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45、心配

しばらく間が空いて申し訳ありません。久しぶりの更新です。よろしくお願いいたします。

ミッチーが家に入り浸るようになって、恋人になって。

ママと私とノリコの女所帯を心配して、色々助けてくれたし、心配してくれて。

特にミッチーの兄姉と内藤さん親子の事件があってからは、ママも私もミッチーに色々と相談するようになった。

その中で、一番のママと私の心配事だったのが、ノリコの両親、そして父方の親族のことだった。

幸先が良いデビューを飾り、有難い事に仕事がたくさん入ってきている状況であの親に出て来られたら、ノリコが食い物にされると思ったのだ。

それまでミッチーにはノリコが家に引き取られた時の状況を少しだけ話してはいたけれど、ママが当時のノリコとの養子縁組や経緯を詳しくミッチーに話し、できたら今ノリコの両親がどうなっているか調べてほしいと頼んだ。

するとミッチーはどういう伝手で調べたのか・・・翌週には、ノリコの祖父は8年前に、両親は3年前に亡くなっていることを報告してきた。

祖父は酔っぱらって駅の階段から落ちて頭を打ち亡くなったそうだが、問題は両親で、貧乏で碌な稼ぎもなかったのに亡くなった時は高額な保険金が掛けてあり、父親の弟がそれを受け取ったというのだ。どう考えてもおかしいけれど、父親の弟は現在行方不明で、もしかしたら事件が絡んでヤバイ状態になっているかもしれないというミッチーの感想だった。


それなのに、その父親の弟が生きていて。

ノリコがその弟を見かけて、父親と間違えて昔のトラウマがぶり返したのが倒れた原因だったなんて!!

一体、どこまでノリコを苦しめれば済むんだ!?

その上、俳優の春川さんが高校生の頃、ノリコが両親のもとにいた時虐待を受けていたのを知って、カラスをけしかけてノリコを助けたことが判明して。

それと同時に、どれだけ当時ノリコが酷い仕打ちを受けていたのか、今更ながら知って。

ショックで体が震えた。

ミッチーが隣に来て、慰めてくれたけど・・・小さかったノリコは慰める人も庇ってくれる人もいなかったんだと思うと、余計泣けてきた。

もう、体中に怒りが駆け巡り、ミッチーやノリコの事務所関係者に怒鳴り、当り散らしてしまい、後から申し訳なかったなとひっそり反省したのだけれど。

何故か皆、怒ったり逆らったりすることはなく、それから信じられない位私に従順になっていて、何故そうなったのか・・・よくわからない。



それからノリコは強い精神力で体調を戻し、ディナーショーを無事銀座で終えることが出来た。

銀座の方へは、私は顔を出さなかったけれど随分評判が良かったようだ。

昨晩ディナーショーが終わって帰宅したミッチーが、ニコニコと笑いながらノリコが頑張った様子を話して聞かせてくれた。

そして、明日からは『グランドヒロセ鎌倉』でディナーショーが開催されることになっていて、今日は1日休みだ。

流石に、ノリコについているミッチーも疲れている様で、2とも朝はゆっくりと起床した。

ノリコがベーコンエッグと厚切りトーストが食べたいと言い、ミッチーも同じように作って作ってと言い出したので、私は台所に立っていた。

すると、そこへノリコの事務所から連絡があり、急遽仕事がはいったという。

少しくらい休ませてやりたいし、せめて朝食くらいゆっくりと食べさせたかったのに。

そう思う私とは裏腹に、仕事と聞いて目をキラキラさせながら、ベーコンエッグをかき込むノリコに、私の心配は夢を追いかけているノリコには枷になるのかもと、ついミッチーに言おうとした文句を飲み込んだ。



「エミ、あんたがノリコを思う気持ちが、あの子をここまで大きくして、あの子を強くしたんだよ。私もつい、心配な気持ちが先に立ってしまうけどね・・・それをグッと我慢して、見守ってやらないとね。」


