第51話 悲劇のヒロイン!
今回も桃井の回です。
~飲み屋にて~
私、桃井は笹野課長に飲み比べを挑みました。
やはり、上司ですし今猿社長のご友人ということで本心を素面だと聞きづらいのです。
それにお酒が入れば笹野課長も本心を、見せるはずです。
「そんなに一気に飲んで大丈夫か?」
笹野課長は私のことを、心配しています。
笹野課長はグラスビール14杯飲んでいるのに全然顔色を変えません。
私は4杯飲んで、酔いが回ってきました。
「負けましたあ。笹野課長は桂さんのことどう思ってるんですか? 」
なぜか私の頭の中に、最初に浮かんだのは桂さんでした。
「桂くんは気が利くし、社交性があり総務課を円滑にしてくれてるな。」
笹野課長は桂さんを高く評価しているようです。
「男性としてはどうですか? 」
私は思い切って笹野さんに尋ねてみました。
「弟みたいな感じだな」
笹野さんがそう言って、なんだかそこで、ちょっと安心してしまった自分がいます。
「じゃあ。今猿社長についてはどう思ってるんですか? 」
私がそう言うと、笹野課長は表情を変えずに答えてくれました。
「あいつは苦楽を共にした戦友だな。頼りにしているよ」
「今猿社長から女性として好かれていることは知ってますよね? 今猿社長とは付き合わないんですか? 」
私は気になっていたことを質問してみました。
あんなに飲んだのに笹野課長は、またビールを飲んでいました。
「まあ、女性として何回も心が揺れ動いた時があるのは確かだ。ただ……」
笹野課長がどこか思いつめた顔をしていました。
「ただ……なんですか? 」
私は気になって笹野課長に尋ねてみました。
「一緒にいすぎて異性として好きなのか家族として好きなのか友人として好きなのか分からないんだよ」
笹野課長はニコッとしながら言いました。
「心揺れ動いた時に付き合ってみたらいいじゃないですか! 」
笹野課長は私が言ったことに驚いたようでした。
「私はそこまで器用なことは出来ないんだ」
笹野課長はそう言って枝豆を食べる。
「それじゃあ。橘さんのことはどう思ってるんですか? もちろん男性として! 」
私がそう言うと、笹野課長は一瞬固まり笑い始めました。人が真剣に聞いてるのに笑うなんて失礼です。
「橘くんのことはなんとも思ってないよ! ただの部下だよ」
「嘘ですよね! 橘さんの時だけ表情を変えましたよね! 」
私は笹野課長をじっと睨みました。
「とにかく橘くんのことはなんとも思っていない……」
どう見ても動揺しているのになぜなんとも思ってないなんて言えるのでしょうか?
「じゃあ。私が橘さんもらっちゃいますよ」
笹野課長は寂しそうな顔をした。
「かまいません。それで権太くんが幸せなら。それに好きと素直に言えることは幸せだよ。言える時に言ったほうがいいよ」
なぜ私は恋敵に告白を推奨されているのでしょうか?
笹野課長はだんだん本音が出てきたようで、やはりさすがの笹野課長も酔いが回ってきたようです。
「本当は橘さんのことが好きで好きでたまらないんじゃないですか? 」
私がそう言うと、笹野課長はまた思いつめた顔をしました。
「私はとっくの昔に諦めた。今一緒にいられる。これだけで奇跡なんだ」
笹野課長は自分に言い聞かせるように言っています。
「昔っていつのことですか? 」
笹野課長と橘さんは、今猿社長のお誕生日プレゼントを買いに言った時が初めて会ったはずです。
「…14年前高校時代に橘くんとは同級生だったんだよ」
笹野課長は言いづらそうに言いました
私よりも早くから橘さんとは出会っていたことにショックを受けました。
「その頃からずっと好きなんですか? 」
私は酔いがだいぶ回ってたのでしょうか。笹野課長にグイグイと質問しました。
笹野課長は初恋をずっと引きずっているんでしょうか?
