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断頭台で(セイレン視点)

私は今、断頭台に首を挟まれようとしている。

あんなに私を称賛していた国民達は皆、手のひらを返す様に私に向かって石を投げた。


「悪魔め!!」「死ね!」「殺せ!!」「5歳の息子は泡を吹いて死んだ!!報いを受けろ!」「国民を馬鹿にしやがって!!お前の甘い歌声は我々を傀儡にする為の罠だったか!」


罵倒が一気に降り注ぐ。色んな声が重なり合って、高い高い悲鳴の様に聞こえる。

それはまるで私の一オクターブ高い祈り歌そっくりだった。


見れば、首斬り斧が太陽の光を反射して、それでも冷たく光っている。


私は一喝した。国民に罵倒されながら死ぬなど伯爵令嬢の矜持に反する。

「黙りなさい!蟻一匹でも大群になれば随分と態度が大きくなるものね!?」

ごぼっと吐血して、ひゅうひゅうと肩で息をした。


しん、と水を打ったように鎮まる。

衛兵が私の髪を掴み、地面へと擦り付けた。

わあっ!と一気に歓声が巻き起こる。


人の処刑に興味津々だなんて、どちらが悪魔なのか。


(死にたくない!こんなところで!こんな死に方したくない!)


強く心から願ったその時

「その処刑、待たれよ!!」

男性の大声が響いた。

黒髪の美男子がキャンベルと共に駆け寄ってきた。

悪魔が体を乗っ取っていた時の記憶をうっすらと思い出す。確か"ルイス"と呼ばれていなかっただろうか。


「何事か!処刑を止めるなど、その責を問われることになるのは覚悟の上だろうな!?」

サハリン王太子が詰め寄る。

だが、ルイスと呼ばれていたその人はサハリン王太子と対等に渡り合う。

「悪魔の最後の言葉を聞いただろう!?今セイレンを殺せば、この地に禍いが齎されると」


その言葉に国民が大いに騒ついた。


「うるさい!この国のことなど知ったことか!」

と言ってサハリン王太子は自分の失言にハッとしている。


聴衆は静まり返り、息を呑んだ。

ぽつりぽつりと「今の聞いたか?」「あの男は誰だ?」「おい、キャンベル様がいるぞ?」などと潜めた声が聞こえてくる。

それは次第に大きな騒めきとなり、大ブーイングが起こった。

「王族ともあろう者が国を売ろうとしているぞ!」「自分だけ助かろうなんて、国民を馬鹿にしやがって!」「男も女も武器を持て!王城を攻めよ!」「そうだそうだ!!」「やっちまえ!」


そのブーイングに対し、キャンベルが叫んだ。

「貴方達、待ちなさい!私は今こそ聖女としての役目を果たします!貴方達の気持ちはよくわかる…でも、今はみんなで力を合わせましょう!共に悪魔を封印するのです!」


サハリン王太子も、ただことの次第を見つめていた国王も黙るしかなかった。


「傷を、病を癒しましょう」


キャンベルの、本物の聖女の祈り歌だ。

どこからか、「聖女様」と縋る声がした。

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