第20話 友達の紹介と足らないもの
謎の人物が出てきます(๑• ̀ω•́๑)✧
「侍じゃと……?ワシはそんなやつ知らぬ」
権蔵はそう言い切った。
えっ! 知らない?権蔵が[柊愛長]じゃないのか?
「縁、その侍は別名[権蔵]とかないよね?」
僕がそう言うと、縁は驚いたがすぐに首を横に振った。
「いやいや、別名なんてないよ! それより今から女性と会うんだからさ、もっと女性のこと聞こうよ! 」
縁は笑いながら言った
「ああ、ごめん。今から会う女の子はどんな子かな? 」
僕は慌てて縁にどんな子か尋ねてみた。
「会うまで内緒♡ 」
縁は教えてくれなかった。
だったら女の子のこと聞いてって言わなきゃいいのに……
小洒落たイタリアンのレストランに到着した。
「いらっしゃいませ。何名様ですか? 」
小洒落た男性店員がにこやかに接客してくれる。
「予約していた葛城です。」
慣れたように答える縁。
「お待ちしておりました。葛城様。こちらになります」
小洒落た店員に案内されるとそこには、黒髪ショートの女性が座っていた。
「こちらは小栗沙耶さんだ」
縁が女性を紹介すると、その女性も頭を下げた。
「初めまして……」
そう言って僕も頭を下げた。
「えーたちちゃん。私の事忘れたんかいな~? 」
小栗さんはにこにこしながら言った。
僕はこの女性知ってるぞ。
高校時代に……思い出したぞ。
「えーと。もしかして、小栗部長ですか?」
「そや!久しぶりやな! たちちゃん! 2年間ひいらぎ高校の吹奏楽部の部長やった関西生まれの小栗沙耶や! 」
小栗部長は僕の背中を叩きながら元気に言った。
「お久しぶりですね!お元気でしたか?」
僕はテンションを上げ、そう言った。
小栗部長と再会出来たのが嬉しく懐かしい気持ちになった。
僕と縁は吹奏楽部員だった。
小栗部長は僕より1つ先輩でずっと面倒を見てもらった。
「最初に名前言った時に気づけよな~俺と小栗部長とはtocebookで再会したんだよ」
縁が自慢げに言った。
縁……どんだけSNS活用してるんだよ……
「じゃあ、3人で食事でも……」
僕がそう言うと縁が勢いよく謝った。
「すまん!今から婚約者とデートなんだ!ここからは、お2人さんだけでね!会計は済ましてあるから」
「えっ!ちょっと縁!」
僕が止める前に縁は走って行った。
会計済ましているなんて男前だな。
彼女出来たらだいぶ変わったなあ。
中学の時はモテない同盟組んでたのに……
高校ですぐ彼女作りやがって……
(高校卒業したら別れたらしい。)
今はもう結婚間近かよ!ちくしょう!幸せになれよ!
「たちちゃん覚えている? 野球部の応援の時さ~」
小栗部長のトークが止まらない。
~高校時代の思い出話に花を咲かし中~
「懐かしいですね!合宿の時に、小栗部長がお弁当を作ってきてくれたの嬉しかったです」
僕が昔の話をしたら、小栗部長が怪訝な顔をする。
「んっそれ……私とちゃうで? 料理できへんもん」
小栗部長が笑いながら言った。
権蔵が勝手にすごい音を立ててパスタを食べているのが気になるが……余計なことを言うよりマシか……
「小栗部長じゃなかったら誰でしたっけ?」
僕がそう言うとケラケラと笑っていた小栗部長の顔がひきつる。
「たちちゃん。冗談やんな?仲良かったのに忘れたんか? あずちゃんを……」
小栗部長が真剣に僕に尋ねる。
「あずちゃんって……誰でしたっけ? 」
僕がそう言うと、小栗部長は固まった。
僕は本当に思い出せない……何でだろう?
「薄情なやっちゃなあ……同級生やろうが!
たちちゃんは高校の時[小豆沢]さんと呼んでたで!!」
小栗部長はバシバシ机を叩きながら大きな声で言う。
「小豆沢さん……そんな人いましたっけ? 」
僕はまだ思い出せずうろたえて言う。
「何や! あずちゃんが転校したのがショックで記憶喪失かいな! 」
今度は小栗部長が僕を心配そうに見る。
同級生が転校した? そんな記憶はないぞ……
「アルバムとか写真ありますか? 」
僕はどうしても思い出せず困った。
そうだ。卒業アルバムを見ればいいじゃないか!
