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悪の組織とウラバナシ  作者: 桜椛 牡丹


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10/13

捏造☆ヒロインズ・バレンタインディ

 タイトルの通り捏造しました。

 バレンタインデーを逃した後に「なんか書けばよかった」と思い立ったので書き上げたものです。


 本編の時系列には全く当てはまらず、各ヒロインの好感度もまちまちだし多少の粗も気にせず急ぎで書きましたので、その辺り許容していただけると幸いです。


 あと、内容的に個人ルートに分岐した後の話になると思いますので、全員にイチャ甘される話が書きたかったワケではないです。ご了承ください。

 〇日向 陽の場合


 2月14日、俺は人気のない道をとぼとぼと歩いていた。

 世の中はバレンタインだのなんだのと浮かれているが、生憎と俺には縁のないものだ。

 何せここの所仕事が忙しくて今日も遅くまで残業である。

 義理チョコは全員に配られてはいたが、それだけ。

 誰かから手作りチョコを貰ったりなんかはしたことが無い。


 “虚しい”


 そう独りごちて空を見上げる。

 寒空の下、雲ひとつない空には星、月、闇。

 さっさと帰ってビールでも呑んで寝ようと思い、俺は家の近所にあるコンビニに寄る。


 「あ、やっと来たか」


 その言葉の先を見てみれば、日向 陽が居た。

 長く外にいたのか、顔が真っ赤だ。

 慌てて近付いて手持ちのカイロを渡す。


 「ありがと。やっぱりまだ夜は寒いな。風邪ひくかと思ったぜ」


 何故か恨みの籠った目を向けられ、困惑する。

 さっきの台詞的に俺を待っていたようだが、ここ暫くはスマホに何の連絡もなかったはずだし、彼女と会ったのも久しぶりのはずだ。


 “何か約束とかしていた覚えはないんだが”


 そう素直に言うと、彼女は「わーってるよ」と笑い、小さな包みを取り出した。

 それを俺に向け、「ん」と差し出してくる。


 “……えーっと、これは何?”


 何一つ心当たりがなくて困惑する俺に対し、彼女は心底呆れたような溜息をついて、


 「鈍い奴だな。チョコだよ、チョコ」


 そう言って、俺の手を取って受け渡した。


 “えっ……も、貰っていいの?”


 「いいも何も、アンタの為に作ったんだから貰ってくれなきゃ困るぜ」


 て、手作り?


 「オレの料理の腕を疑っているのか? 安心しろよ、変なものは入れてないから。まぁカカオ成分が多めだから味はビターって感じだけどな」


 未だに顔の赤い彼女は最後にコチラに目線を合わせ、


 「ハッピーバレンタイン♪」


 そう言って、また向日葵のような笑顔を見せた。




 〇水鏡 美月の場合


 バレンタインから数日後の日曜日。

 朝から何故か水鏡さんに呼ばれた俺は、何か彼女を怒らせるような事をしたかと恐る恐る指定された公園へと足を踏み入れた。

 普段から何かと俺に対して当たりの強い人だし、今日もまた何か嫌な絡み方をされるに違いないと、諦め混じりの心境でベンチに座る彼女の下へ向かう。


 「ようやく来ましたか。……いえ、約束の時間よりも五分早いですね。私が待ちぼうけていた時間が長くてつい」


 何やら恥ずかしそうに頬を掻く彼女は、しばらく唸った後に俺の胸元へと何かを差し出す。


 “……え、何?”


 反射的に受け取ってしまったが、この梱包はいわゆるアレだろうか。


 「……分かってますよ、出遅れたんですよ。当日に渡せなかったのは時間が合わなかったといいますかうまくできなかったといいますか作ってみたら思いのほか味気なくて作り直したといいますか……」


 なんだこのモジモジと言い訳をする可愛い生物は。


 「──! いいから貰ってください! ちょっと味が悪くても気にしないでくださいね! ……一応、手作り……で、本命なの、で………」


 そこまで言って可愛い生物は恥ずかしくなったのか、「それでは!」と一言だけ残して脱兎の如く逃げ出してしまった。

 独りで公園に残された俺は、我慢できずにその場で包みを開けてハート型のチョコを齧る。


 “……あっま”


