第23話 プロフィール!
※たちばなと権蔵の個人的見解です
自己PRか……
『彼女いない歴と年齢は同じです(笑)』
自虐ネタならウケるかな?
「馬鹿者!自虐ネタなんぞ女性はドン引くだけじゃ! 『なんの取り柄もない僕ですが、音楽の知識だけは自信があります。一緒にライブとか行けたら嬉しいです!』ぐらい書かんかい!」
権蔵がぷんすか怒っている。
「なんの取り柄もないって言わなくても……」
僕がぶつくさと反論した。
「そのぐらい謙虚の方が女性は好印象を持つのじゃ!」
権蔵がはっきりと言いきった。
僕は自己PRの所をしぶしぶ権蔵に言われた通りに書いた。
次は相手の希望についてだな……
《再婚は気にするか……気にする……。
相手の家族と同居できるか……難しいと。
相手の希望年齢は下は19歳から上は35歳まで...…
相手の希望地域は僕と同じ所と。
養子にはなれるか……難しい
相手は共働きがいいか……出来れば共働き。
相手はどれくらいの身長がいいか……
155センチ~162センチぐらい
相手の学歴の希望は……高卒以上
相手の喫煙、飲酒は一切無しが好ましい
お相手の条件は可愛くて賢くて清楚な女性
理想の結婚像は……共働きで一緒に頑張りたいです!》
僕はスラスラと思うがまま書いた。
「こらこらこらこら!突っ込むところ満載じゃ! 何で年齢が19歳まで下がって上限を35歳にするんじゃ? お主の許容範囲は20歳から37歳じゃろうが! 」
権蔵は目を見開いて言った。
「あっ具体的に希望を書いた方がいいかと思って……」
僕はすっとぼけた。
「お主のは希望ではなく欲望じゃろうが! ワシの初恋の人の生まれ変わりを探しているなら『年齢問わず』にせい! 」
権蔵がさらに怒る。
「はいはい。分かりましたよ……」
僕はしぶしぶ書き直した
ふう、やっと書き終えたな……
桂はスマホをいじっている。
高梨先輩は結婚相談所のパンフレットを読んでいた。
2人とも暇そうだな。
どうやら僕が一番時間かかったらしい。
そう思っていると丁度鬼龍院さんが個室に戻ってきた。
「プロフィールシートの方は書けましたでしょうか?」
鬼龍院さんはニコニコと言った。
僕達はプロフィールシートを鬼龍院さんに渡した。
鬼龍院さんはそれこそ鬼のようにプロフィールシートを読んでいる。
ああ、これ何か指摘されるやつだな。
「まず、高梨様。女性に好印象をもたれるような素晴らしいプロフィールシートです」
鬼龍院さんは高梨先輩が書いたプロフィールシートを読みながら言った。
あれっ褒めたな。僕の気のせいだったかな……
「しかし、20代に限るというのは良くありませんね。高梨様は37歳ですから35歳までの上限にした方がいいですね」
鬼龍院さんは顔を顰めながら言った。
「はい。分かりました」
高梨先輩はすんなり鬼龍院さんのアドバイスを受け入れた。
高梨先輩! あんだけこだわっていたのにアッサリと変えるんですか?
「次に桂さん!ユーモアがある文章で女性を惹き付ける文章ですね!年齢の幅も22歳~40歳と丁度良いです」
鬼龍院さんはニコニコと言った。
桂が喜んでいる。
桂は本当に文章書くの上手いな。
「しかし、共働きのみ、家事はできないという点は良くないですね。桂さんはそれなりの収入があるので、『専業主婦でも可能。パートしてくれると嬉しい』ぐらいにしておきましょう。さらに、『家事はできるだけ協力する』にした方が共働き希望の方を紹介しやすいです。」
鬼龍院さんはまた顔を顰めて言った。
「はい。そうします! 」
桂も鬼龍院さんのアドバイスをすんなり受け入れた。
桂もあんだけこだわっていたのにアッサリと意見を変えた。
「次にたちばなさん! 」
僕は鬼龍院さんに名前を呼ばれた。
いよいよ僕の番だ……緊張するなあ……
「性格と自己PRは謙虚さがあってよろしいですが、なんか気持ちがこもってないような気がしますね」
鬼龍院さんは最初から顔を顰めて言った。
ぎくっ!人から言われた通りに書いたやつってバレたかな?
「まあそこはよろしいですけど……他はあまり良くない書き方ですね」
鬼龍院さんが考え込む。
あれっ褒めるターン終わり?
人に言われた通りに書いた所しか褒めてないけど……
しかも褒めたってほど褒めてないし……
「年齢は気にしないとありますが、紹介しやすくする為に絞って20歳~40歳までにしましょう!」
鬼龍院さんがプロフィールシートの年齢のところを指さしながら言った。
ほら!権蔵、ほぼ僕の言った方が近いじゃないか!
「なんじゃと? 」
権蔵はめっちゃ驚いていた。
「あと、たちばなさんは年収がそんなに高くないので、相手の家への同居や再婚は可能にしましょう!」
鬼龍院さんはプロフィールシートの相手への希望欄を指差しながら言った。
「条件変えても女性は自分で選べるんだからとりあえず変えておけ」
高梨先輩はコソッと言う。
「はい。分かりました!鬼龍院さんの言われた通りにします」
僕は素直にそう言った。
「ありがとうございます! それでは以上で無料カウンセリングは終了です。いかがなさいますか? 」
鬼龍院さんは僕達を見渡す。
高梨先輩が僕と桂を見る。
桂はOKサインを出した。僕は黙ってうなづいた。
「3人とも入会でお願いします! 」
高梨先輩が鬼龍院さんに伝える。
「ありがとうございます! それでは提出書類の方を頂けますか? 」
鬼龍院さんは喜んでいる。
僕達は事前の用意した必要書類を鬼龍院さんに渡した。
「では書類を確認いたしますので、こちらの申込書にお書き下さい。」
鬼龍院さんは書類を持って別室に行った。
~しばらくして~
「御三方とも問題なく入会できます」
鬼龍院さんはそう言うと今度は僕らの書いた申込書を回収した。
「皆さんお支払いは一括でよろしいですか? 分割もできますけど……」
鬼龍院さんは驚いて言った。
「いえ。一括でお願いします。」
高梨先輩がそう言い切った。分割だと退会するのが遅れたりするから、一括に使用と高梨先輩が提案したのだ。
「これで、入会できました!次はプロフィールの写真をお撮り致します」
鬼龍院さんはニコニコとしている。
「それは持っている写真じゃダメなんですか?」
僕はびっくりして思わず質問した。
「それでもよろしいのですが、きちんとお撮りになった方が、圧倒的に女性の反応がよろしいです。お見合い申し込まれる率が倍近く違います。」
鬼龍院さんはニコニコと言った。
それなら撮ってもらうか!
読んでくださりありがとうございます!




