01 ニホン
再び目が覚めると、四肢を縛られた状態で椅子に座っていた。
「くっ....」
魔力が練れない。
どうやら体に魔力が流れていないようだ。
「目が覚めたかね」
「貴様は何者だ。ここはどこだ」
「そう慌てるでない。先程は手荒な真似をしてすまなかった。私は櫻井。櫻井博士だ。」
「サク....ライ?聞かない名前だ」
「それもそうであろう。ここは今まで君が生きてきた世界ではない。」
そう言うとサクライは青い球を出した。
「なんだそれは」
「これは地球儀だ。」
「チキュウギ?」
「我々がいる星を模したものだ。青い部分が海。緑の部分が陸だ。様々な国がある。」
「国?ヨルムズはどこだ」
「残念ながら君の国はここにはない」
ここには無い?どういうことだ?
「さっきも言っただろう。ここは君が生きていた世界ではない。君からすれば異世界だ。ちなみにここは日本という。」
サクライは小さく細長い島国を指した。
「っ....!」
「驚くのも無理ない。我々はある目的のため君たち異世界人を召喚する実験を行っている。」
「なんだと!実験に人を使うなど!」
「時がくれば君もわかるだろう。」
サクライによると、ニホンから私たちの住む世界に召喚される人がいるという。
その例に倣い、逆にニホンに召喚できないかと日々実験が行われているらしい。
その後、サクライからチュートリアルを受けた。
召喚される際にこの世界についての知識がある程度植え付けられること。
魔物はおらず、人間、動物、自然、と大まかに分かれていること。
動物は、ものによってはペット、食料、敵になりうるらしい。
私のいた世界でも牛や豚はいた。
そして1番の重要点が、この世界ではしばらく魔力が使えないということ。
私はこの見知らぬ世界でこれから生きていかねばならない。
魔物なしでどう生計を立てていけばよいのか。
早く元の世界に帰りたい。
みんなに会いたい。
必ず元の世界に帰る方法をみつけてみせる。
魔王も倒さないといけないし、なんたって私は
「ヨルムズ随一の魔法使いなんだから」