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「みんな。勝手だけどしばらくソロで修行しようと思うんだ」
パーティーメンバーが一堂に面した場で悩んだ末にアルはそう切り出した。
「アルがそう決めたなら僕に異存はないよ。でも何か力になれることがあったら言ってくれ。僕たちは仲間だからね」
セクタはいつものように和やかに答える。
「そうね。しばらく辛気臭い顔を見なくてせいせいするわ」
サフィはこれでも心配してる……はずだ。
「でもでも、結束祭にはみんなで集まろうね!」
ナナはいつも通り明るい未来について語っている。
結束祭とは、英雄王がパーティーを結成した日を祝う祭りだ。冒険者が多いこの町では特に盛大なものになる。
「みんなは何か予定があるのか?」
「僕とサフィは新しいダンジョンの偵察に向かう予定だよ」
「同じく」
「私はサフォルに向かう行商隊の護衛に加わるかな」
サフォルとはここから南東にある町でそれなりに規模は大きい。交通の要所でロタンの市に並ぶ品物の一部はサフォルを通っているはずだ。
「でね、そこの行商隊が面白いんだ! 荷馬車じゃなくてゴーレムを使って荷物を運んでるの!」
「ゴーレムを? 確かに面白いことをするね」
ゴーレムを購入するにはかなりの大金が必要だ。自分が<ゴーレム作成>のスキルを持っていれば材料費だけで済むけどそれでも高い。
しかも荷運びができるとなればそこそこの思考力がないと務まらない。輸送力の一翼を担う量を購入するなり作るなりするのは一種のギャンブルだろう。それでも長い目で見れば人を雇うよりも安くつく、そう判断したのかもしれない。
「なんでもサフォルでは最近ゴーレムを作れる人が増えてるんだって」
ナナがソロでサフォルに向かうことが増えたのはそういうことだったのか。新しい物好きなナナにとってゴーレムは物珍しいのかもしれない。
その後も歓談は続き、数年連れ添った仲間だけが出せる和やかな空気がゆったりと時を刻んでいた。
こうしていると他のメンバーは自分一人でも仕事を見つける力はあると確信できてしまう。
その事実は少し前なら胸を焦がしただろうが、今は焦っていない。どういう答えを出すにせよ、結束祭までには結論を出さなくては。