「それがなあ。卒アル作る前に転校したんで。載ってへんらしいねん。私らも会いたくて探したんやけど誰も消息が掴めへんねん。たちちゃんなら知ってるかと思ったんやけどなあ」
小栗部長はがっかりしている。
「今頃何してるんでしょうね」
僕は小豆沢さんの行方が気になった。
「ほんまに見つからんで、あずちゃんいつも『男性になりたい』って言ってたから今頃男になってたりしてな」
小栗部長がケラケラ笑いながら言った。
「……」
権蔵がめっちゃ考え込んでいる。
小豆沢さんか小栗部長に心当たりがあるのか?
「なんか思い出せそうな気がしたが、何かが足らん。それより、デザートはちょこれいとぱふえがいいのう」
権蔵が考えこんで言った。
権蔵……小栗部長の関西弁移ってるぞ!
権蔵……それよりって何だ! お前を縛り付けている未練の話しだろうが!
悩んでたのはデザートのメニューかい!
「そういえば、小栗部長は何でここに来てくれたんですか? 」
僕がさりげなく話題を変える。
「近々吹奏楽部の同窓会しよと思っててな。部員に会いに回ってるんや」
小栗部長がリストを僕に見せてくれた。
男性は僕だけ名前に線が引いてない。
えっ? 恋愛関係になりに来たんじゃないってこと?
「あの……婚活じゃ……」
僕が恐る恐る聞いた。
「私彼氏4人おるで~ごめんな。ああ、縁が早とちりしたんやな」
小栗部長は大笑いしだす。
彼氏4人もいるの? ちょっと引いた。
僕はこの人と恋愛するの無理だな。
「大丈夫ですよ! 懐かしいお話しができただけで良かったですから! 」
僕は愛想笑いをしながら言った。
「おお。そやな! ほな連絡先教えて~」
こうして小栗部長と連絡先を交換した。
「このていらみすとやらも悪くないのう」
権蔵はそう言うと、デザートのティラミスにがっついている。
権蔵! おまえの為に婚活してるんだぞ!
分かってるのか?!
僕はだんだんムカついてきてお守りにそっと念じた。
「ぎゃあああああああああ」
権蔵は食べるのをやめて半泣きになっている。
「悪い悪い。『いたりあん』なんぞ食ったことなかったから……連絡先交換できてよかったやん」
権蔵が変な関西弁で言い訳をする。
完全に本場の関西弁を気に入ったな……
~部屋に帰ってきて~
「どうだった? 」
その日の夜に縁から電話がかかってきた。
「小栗部長は吹奏楽部の同窓会のメンバー集めだと言っていたぞ……」
僕がそう言うと縁はめっちゃ謝った。
「すまん! たちばなを紹介しろって言うからてっきり気があるのかと思ってたよ! ほんとにすまん! 」
「大丈夫だよ……楽しく話せたから」
あまりに謝るので僕は気が引けた。
「結果よければ全て良しってことで」
縁がおちゃらけて言った。
「なあ……小豆沢さんって覚えているか? 」
僕は勇気を出して縁に質問した。
「ああ、覚えているよ!おしとやかで気配りができる可愛い女の子だったな。 学校のマドンナだったな! たちばなと仲良かったよな? 小豆沢さんが今どうしてるか知らないか? 」
縁はきちんと小豆沢さんのことを覚えていた。
やっぱり僕は[忘るの儀式]と[小豆沢]さんのことだけ記憶が無い。誰かに消されたのか? 自分で消したのか分からない。
「実は僕は覚えてないんだ……小豆沢さんのこと」
僕がうろたえて言った。
「え? 誰かがやっかんで[4の儀式]でたちばなの記憶を消したんじゃないか? 」
縁は真面目に言った。
「そうかな」
僕はそれもありうると思った。
「ひいらぎ高校じゃそんなの日常茶飯事だ。たちばなが落ち込むことは無い」
縁は笑いながら言った。
「そうだな。いろいろありがとう! 縁」
僕は縁に礼を言った。
権蔵じゃないけど、何か掴めそうなんだけど何かが足りなくて分からないな。
読んでくださりありがとうございます!




