アンナの恋愛相談室
サリアナは、昼間の公園でのカップルの前でのやり取りを思いだして自室で悶々と悩み、
「もしかして私って超恋愛初心者?免疫ナシ?だめだめ?」
「お嬢様…何を今さら分かりきったことをおっしゃっているのですか?」
侍女のアンナに突っ込まれていた。
「え?本当に?」
「失礼ですが、お嬢様はメンタルの強さ及び冒険者としては一級だと誰もが認めるところでございますが、恋愛に関してはヨチヨチ歩き…いえ、ハイハイ…いえ、寝返りも出来ていない赤ん坊でございます」
「そこまで?むぅ、アンナも恋愛初心者ではないの?」
「私は結婚を前提にお付きあいしている男性がおります」
くりん、と首を捻ってアンナを見ると少し頬を染めていて、サリアナはパッと笑顔になる。
「え?結婚前提?!アンナ、おめでとう!!もう結婚する日も決まっているの?良ければ私も結婚式呼んで欲しいわ!あっ、お仕事辞めてしまうのかしら?出来たら辞めないで欲しいけど…」
話しているうちに、少ししょんぼりするサリアナ。
「今のところ、辞める予定はございません。この侯爵家は福利厚生バッチリで子供が出来て一時離れても復帰出来ますし、彼もこちらで勤めておりますから…」
「あら?お相手は誰?」
「ペーターです」
「まぁ、あのゴリラさんの時のツッコミ属性の護衛のペーター?(←森のゴリラさん参照)素敵!あねさん女房ね!!」
片手を頬に当て、ふぅと吐息をついて遠くに視線をさ迷わせるサリアナ。
「あのね、アンナに教えて欲しいの…どうやったら自分と結婚してくれる殿方を見定められるの?
ほら、私も貴族だから政略結婚をすると思っていたけれど、私が少ーし元気だから、皆婚約を解消になってしまったでしょう?
だから、自分で捜さないとイケないと思って頑張っているつもりなんだけれど、どうも最近、頑張る方向性が違う気がしてきたのよね」
「今さらですか?…逆にお聞きしたいのですが、今まで恋愛方面でどのように頑張ってきたおつもりだったのですか?」
「懇親会でいえば、真面目にお客様の接待等のお仕事をして参加をしていれば見初めてくださる方や、お話をする機会があれば自然に親しくなれるかと思っていたわ」
「間違ってはいないですね。しかし、お嬢様は以前夜会でベガルータ皇子殿下の前で噴水を破壊しておりますよね?懇親会の会場では、ナルエル王弟殿下がブリザードを起こした時にお止めせずに、氷像を彫ることに集中していましたね?殿方が見初めてくださるでしょうか?」
「うっ!」
「それに、お嬢様の『無自覚破壊神』の異名があるのは他国の皆様もご存知でしょうから、普通のご令嬢の正攻法でいっていもドン引かれる未来しか見えません」
「ううっ!」
「もう、こちらに滞在していらっしゃるベガルータ皇子殿下かナルエル王弟殿下で良くありませんか?少し問題がある方々かもしれませんが、お嬢様にも問題がアリアリですし、どっちもどっちで問題なしです!」
「うううっ!アンナが酷い!!」
「真面目なお話ですが、お二方はダメですか?そんなに性根は腐ってないと思うのですが…」
「性根が腐ってない…。そこが基準?基準低くない?大事なことだけれど、それで良いのかしら?
う~ん、ベガルータ様は初対面の印象が悪かったので、そういう対象として私は見ていないわね。初対面以降は私には実害無いし、そんな嫌な行動はなさらないから、お友達なら良いわ…。
ナルエル様はこの間の公園での魔法は見事でしたわ。その方面は尊敬出来る方だと思うけれど、彼は私に興味がないように感じるの。というか、彼は異性に、いいえ他人に興味があるのかしら?引きこもることしか考えていないように私には見えるわ」
「フムフム、つまりベガルータ皇子殿下はマイナス。ナルエル王弟殿下は今のところ尊敬出来る所もあって、マイナスではない、ということですね!」
「言われてみれば、そういう事になるのかしら?あら、とてもシンプル!」
「シンプル・イズ・ベストです!お嬢様」
「そうね!とりあえず、ナルエル様にターゲットロックオンで頑張ってみようかしら」
「かしこまりました。侯爵家使用人一同、お嬢様の幸せのため、サポートをいたします」
「え?あまり大ごとにはしないでね。使用人一同って、まさか師匠にも話を振ったりしないわよね?やめてちょうだい。多分、その瞬間に全てが終わりそうな予感しかしないわ」
「もちろんです!ザッカードさんに話をしたら、おそらく冒険者スキルをフルに使って録でもないことしかしませんからね!」
フラグ…それは会話の中で起こって欲しくない未来の事柄などを話したために、その未来を引き寄せてしまうことである。
誤字脱字報告&感想ありがとうございます。