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僕の秘密(ルイス視点)

「あまり驚かずに聞いてもらえたら嬉しいんだけど」と前置きする。

「…僕はね、ルカで生まれ育った訳ではない。王都の人間だよ」


窓を背にして座っているキャンベルの顔は暗い。

「嘘を、ついたのですか?」

「母がルカの出身なんだ。父は王都の出で、僕の生まれ育ちは王都だ。けれど今はルカで暮らしている。それは本当だ」

「…ここへは何の目的でいらっしゃったのですか」

この質問に、僕は黙るしかない。

キャンベルは立ち上がると、キッチンへ向かった。

無言の、酷く気まずい時間が流れる。

何やらお湯を沸かす音が聞こえてきた。

キャンベルはきっと水との相性が良いのだろう。簡単な水温操作くらいの魔法は使えるらしい。


(ならば余計にここから出たくはないだろうな)


一見、キャンベルを幽閉しているようで、これはキャンベル自身が閉じこもるための塔だ。


「キャンベル、聞いて欲しい。君はここではなくどこか安全な場所で守られるべきだ」

「例えば、そう、ルカとかで…そう言いたげですわね」

「君はここに居ては危険だ。君がここにいると知られた状態で一人でいるのは…。また王命を受けて登城することになれば、次は帰れないかもしれない」


これにはキャンベルが答えなかった。

玻璃でできた美しいグラスのカップに緑色の液体が湯気を立てている。

「玻璃のカップに熱い液体を入れて割れないのだな」

ふふ、と微笑みが返ってくる。

「玻璃に触れる部分だけ、常温に近い水になるよう魔法をかけているんです」

これには舌を巻いた。

「君はそんなに繊細な魔法が使えるのかい?」

「繊細と言っても、私ができるのはこれくらいです。日常生活に困らない程度の簡単なものしかできませんから。自家製のハーブティですわ。温かいうちにどうぞ」


透明度の高い、吸い込まれそうな瞳で僕を見てくる。警戒しているのか、それとも僕の考えていることを読み取ろうとしているのか。


「キャンベル、僕とルカに来ないか?」

「お断りします」

「王都の状況が落ち着いたら戻ってくれば良いじゃないか」

「貴方の元が安全だとどうして言い切れるのですか?」

「それは……」

「一晩で人を信用できるほど、のほほんとしてません、私。特に近づいてこようとする人に対しては」

「必ず、この塔へ返すと誓う」

「…もうこの窓も塞いでしまおうかしら」

「キャンベル…」


なんて儚げな横顔だろう。

僕に向き直った彼女はなんて切ない顔をするんだろう。

僕は意を決して言った。

「ならばキャンベル、僕もここに居候させてくれないか」

「はい?ご冗談を」

「男手があった方が良いだろう?僕は使えるぞ。とことん便利に使ってくれ」

「おかしなことを言わないでください」

「もし王都より遣いが来て、登城せねばならない時は、僕も一緒に登城するのはどうだ?それにいつでも王都に行って本を買ってここに持ってこられるぞ」


僕は差し入れの本をずらっと並べた。

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