転移
私はこのヨルムズ王国随一の魔法使い、セーノ。
現在、魔王討伐に向け、勇者パーティとして活躍中。
今日も世界へ和のため、魔物討伐に行く。
「今回のクエスト、エリアの魔力量が不安定のようだ」
こいつは勇者のスパーダ。
イケメンで強いけど推しに弱い。
多分もう少しでオトせる。
「まー大丈夫っしょ!前回もそんなこと言って変異型のモンスターしか出てこなかったし」
この元気なのは戦士のムスカル。
ガキっぽいところはあるが、頭が切れるから頼りになる。
「その油断が命取りになるといつもいっているだろう。まったく、これだから若者は」
そしてこの爺さんが僧侶のルーチェ。
御年68歳だ。
冒険者なんて50歳が限界と言われているのによくやっている。
もう5年一緒にいるけど何考えているのかわからない。
王国を出て1時間ほどたっただろうか、討伐対象のいるエリアに到着した。
問題なくゴーレム討伐は終わりそうなのだが、
「魔力が異常なほど濃くなってきておる。スパーダよ、そろそろ撤退の準備をしよう」
「そうだな。ムスカル!そこの2匹倒したらこっちに戻ってきてくれ!」
「えー。もう少し稼ごうぜ」
「何を言ってる。魔力が濃くなってきている。戻るよ!」
「じゃあこいつら倒すの手伝えよー」
「はぁ。仕方ない。セーノ、先に準備を頼めるかな?」
「りょーかい」
私が3人の元を離れ、索敵をしようとしたその刹那。
自分でも何が起きたか理解できなかった。
一瞬にして闇に飲み込まれた。
「っ!セーノッッ!」
視界が真っ暗だ。
全身の感覚もない。
死ぬっ!この私が?!
いや、何か聞こえる。
「なんだこの数値は!さっきまで安定していたのに!」
「魔力濃度がゼロになった!」
魔力?ゼロ?なんのことだ?
「......」
「クソッ!10年前と同じか!」
「実験は失敗だ、中止しろ!」
「し、しかし....」
「早くしろ!」
「....」
「わかりました!と、止めます!」
「くっ....!間に合いません!召喚、始まります!」
「........」
召喚?召喚魔法を使えるのは私だけのはず。
感覚が戻ってきた。
目を貫くような眩しい光。
目の前にあるのは変な機械と怪しい仮面をつけたやつが3人と、変に尖ったフードを被ったやつが1人
「な、なんだお前ら!」
「おい!意識があるぞ!」
「な、何をする!やめろ!私を誰だと思っている!」
ドスっ
鈍い音と首からの衝撃と共に目の前が再び真っ暗になった。