「さあどうだろうね。昔私は橘くんを傷つけた。私に、そんなことを言う資格はないな」
笹野課長ははぐらかして寂しそうにする。
「ようするに悲劇のヒロインぶってるヘタレなんですね」
私は笹野課長の言葉にイライラとして、つい失礼なことを言ってしまいました
「な、なんだって?! 」
笹野課長は怒りはしなかったですが驚いているようでした。
「昔の初恋をかさにして橘さんとも今猿社長ともはっきりしないじゃないですか? どんな事情を抱えてるか知りませんが昔のお話ですよね? 今好きなら好きといえばいいじゃないですか? 」
私が机をバンバン叩きながら言いました。もうここまで来たら、後に引けません。
笹野課長はたじろいでいるようです。
「橘くんの気持ちを考えないと……」
「もう2人とも両想いなのが分からないんですか?見ていて腹が立つんです! 私なんてただのピエロじゃないですか! 」
私は号泣し出しました。
「わかったわかったわかった。桃井さん飲みすぎだ。水を飲みなさい」
笹野課長は水を私に注いできました。
私はそれを一気飲みして意識を失いました。
気がつくと誰かにおんぶされてました。
私をおんぶしていたのは桂さんでした。
「悪いな。会社に電話したら桂くんしかいなくてな」
「いいんすよ。笹野課長こんなことならいつでもお受けしますよ」
そんな2人の会話が聞こえてきた。桂さんまで笹野課長と仲良くされたら嫌なんです。
「桂さん……私はもう大丈夫です」
私は桂さんに声をかけました。
「目を覚ましたのか? 」
笹野課長が心配そうに私を見る。
「どうして桂さんがここにいるんですか? 」
私はガバッと起き上がり桂さんはふらつきました。
「桃井ちゃんのためならどんなときも飛んでいくよ」
桂さんは私を下ろしながら言いました。
まったくこの人はブレないんですね。
でもそれが嬉しかったりするんですね。
「笹野課長ご迷惑おかけしました」
私は深々とお辞儀をしました。
「その様子なら1人で帰れそうだな」
笹野課長は少し微笑んだように見えました。
「じゃあ僕も……」
この時私は酔っていたのでしょうか? 桂さんが帰ろうとした時に私は桂さんの服の端を掴みました。
「桃井ちゃん!? 」
桂さんはめちゃくちゃ驚きました。
笹野課長はふっと微笑んだ。
「まあ、ほどほどにな。気をつけてな」
笹野課長はタクシーで帰っていきました。
「どうしたの? 桃井ちゃん」
桂さんは私のことをじっと見ています。
「私桃井は橘さんのことを諦めました! 」
私はふらつきました。
世界がぐるぐると回っています。
「どうして? 」
桂さんは私を支えながらそう言いました。
「私が入る隙間など微塵もなかったからです」
私はポロリと涙をこぼしていました。
「そうなんだ。よしよし」
桂さんが私の頭を撫でてくれました。
「桂さんは私だけを見ててください」
私は周りを気にせずに泣き叫んでいました。
「桃井ちゃん! 落ち着いて! もちろんそうするよ」
桂さんはそう言って、私に口付けをしました。
さっきの笹野課長のセリフを思い出しました。
《素直に好きって言えることは幸せだよ。言える時に言ったほうがいいよ》
「桂さん……好きです」
私は小声で桂さんに言いました。
「も、桃井ちゃん本当? 橘先輩よりも」
桂さんは私の声を聞き取っていたようです。
「うん。橘さんよりずっと」
私は千鳥足で歩いていました。
「やっぱり家まで送るよ」
桂さんは私をおんぶしようとしました。
「いーえ。今日は家に帰りたくないです」
私はおんぶしてもらうのを断りました。
「えっ! 」
桂さんは目を見開いて驚いていました。
近くにはホテルがありました。そこで2人で休んでいくことにしました。
部屋に入って桂さんがお酒を飲んでいたのを覚えていますがそこから記憶が……ないです。~飲み屋にて~
