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取り憑き婚活~すれ違い系ラブコメ~  作者: かなかな
2章 ~記憶を取り戻せ~
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第41話 デートと従姉妹

グッズは大事ですよねソワソワ((・ω・))

「あっしまったああああ」

僕は思わず叫んだ……

権蔵のせいで……!


「どうしたんですか? 」

今猿(いまさる)社長達が一斉に振り向いた。


「ぐ、グッズを買えなかった……」

僕は床に崩れ落ちた。


さっき、今のチャンスが大事とか思った罰が当たったんだ……


「ドームツアーの限定グッズなら一通り橘さんの分も買いましたよ? 」

如月(きさらぎ)さんが大きな袋を僕に渡した。


如月さん!あなた天使ですか?

どうりで待ち合わせ場所に如月さんは、なかなか来なかったんだ。


「なぜ僕の分まで? 」

「じゃんけんで負けて3人分買うはずだったんだけど……ありすが橘くんの分も買っておいてくれって」


「私はほんとに好きなんだよ」

笹野さんが僕を見ながら言う。また権蔵のやつ!


「ん? なんじゃ?」

権蔵は大人しく僕の後ろにいた。


「グッズが! 」

笹野さんが如月さんからもらったグッズを嬉しそうに、抱きかかえる。


ですよね……

『僕も好きです……グッズが』とすら恥ずかしくて僕は言えなかった。


そして僕は如月さんにグッズ代を渡した。


その後、ライブは無事感動の中終わった。


笹野さんはライブ中は、すごく盛り上がっていていつものクールな感じとは全然違った!!


突然如月さんが何やらこっそりチケットを僕に渡してきた。

「私と友達行けなくなったからありすを誘いなよ」

今猿社長に聞こえないように如月さんは僕に言う。


「何で僕が……」

僕はたじろいだ。

何で僕が笹野さんをデートに誘わないといけないんだ。


「さっきグッズ買ってきたのは誰だったかな? 」

うぐ!如月さん痛い所を責めてきた!


「チャンスじゃ! 次は2人っきりでデートやろうが! 」

権蔵も小声で僕に言う。


僕は如月さんからチケットを受け取った。


「これ。あげます」

そして僕はそう言いながら、そのまま笹野さんに渡した。

「いいのか? ありがとう! 私がからきさん好きなの知ってたのか? 」

笹野さんは無表情で受け取る


「もちろん歌い手のからきさんでしょ」

僕は即座に答えた。

いやあ。koutube見まくっていて良かった。

笹野さんが好きかどうかは知らなかったけど、誰のチケットかはすぐ分かった。笹野さんは本当に嬉しそうにしている。


「じゃあめぐと行くから」

笹野さんの少し口元が緩んだ気がする

あっ!2枚ともあげるって意味に取られたか……


「あーもうせっかく如月からもらったのに! 権太はなあ。笹野と2人で行きたいんじゃ!」

権蔵がイライラしながら笹野さんに言った。


権蔵余計なことを!


「えっ? めぐからもらったの? 」

笹野さんの顔がひきつっている。


ほらみろ!痛いところを突っ込まれた!


「えーとそうです。聞かれなかったので言わなかっただけです」

僕はとりあえず、誤魔化した。


「じゃあ2人でいくか! 楽しみにしてるよ」

笹野さんは少し微笑んで僕に言った。


その瞬間にドキッとした。笹野さんってやっぱり笑うと可愛い……かも。


僕の前を見覚えのある人が歩いている。


僕が誰かか気づくより先に笹野さんが声をかけた。

「光ちゃん? 」


振り向いたその人は小豆沢光(あずさわひかり)さんだ。僕が結婚相談所でお見合いした人だ。


「えーと。どなたですか? 」

小豆沢光さん……小豆沢()さんが2人いるので、 ここからは光さんと呼ぼう。

光さんは思い出せなくて困ってるようだ。


「私! 小豆沢蔵子(あずさわくらこ)だよ」

笹野さんが昔の名前で自分のことを説明した。


自分から小豆沢蔵子()って言ったのは、(えにし)の結婚式以来だな。


「く、蔵子ちゃん? 何か感じ変わったから分からなかったよ~何年ぶり? 」

光さんはものすごく驚いていた。

一体2人の関係性は何なんだ?


「14年振りだね」

笹野さんが思い出しながら言った。


僕と同じぐらい笹野さんと会ってないみたいだ。


「そちらの人達は?」

光さんは僕達の方を見た。


「ああ、この人は私の友人で会社の上司の今猿誠(いまさるまこと)さん」

笹野さんは今猿社長から光さんに説明し始めた。


「よろしくお願いします。蔵子さんとは友人以上の付き合いしてます」

今猿社長が爽やかな笑顔で言った。


ちょっとちょっと今猿社長!

友人以上のつきあいってどういうことですか?!


「えっ蔵子ちゃんこの人と付き合ってるの? 」

光さんがニヤニヤしている。


「ちがうよ!親友ってこと」

笹野さんは顔色一つ変えず真顔で否定した。


「この人が私の友人で会社の同僚の如月めぐさん」

次に笹野さんは如月さんのことを説明した。


「よろしくお願いします。私も親友なんです」

如月さんはニコニコと光さんに挨拶した。


「こちらがが小豆沢光ちゃん。私の従姉妹(いとこ)だ」

小豆沢って同じ苗字だと思ったら従姉妹だったのか!


「従姉妹なんだ~そういえば、よく見ると似てるね」

如月さんがにこやかに言う。


「ああ、あとこの人が私の会社の部下の橘権太(たちばなごんた)くん」

僕の紹介はたったそんだけですか?

笹野さん忘れていたな!


「ひいいい」

光さんは僕を見ると怯えだした。


僕は結婚相談所のお見合いで何かやらかしたかな?


「あなた……侍の霊にとりつかれてますよ」

光さんが笹野さんの後ろに隠れて一言だけ言い放った。


「えっ光ちゃん見えるの?」

笹野さんが予想外の言葉に驚いたようだ。


「はい。私は霊感強い方なのではっきりと」

光さんは権蔵を指さしながら言った。


前回僕が結婚相談所で断られたのも、今、怯えているのも権蔵のせいでよかった。


「失礼じゃな! 人の顔見るなり怯えるなんて! 」

権蔵は顔を真っ赤にして怒っている。


普通の人は怖いって……

僕だって最初怖かったもん。

笹野さんと高梨先輩がすごいんだよ。

しかし、こんなにいろんな人に見える地縛霊も珍しいよな。


「この人は守護霊みたいなものだから怖くないよ」

笹野さんが光さんをなだめる。


「ホントに? 」

光さんは笹野さんの後ろに隠れている


「ほら。(こわ)ないぞ。」

権蔵がニッコリと微笑む。


「あれっ? お侍さんどこかで見たことあるような」

光さんがじっと権蔵の顔を見る。

読んでくださりありがとうございます

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