使いに伝えられるだろう。」
シルビアは配下の者に指示を与えた。
「閲覧履歴の確認と王宮魔導師の団長への聞き込みの結果、ロエルという魔法使いが怪盗ロイドの犯行直前から行方不明なのだそうだ。今家宅調査している。本人は見つからず、家族も行方は知らないそうだ。閲覧履歴もある。ロエルがロイドの可能性が高い。」
翌日2時にはかなりの魔法使いが集まった。魔法返しの魔法は基本同じなので、催眠、幻覚、精神支配、精神操作の魔法の理解が出来れば魔法返しは可能だ。催眠や幻覚は集団魔法なので、魔法使いは離れた所に居て、魔法返しをする。精神支配や精神操作は個別魔法なので魔法使いは近くにいていい。催眠や幻覚の場にいた魔法使いもいたが、マリエールやルシアの説明に納得出来たらしい。
いよいよ予告日時だ。マリエールはレイシアの側に、ルシアは離れて、説明会に参加した王宮魔導師も何人かがいる。マリエールとレイシアは気の合う友達だ。レイシアは利発な美少女でマリエールと同じ年齢だ。マリエールが魔法が大好きなのでレイシアは話を合わせつつ文学や芸術、世相や恋愛の話を混ぜる。レイシアの話題に関心はあるので熱心に会話出来る。2人共に優秀な令嬢なのだ。今日レイシアは誘拐されると予告されている。公爵邸は厳戒態勢だ。魔法返しの出来る魔法使いも何人もいる。レイシアはマリエールに
「私が誘拐されるなんて不思議な気分ね。あなたがいろいろ対策してくれたのでしょう。」
レイシアはマリエールに微笑む。
「国王陛下の英断です。私は指示に従っただけです。」
レイシアは、
「禁書を読み解いて、魔法返しを作って、人に教えて無敗の怪盗ロイドに備えるなんて、あなたぐらいしかいないわ。」
そんな事はないという様に、
「ルシアも一緒よ。」
レイシアとマリエールの恋愛話しに、ルシアは入ってこない。マリエール曰く、空気みたいな存在だという。マリエールは熱烈な恋愛が希望だと言っていた。
そろそろ時間だ。緊張が走る。一画でバタバタ人が倒れる。催眠魔法だ。魔法返しが返される。潜んでいた男が倒れた。捕獲される。
「ロエルじゃない。仲間だ。他にいるかも知れないぞ。」
魔法使いが叫んだ。その男がいうようにほどなく、夢心地になる者が沢山出た。幻覚魔法だ。返されてまた一人倒れ捕獲される。その後も3回催眠魔法や幻覚魔法が使われ返されて捕獲された。5人が捕らえられたがロエルはいなかった。捕獲された者の供述でアジトを調査したが、逃げた後だった。
予告誘拐は失敗した。
マリエールとレイシアはお友達。緊張感がただよう中会話が弾む。催眠魔法や幻覚魔法が放たれても魔法返しされる。5人の捕獲者にロエルはいない。