第41話 デートと従姉妹
グッズは大事ですよねソワソワ((・ω・))
「あっしまったああああ」
僕は思わず叫んだ……
権蔵のせいで……!
「どうしたんですか? 」
今猿社長達が一斉に振り向いた。
「ぐ、グッズを買えなかった……」
僕は床に崩れ落ちた。
さっき、今のチャンスが大事とか思った罰が当たったんだ……
「ドームツアーの限定グッズなら一通り橘さんの分も買いましたよ? 」
如月さんが大きな袋を僕に渡した。
如月さん!あなた天使ですか?
どうりで待ち合わせ場所に如月さんは、なかなか来なかったんだ。
「なぜ僕の分まで? 」
「じゃんけんで負けて3人分買うはずだったんだけど……ありすが橘くんの分も買っておいてくれって」
「私はほんとに好きなんだよ」
笹野さんが僕を見ながら言う。また権蔵のやつ!
「ん? なんじゃ?」
権蔵は大人しく僕の後ろにいた。
「グッズが! 」
笹野さんが如月さんからもらったグッズを嬉しそうに、抱きかかえる。
ですよね……
『僕も好きです……グッズが』とすら恥ずかしくて僕は言えなかった。
そして僕は如月さんにグッズ代を渡した。
その後、ライブは無事感動の中終わった。
笹野さんはライブ中は、すごく盛り上がっていていつものクールな感じとは全然違った!!
突然如月さんが何やらこっそりチケットを僕に渡してきた。
「私と友達行けなくなったからありすを誘いなよ」
今猿社長に聞こえないように如月さんは僕に言う。
「何で僕が……」
僕はたじろいだ。
何で僕が笹野さんをデートに誘わないといけないんだ。
「さっきグッズ買ってきたのは誰だったかな? 」
うぐ!如月さん痛い所を責めてきた!
「チャンスじゃ! 次は2人っきりでデートやろうが! 」
権蔵も小声で僕に言う。
僕は如月さんからチケットを受け取った。
「これ。あげます」
そして僕はそう言いながら、そのまま笹野さんに渡した。
「いいのか? ありがとう! 私がからきさん好きなの知ってたのか? 」
笹野さんは無表情で受け取る
「もちろん歌い手のからきさんでしょ」
僕は即座に答えた。
いやあ。koutube見まくっていて良かった。
笹野さんが好きかどうかは知らなかったけど、誰のチケットかはすぐ分かった。笹野さんは本当に嬉しそうにしている。
「じゃあめぐと行くから」
笹野さんの少し口元が緩んだ気がする
あっ!2枚ともあげるって意味に取られたか……
「あーもうせっかく如月からもらったのに! 権太はなあ。笹野と2人で行きたいんじゃ!」
権蔵がイライラしながら笹野さんに言った。
権蔵余計なことを!
「えっ? めぐからもらったの? 」
笹野さんの顔がひきつっている。
ほらみろ!痛いところを突っ込まれた!
「えーとそうです。聞かれなかったので言わなかっただけです」
僕はとりあえず、誤魔化した。
「じゃあ2人でいくか! 楽しみにしてるよ」
笹野さんは少し微笑んで僕に言った。
その瞬間にドキッとした。笹野さんってやっぱり笑うと可愛い……かも。
僕の前を見覚えのある人が歩いている。
僕が誰かか気づくより先に笹野さんが声をかけた。
「光ちゃん? 」
振り向いたその人は小豆沢光さんだ。僕が結婚相談所でお見合いした人だ。
「えーと。どなたですか? 」
小豆沢光さん……小豆沢さんが2人いるので、 ここからは光さんと呼ぼう。
光さんは思い出せなくて困ってるようだ。
「私! 小豆沢蔵子だよ」
笹野さんが昔の名前で自分のことを説明した。
自分から小豆沢蔵子って言ったのは、縁の結婚式以来だな。
「く、蔵子ちゃん? 何か感じ変わったから分からなかったよ~何年ぶり? 」
光さんはものすごく驚いていた。
一体2人の関係性は何なんだ?
「14年振りだね」
笹野さんが思い出しながら言った。
僕と同じぐらい笹野さんと会ってないみたいだ。
「そちらの人達は?」
光さんは僕達の方を見た。
「ああ、この人は私の友人で会社の上司の今猿誠さん」
笹野さんは今猿社長から光さんに説明し始めた。
「よろしくお願いします。蔵子さんとは友人以上の付き合いしてます」
今猿社長が爽やかな笑顔で言った。
ちょっとちょっと今猿社長!
友人以上のつきあいってどういうことですか?!
「えっ蔵子ちゃんこの人と付き合ってるの? 」
光さんがニヤニヤしている。
「ちがうよ!親友ってこと」
笹野さんは顔色一つ変えず真顔で否定した。
「この人が私の友人で会社の同僚の如月めぐさん」
次に笹野さんは如月さんのことを説明した。
「よろしくお願いします。私も親友なんです」
如月さんはニコニコと光さんに挨拶した。
「こちらがが小豆沢光ちゃん。私の従姉妹だ」
小豆沢って同じ苗字だと思ったら従姉妹だったのか!
「従姉妹なんだ~そういえば、よく見ると似てるね」
如月さんがにこやかに言う。
「ああ、あとこの人が私の会社の部下の橘権太くん」
僕の紹介はたったそんだけですか?
笹野さん忘れていたな!
「ひいいい」
光さんは僕を見ると怯えだした。
僕は結婚相談所のお見合いで何かやらかしたかな?
「あなた……侍の霊にとりつかれてますよ」
光さんが笹野さんの後ろに隠れて一言だけ言い放った。
「えっ光ちゃん見えるの?」
笹野さんが予想外の言葉に驚いたようだ。
「はい。私は霊感強い方なのではっきりと」
光さんは権蔵を指さしながら言った。
前回僕が結婚相談所で断られたのも、今、怯えているのも権蔵のせいでよかった。
「失礼じゃな! 人の顔見るなり怯えるなんて! 」
権蔵は顔を真っ赤にして怒っている。
普通の人は怖いって……
僕だって最初怖かったもん。
笹野さんと高梨先輩がすごいんだよ。
しかし、こんなにいろんな人に見える地縛霊も珍しいよな。
「この人は守護霊みたいなものだから怖くないよ」
笹野さんが光さんをなだめる。
「ホントに? 」
光さんは笹野さんの後ろに隠れている
「ほら。怖ないぞ。」
権蔵がニッコリと微笑む。
「あれっ? お侍さんどこかで見たことあるような」
光さんがじっと権蔵の顔を見る。
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