表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/33

第24章 「鋼鉄の絆!紀伊水道上空の死闘」

 その点で言うなら、和歌山支局の覚葉ちゃんは実に良い感じだよ。

「これで後方の敵は総崩れ…後は前方の敵を機銃掃射で薙ぎ払いつつ、スラッシュボウガンで敵襲に備えれば!」

 多機能ヘルメットの脳波コントロールでエアバイクの二十ミリ機銃を操作しつつ、スラッシュボウガンのエネルギー弾で広範囲の敵に対処する訳だからね。

 スラッシュボウガンは軽量で取り回しもしやすいから、こういう戦い方も出来るんだよ。

 この戦法を私のレーザーライフルで真似ようとすると、色々な工夫が必要になって来るだろうな。

 でも、私のレーザーライフルだからこそ出来る事だってあるんだよ。

「全く、こんなに湧いてきちゃって仕方ないなぁ!パプワニューギニアを食い物にするだけじゃ飽き足らず、今度は日本にまで迷惑かけようっての?だったら食わせてあげるよ、殺人レーザーの乱れ撃ちをね!」

 点在する標的を満遍なく仕留める射撃法は、レーザーライフルを個人兵装に選んだ私が白兵戦において得意とする戦い方だよ。

 だけど今回の場合は、もう一捻り加えてあるんだよね。

「今だっ!レーザーライフル、高出力モード!」

 そうして早くも墜落し始めた先の標的をも巻き込んだ高出力攻撃は、後方の大群をも消し炭に変えてしまったんだ。

 こうした高出力攻撃による大量破壊は、レーザーライフルを個人兵装に得物に選んだ私ならではの大技だよね。

 和歌山支局所属の高野姉妹の戦い方も、それは見事だったよ。

 姉の海空ちゃんも妹の弘美ちゃんも、機銃掃射と各々の個人兵装を上手く組み合わせて活用しているね。

 機銃掃射を牽制に用いて電子三節棍の電撃で心臓部に止めを刺す海空ちゃんに、両手のガントンファーを二丁拳銃として機銃掃射との合わせ技で弾幕を張る弘美ちゃん。

 各々の個性が出ていて、本当に勉強になるなぁ。

 他県の支局の子達との合同作戦だと、こんなに良い事があるんだね。

 今回の合宿研修、帰路に至るまで学びの機会に満ちているよ。

 こうして学んだ沢山の知識や経験を次に活かすためにも、一人の欠員も出さずに作戦を成功させなくっちゃね。

 せっかく仲良く少佐に昇級して交流も深めたんだもの、笑顔で凱旋して故郷に錦を飾りたいと思うのは人情だよ。


 そんな具合に最前線で暴れまくっている私達なんだけど、此度の駆除作戦でローペンと戦っているのは私達だけじゃないんだよ。

 本土の和歌山支局からも少なからず人員は出ているし、海上保安庁や自衛隊とも連携しているからね。

 私達が何の憂いもなく思う存分に戦えるのも、こうした連携やサポート体制あっての物だね。

 漢王朝の高祖である劉邦(りゅうほう)蕭何(しょうか)を戦功第一に選んだのも、情報収集や補給等で劉邦を手厚く支え、楚軍と戦いやすいように万全の体制でサポートしてくれたからだよ。

 万全の支援体制と互いを信じ合う絆があれば、項羽のような強敵が相手でも最後には勝利を勝ち取る事が出来る。

 楚漢戦争の勝者である劉邦の伝説は、そんな団結力の大切さを私達に教えてくれるよ。

 だからこそ、此度の作戦における私達の指揮官であらせられる新宮沖美(しんぐうおきみ)艦長には感謝してもしきれないなあ。

 作戦全体の総合的な指揮は勿論だけど、ローペンの群れの動向を始めとする各種情報のリアルタイム提供やドローンを用いた各種支援も万事滞りなく遂行して下さるのだからね。

 そして勿論、機銃やミサイルといった紀ノ国に搭載された各種兵器による火力支援だって心地強い限りだよ。

「紀ノ国より各機へ!これより九時の方向目掛けて艦砲射撃を行い、敵対勢力A群の掃討を開始する。総員、回避!」

 この通達には私も思わず沸き立ったよ。

 何しろA群と呼ばれた集団には、群れのボスと思わしき一際サイズの大きい個体のローペンがいたのだからね。

 コイツを仕留めれば、群れも統制を失って総崩れだよ。

「はっ!承知しました、新宮沖美艦長!」

 そうしてエアバイクを旋回させてから間髪を入れず、艦砲射撃の物凄い轟音が周囲に響いたんだ。

 この重厚にして猛々しい砲声の迫力には、もう痺れちゃうね。

 そして、その戦果も素晴らしい物だったよ。

 木っ端微塵に砕けた黒焦げの肉片が、黒煙を上げながらバラバラと散らばって太平洋へと降り注いでいくじゃないの。

 この威力を目の当たりにすると、艦砲射撃の頼もしさを改めて実感するよ。

 だけど残念ながら、本命を仕留めるには至らなかったんだ。

「ああっ!味方を盾に?味な真似をするなぁ、アイツったら!」

 濛々と立ちこめる黒煙の中から現れたボス格の個体は、手傷を負いながらも生き延びていたの。

 どうやら群れの個体を肉壁代わりにして、咄嗟に我が身を守らせたみたいだね。

 さっきよりも胸の発光器官の明滅が激しくなっている気がするけど、あれは恐らくは緊急招集の信号だったんだ。

 再び艦砲射撃を試みても、アイツは群れを盾にして身を守ろうとするだろうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
企画概要はこちら 鋭意執筆がんばり中の作品たち↓ 中長編執筆/ バナー作成/瑞月風花さま
― 新着の感想 ―
ガントンファー!? リーシャなエリーちゃんのアレですかね!? 一度は使いたい武器です。 そして……ボスは「近くにいたお前が悪い」とか言ってそう! どっちみち物量が多いから倒すの面倒だね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