私、桃井は笹野課長に飲み比べを挑みました。
やはり、上司ですし今猿社長のご友人ということで本心を素面だと聞きづらいのです。
それにお酒が入れば笹野課長も本心を、見せるはずです。
「そんなに一気に飲んで大丈夫か?」
笹野課長は私のことを、心配しています。
笹野課長はグラスビール14杯飲んでいるのに全然顔色を変えません。
私は4杯飲んで、酔いが回ってきました。
「負けましたあ。笹野課長は桂さんのことどう思ってるんですか? 」
なぜか私の頭の中に、最初に浮かんだのは桂さんでした。
「桂くんは気が利くし、社交性があり総務課を円滑にしてくれてるな。」
笹野課長は桂さんを高く評価しているようです。
「男性としてはどうですか? 」
私は思い切って笹野さんに尋ねてみました。
「弟みたいな感じだな」
笹野さんがそう言って、なんだかそこで、ちょっと安心してしまった自分がいます。
「じゃあ。今猿社長についてはどう思ってるんですか? 」
私がそう言うと、笹野課長は表情を変えずに答えてくれました。
「あいつは苦楽を共にした戦友だな。頼りにしているよ」
「今猿社長から女性として好かれていることは知ってますよね? 今猿社長とは付き合わないんですか? 」
私は気になっていたことを質問してみました。
あんなに飲んだのに笹野課長は、またビールを飲んでいました。
「まあ、女性として何回も心が揺れ動いた時があるのは確かだ。ただ……」
笹野課長がどこか思いつめた顔をしていました。
「ただ……なんですか? 」
私は気になって笹野課長に尋ねてみました。
「一緒にいすぎて異性として好きなのか家族として好きなのか友人として好きなのか分からないんだよ」
笹野課長はニコッとしながら言いました。
「心揺れ動いた時に付き合ってみたらいいじゃないですか! 」
笹野課長は私が言ったことに驚いたようでした。
「私はそこまで器用なことは出来ないんだ」
笹野課長はそう言って枝豆を食べる。
「それじゃあ。橘さんのことはどう思ってるんですか? もちろん男性として! 」
私がそう言うと、笹野課長は一瞬固まり笑い始めました。人が真剣に聞いてるのに笑うなんて失礼です。
「橘くんのことはなんとも思ってないよ! ただの部下だよ」
「嘘ですよね! 橘さんの時だけ表情を変えましたよね! 」
私は笹野課長をじっと睨みました。
「とにかく橘くんのことはなんとも思っていない……」
どう見ても動揺しているのになぜなんとも思ってないなんて言えるのでしょうか?
「じゃあ。私が橘さんもらっちゃいますよ」
笹野課長は寂しそうな顔をした。
「かまいません。それで権太くんが幸せなら。それに好きと素直に言えることは幸せだよ。言える時に言ったほうがいいよ」
なぜ私は恋敵に告白を推奨されているのでしょうか?
笹野課長はだんだん本音が出てきたようで、やはりさすがの笹野課長も酔いが回ってきたようです。
「本当は橘さんのことが好きで好きでたまらないんじゃないですか? 」
私がそう言うと、笹野課長はまた思いつめた顔をしました。
「私はとっくの昔に諦めた。今一緒にいられる。これだけで奇跡なんだ」
笹野課長は自分に言い聞かせるように言っています。
「昔っていつのことですか? 」
笹野課長と橘さんは、今猿社長のお誕生日プレゼントを買いに言った時が初めて会ったはずです。
「…14年前高校時代に橘くんとは同級生だったんだよ」
笹野課長は言いづらそうに言いました
私よりも早くから橘さんとは出会っていたことにショックを受けました。
「その頃からずっと好きなんですか? 」
私は酔いがだいぶ回ってたのでしょうか。笹野課長にグイグイと質問しました。
笹野課長は初恋をずっと引きずっているんでしょうか?