 てっきり苦いものだと思っていた俺は、予想外の甘さに思わずその場でニヤけてしまった。

 それはもう、甘党の俺でも思わずブラックの珈琲を自販機で買ってしまうくらいに。



 〇大杉 歌恋の場合



 「はいこれ、チョコレートです。ハッピーバレンタイン」


 物凄く淡泊な物言いで出されたソレは、ビニール袋から取り出されてすらいない市販品だった。

 流石にちょっとお高めではありそうだが、義理感満載のソレを受け取って俺はどうリアクションすればよいのだろうか。


 「女の子からチョコを貰ったんですから、笑えばいいんですよ。喜び勇んで、ホワイトデーに3倍返ししてください。あ、それ一応5千円しましたので」


 5千円のチョコレートと聞いて思わず手が震えてしまう。

 高級品という点もそうだが、お返しに少なくとも1万5千円以上の物を返さなければ許さないと言われている事実に対しても、だ。


 「別に安物でもいいんですよ? 一生軽蔑の眼差しを向けられたいのならありだと思います」


 滅茶苦茶怖いこと言ってる。


 「3倍返しが無理なら、せめて同額程度の物を返してくださいね。私は自分の為に高級品を買いたくなかっただけなので」 


 ……ああ、なるほど。

 自分で食べる為に高級品を買うのは躊躇ってしまうが、バレンタインという口実で人に渡せば少なくとも同額程度のお返しが期待できると。

 そしてこう言っておけば食べ物以外を選ぶ選択肢が無くなり、かつ高級品となるとマシュマロとかは選択肢から自然と除外されるわけだ。

 策士だな。

 

 「あとどうでもいいですけど、食べたら感想も聞かせてくださいね。甘すぎるとか、苦いとか。次に買う時の参考にしますので」


 市販品なら自分も食べればいいのではないかと思ったが、せっかく貰ったのだから独り占めしたいという心もある。


 「そうですか。なら部屋に戻ってゆっくり食べてください」


 そうやってリビングを追い出された俺は、高級チョコを存分に味わう為に取っておきのワインを開けたのだった。


 ……後日、チョコレートの材料費で5千円をオーバーしているレシートを発見してしまったが、見なかった事にしようと思う。

 ホワイトデーには4倍返しにしようと心に決めて。



 〇土浦 楓の場合


 「お、お待たせしましたー!」


 バレンタイン当日。

 俺は土浦さんに呼び出されて駅前へとやってきていた。

 お互いにたまたま休みだったらしく、「だったらボクとデートしませんか、デート!」と誘われて朝から集合と相成ったワケである。


 「いやぁ、ごめんなさい。なかなか今日着ていく服が決められなくて……」


 “大丈夫、俺もさっき着いたばかりだから。それに……その服も似合ってて可愛いよ”


 「え、えへへ……ちょっと照れますね」


 こういう会話も一度はやってみたかったのだ。

 ベタではあるが、存外気恥しい。


 「では、最初は水族館の予定でよかったですか? 一応今日から始まる映画もあるので、そちらに変更でもいいですけど」


 デートの約束をした日に簡単な予定は立ててある。

 水族館は彼女の案で、映画が俺が出した案だ。

 俺もたまには水族館に行きたくなって彼女の案を即決したので、何が上映されているかなんて調べてなかったのだが、彼女はそこまで気を回してくれていたらしい。


 “水族館に行こう。それでお昼を食べて、昼からの予定が思い付かなかったら、また映画も含めて二人で行きたいところを考えよう”


 「はいっ!」


 彼女は嬉しそうにはにかむような笑顔を見せると、体当たりをするように俺の腕へと抱き着いた。


 “わっとと……”


 「えへへ……デートですからね。日頃甘えられない分、存分に甘えるので、よろしくお願いしますねっ!」


 少々気恥しいが、慣れねばなるまい。


 「あっ、チョコレートはまた後で。ちゃんと用意しているので安心してくださいね」


 そのままイチャつきながら、俺達は改札を抜けた。

 ちなみにノアを含めた精霊組がいないのは彼女達が渡す側ではなく常にもらう側だからです。


 それはただの言い訳で、ノアがデレた様子を書こうとするとものすごい文量になってしまって大遅刻では済まないからです。

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