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それぞれの戦い(前半、ルイス視点、後半、キャンベル視点)

「今こそ革命を!」

「我らが真の王に勝利を!」


「「「「応!!!!」」」」


一斉に剣が上がる。

僕は自陣の真ん中で一際高く剣を翳した。

柄を持ち直し、攻め入る目的地である王城を見た。

「まさか、僕本人が乗り込んでくるとは思わないだろうなあ。僕がなぜ自ら望んでブラックアーマーになったか、それは、お前らの首を自分で獲りに行きたいたいからだ!!!」


かつて父の側近だった者たち、次に命を狙われたであろう者たち、その親族累々、私の元に集った私兵達は馬を乗りこなし、土埃を上げて王城に向かった。

馬のいななく声、昂った声、それはものすごい轟音となる。

どこの民家も戸をピッタリと閉ざしているのを横目に、一直線に王城を目指した。


いつも夜になると思い出す。

母は死の間際、私を抱き抱えたこと、その温もりを。

父の怨念めいた悲痛な顔を。

兄達の、訳がわからず死んでいく様を。

けれど、それも今日で終わる。


「キャンベルが偽物だって?偽物はお前達だ!!」


先にたどり着いた者達が、大きな金槌で王城の門を叩きまくる。

それは呆気なく開いてしまった。


雪崩のように押し入り、衛兵達を馬が薙ぎ倒していく。

「門はもっと強靭なものに改修しよう」

そんなことをポロリというと

「柄にもありませんね、焦っていらっしゃいますか?」

と隣にいたハイデが聞いた。

そうかもしれない、と思った。





✳︎ ✳︎ ✳︎





『キャンベル、遂に明日で十日目だね』

ハイドレンジアったら、今日はやたらそればっかり言う。

「明日、何かあったかしら?」

『キャンベルと私が夫婦になる日さ』

「本当?」

『そうだよ。なんて喜ばしいことだろう。君を愛しく思って苦しむ日々が終わるんだ』


ハイドレンジアが私を後ろから抱いて離さない。

「喉が渇いたわ。離してくれる?」

『だめ。喉が渇いたなら、私が飲ませてあげる』

とそう言って、水を含んで口移ししてくれる。

溢れた水が滴って、着ていた神服を濡らした。


「服が濡れてしまったわ。ねえ、ハイドレンジア」

ぎゅうと強く抱きしめられた。

金色の髪が私の肩に埋まる。

『キャンベル』

「ふふ、くすぐったいわ」

『キャンベル…キャンベル…』


ぞわっ


「や、やめて…」


ハイドレンジアは私の事を見つめた。

「えっと…?え、あれ?私…あれ?」

『ちっ…』

「ハイドレンジア?うーんと…あれ?私、何か忘れて…?」

『キャンベル。私の目を見て?』

「あの、っていうか神様と人間って結婚できるの?」


はあ、とため息をついてハイドレンジアは立ち上がった。

『天地開闢以来、人間を娶った神などごまんといる』

「でも、私なんかが…あれ?どうしてだっけ…?」

『君が産まれた時からずうっと想っていたよ。私が君をどういう目で見ていたのか、そろそろ気づいてくれないかな』

寂しそうな笑顔が向けられた。

その顔に弱い事を、多分知っているんだ。

「ハイドレンジア、ごめんね」

ぎゅうと抱きしめられた。

『十日経てば、君は現世に戻れなくなるんだから。あと一日我慢して?ね?』

「我慢?何を我慢するんだっけ?」


頬に手が添えられて、くちづけを受け入れる。

それで私は立っていられなくなってしまう。

「ねえ、ハイドレンジア、私あのスコーンが食べたいわ」

『もちろんだよ、いくらでも焼いてあげる』


少しはだけだ胸に頭をもたげた。

ハイドレンジアは、果てがないほど高い空を見上げていた。

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