「さあどうだろうね。昔私は橘くんを傷つけた。私に、そんなことを言う資格はないな」
笹野課長ははぐらかして寂しそうにする。
「ようするに悲劇のヒロインぶってるヘタレなんですね」
私は笹野課長の言葉にイライラとして、つい失礼なことを言ってしまいました
「な、なんだって?! 」
笹野課長は怒りはしなかったですが驚いているようでした。
「昔の初恋をかさにして橘さんとも今猿社長ともはっきりしないじゃないですか? どんな事情を抱えてるか知りませんが昔のお話ですよね? 今好きなら好きといえばいいじゃないですか? 」
私が机をバンバン叩きながら言いました。もうここまで来たら、後に引けません。
笹野課長はたじろいでいるようです。
「橘くんの気持ちを考えないと……」
「もう2人とも両想いなのが分からないんですか?見ていて腹が立つんです! 私なんてただのピエロじゃないですか! 」
私は号泣し出しました。
「わかったわかったわかった。桃井さん飲みすぎだ。水を飲みなさい」
笹野課長は水を私に注いできました。
私はそれを一気飲みして意識を失いました。
気がつくと誰かにおんぶされてました。
私をおんぶしていたのは桂さんでした。
「悪いな。会社に電話したら桂くんしかいなくてな」
「いいんすよ。笹野課長こんなことならいつでもお受けしますよ」
そんな2人の会話が聞こえてきた。桂さんまで笹野課長と仲良くされたら嫌なんです。
「桂さん……私はもう大丈夫です」
私は桂さんに声をかけました。
「目を覚ましたのか? 」
笹野課長が心配そうに私を見る。
「どうして桂さんがここにいるんですか? 」
私はガバッと起き上がり桂さんはふらつきました。
「桃井ちゃんのためならどんなときも飛んでいくよ」
桂さんは私を下ろしながら言いました。
まったくこの人はブレないんですね。
でもそれが嬉しかったりするんですね。
「笹野課長ご迷惑おかけしました」
私は深々とお辞儀をしました。
「その様子なら1人で帰れそうだな」
笹野課長は少し微笑んだように見えました。
「じゃあ僕も……」
この時私は酔っていたのでしょうか? 桂さんが帰ろうとした時に私は桂さんの服の端を掴みました。
「桃井ちゃん!? 」
桂さんはめちゃくちゃ驚きました。
笹野課長はふっと微笑んだ。
「まあ、ほどほどにな。気をつけてな」
笹野課長はタクシーで帰っていきました。
「どうしたの? 桃井ちゃん」
桂さんは私のことをじっと見ています。
「私桃井は橘さんのことを諦めました! 」
私はふらつきました。
世界がぐるぐると回っています。
「どうして? 」
桂さんは私を支えながらそう言いました。
「私が入る隙間など微塵もなかったからです」
私はポロリと涙をこぼしていました。
「そうなんだ。よしよし」
桂さんが私の頭を撫でてくれました。
「桂さんは私だけを見ててください」
私は周りを気にせずに泣き叫んでいました。
「桃井ちゃん! 落ち着いて! もちろんそうするよ」
桂さんはそう言って、私に口付けをしました。
さっきの笹野課長のセリフを思い出しました。
《素直に好きって言えることは幸せだよ。言える時に言ったほうがいいよ》
「桂さん……好きです」
私は小声で桂さんに言いました。
「も、桃井ちゃん本当? 橘先輩よりも」
桂さんは私の声を聞き取っていたようです。
「うん。橘さんよりずっと」
私は千鳥足で歩いていました。
「やっぱり家まで送るよ」
桂さんは私をおんぶしようとしました。
「いーえ。今日は家に帰りたくないです」
私はおんぶしてもらうのを断りました。
「えっ! 」
桂さんは目を見開いて驚いていました。
近くにはホテルがありました。そこで2人で休んでいくことにしました。
部屋に入って桂さんがお酒を飲んでいたのを覚えていますがそこから記憶が……ないです。
読んでくださりありがとうございます!




