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エピローグ

白いベールの君の手を取って、この国の神に誓いを立てる。

だが、この良きハレの日に、僕たちの胸中は非常に複雑である。この国の神とはつまり、ハイドレンジアだからだ。

だが、この国の国王の結婚式で伝統を重んじない訳にもいくまい。

良いのだ、我々は結婚式が済んだら、楽しみが待っているのだから。


「ルイス・エンパイア国王陛下、キャンベル・ノイージアを生涯に亘り尽くし、身を挺して汝の妻を守り抜くと誓いますか?」


(おい、ハイドレンジア、聞いているか?お前の負けだ。キャンベルは僕の妻になる。お前が神なら、キャンベルに禍が起こらぬ様、幸いだけが降り注ぐ様、采配しろ。良いな。お前もそう誓え)


「…陛下?」

「…誓う」


「キャンベル・ノイージア、ルイス・エンパイア国王陛下を慈しみ、慕い、生涯その愛を貫くと誓いますか?」

「…はい、誓います」


左の薬指に指輪を滑らせる。

ベール越しでも、伏した瞼が煌めいているのが分かった。

「泣いているのか?」

「ええ、そうみたいです」


ベールを捲ると、その煌めきがより一層輝いていたので、瞼に唇を寄せて、それからくちづけを交わした。


ヴァージンロードを歩み、扉の向こうの光へと進む。

扉の先には、騎士団のみんなや、貴族たちがダリアの花びらを撒く。

見れば、ウグイスやウサギやリスが、ハイデの肩に乗っていた。


(あいつ動物に好かれる質なのか?)

キャンベルはそれを見て「まあ!来てくれたの?」と言って、嬉しそうにしている。

パッとハイデの肩から降りた動物たちは、キャンベルの肩に乗ったり、腕に抱かれたりした。


その姿があまりにも神聖で

「綺麗だよ」

耳元でそう言ったら、キャンベルは真っ赤になって、ブーケで顔を隠した。



ハネムーンに向かうため、馬車に乗り込む時、僕はハイドレンジアの像を睨んで、それから中指を立てた。


「へ、陛下!!」

これから始まる新しい人生の門出を清めるため、馬車に聖水をかけていた牧師が慌てたが、僕は片眉をつりあげて、しーっと唇に指を当てた。

ギョッとした顔は、ため息と同時に呆れ顔になった。


羽よりも軽い君をお姫様抱っこしながら馬車に乗せる。

リスもウサギもウグイスも馬車の天井に乗っかったらしい。

「さて、行くか」

「本当に良いのですか?ハネムーンが魔塔だなんて」

「飽きるほど本を読んで怠惰に過ごすんだろう?良いじゃないか、我々らしくて」


そうだ、眠くなったら寝て、起きたら君に叱られながら顔を洗って、僕は釣りを、君は本を読むんだ。

君が作った鴨のローストとレーズンパンを食べよう。

日が暮れたら君の香りで眠りについて、そしてまた朝になる。

一緒に洗濯を干すんだ。

雨が降ったらウグイスが取り込んでくれると思うから、一日中寝ているのも良いな。


「完璧なプランじゃないか」


期待に胸が膨らんだ瞬間、ガコン、と馬車が止まる。

「本を積みすぎたかしら」


御者が慌てて馬車を押したので、我々も飛び出て、側近たちと総出で馬車を押した。


「少し本の数を減らしたまえ!」

「これでも厳選したのですよ!?」

「とはいえなあ、このまま魔塔まで押していくか?」


結局、いくつか行李を降ろすことになった。

キャンベルはようやく進み出した馬車で、がっくりと肩を落としている。

「まさか、馬車が止まるほどとはなあ…まあ、残りは次持っていったら良いじゃないか」

「そうですけれど…」

「さて、今日から目一杯怠惰に過ごすぞ!」


クスッと笑ったキャンベルにくちづけした。


君は知らないかもしれないだろうけれど、魔塔では僕たちと動物たちだけの結婚式が準備してあるんだ。

次は神なんかにじゃなくて、二人で誓い合おう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

粘着系と神様というのが個人的に好きすぎるので、このお話を書きました。

皆様が少しでも楽しんでくれたなら幸いです。

読んでくださった皆様に沢山の幸せがあることを祈っています。


面白かった!と思ったら、

ぜひ下の評価を【⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎】→【★★★★★】に色塗りしていただけたらとても嬉しいです!よろしくお願いします!

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