私の気持ちなどお見通しのママは、食器を洗う私にそう声をかけてきた。

今日は休みだと思っていたノリコもミッチーも仕事になり、私は何となくモヤモヤした気持ちのまま散歩がてら商店街の方へ買い物に行こうかと思い立った。





ぶらぶらと歩いていたら、バッタリと『呉服のくに松』の若と会った。

そしてその隣には何故か仏頂面の長太郎がいて、虫の居所が悪いのか私を見て舌打ちをした。


「あ、エミちゃん。この間はありがとう。江村先生ともあれから連絡とってるんだ。よさそうな反物そろえておくからさ。選ぶの楽しみにしていて。」


若がにこやかにそう言うと、となりの物仏頂面の長太郎がいきなり絡んできた。


「ホント、いいよなぁ。金の心配しなくていいからさぁ。旦那だって、金持ちそうだし。スゲェ外車乗り回しているくせに、またデカい外車買って。そんなん見てたら、真面目に働くのが馬鹿らしくなるぜ。」


「はぁ?何言ってんの。私はあんたと違って、普段はちゃんと節約して貯金してるの!確かに今回親に結婚衣装とかそろえてもらうけど、その分これからもっと親孝行しようと思ってるんだから。ミッチーだって、好きな車に乗れるのはそれだけ甲斐があるからなの!それに大きな車買ったのだって、家族で出かけるためだし、ママを病院まで送り迎えできるようにって考えて、座席までリクライニングのイイ椅子に変えてくれたんだよ?真面目に働いているのが馬鹿らしいって、まるでミッチーが働いていないみたいじゃない!冗談じゃないわよ。夜中まで働いててクタクタな顔して帰ってくるし、自分の仕事を家でするときは、徹夜なんてざらだよ?それで、朝、ノリコと一緒に出かけて・・・ミッチーあんなにニコニコしてるけど、長太郎なんて比べ物にならない位働いてるんだよっ!体が大丈夫なのか心配なくらいだよ!勝手な想像で、変なこと言わないでっ!」


と、思わず大きな声を出してしまった。

おかげさまで、さっきまでモヤモヤしていた気持ちがすっきりしている。

偶には長太郎も役に立つな・・・と、心の中で思っていたら。


「競馬で婚約指輪を買う金を自分がスッておいて、人に絡むなよっ。悪いのは自分だろ?よく、人に金貸せなんて言えるよなっ!」


若が長太郎の頭を叩きながら、いきなり爆弾発言をした。

いくら若が大きな呉服問屋の跡取りだからって、普段あまり仲良くしていない若に借金申し込むって・・・長太郎、どういうつもりなんだろう・・・。

驚いて物も言えない私だったけれど、気まずいのか長太郎はむくれた顔で、競馬で当てて小百合ちゃんにもっと大きい指輪買ってやりたかったんだ・・・と、言い出した。

その視線は、私の左薬指の指輪に向かっていて。

何となく、同時期に結婚した私たちに対抗心があったのかもしれないと少し同情心が湧いたけれど。


「だからって、そんなあぶく銭で一生の愛を誓う指輪を買うのはどうかと思うぞ?身の丈ってもんが人間にはあるんだ。身の丈に合わせた幸せが一番いいんだよ。エミちゃんの家を金持ちだって羨むけど、見えない努力や苦労もうんとあるんだぞ?おまえのようなどうしようもない男に、等身大のお前でいいって結婚してくれるって相手がいるだけ、幸せだと思え!誰もかれもが好きな相手と結ばれると思うな!」


若がかなり厳しいことを長太郎に向かって言った。

たしかに、若の言うことはその通りで・・・だけど、普段あまり人の事に口を出さない若が珍しいなと思い、思わず若の顔を見たら・・・なんとなく、若は鎌倉からいなくなるんじゃないかという気がして、心配になった。



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