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貿易港8
魚といっても冷凍か干物か缶詰です。
「あね様についていったわたくしは、小さな食堂を見て驚きました。これは明らかに庶民のための食堂です、わたくしやあね様のような王族が口にして良いものを提供する場ではありません」
「曲がりなりにも王女だものねえ」
「わたくしはあね様にそう訴えました、するとあね様はわたくしの頬をはたいたのです」
「門番を毎日打倒すあれの腕力ではたかれて平気だったの?」
「わたくしの体は三つむこうの街灯まで吹き飛ばされました」
「言わんこっちゃない」
「そうしてあね様はわたくしを叱りつけたのです。食べ物に貴賤はない、主食も副菜も無いのだ、と……」
「元凶は奴か」
「あね様の言葉に、わたくしは目が覚める思いでした。そう、食べ物に貴賤はありません、主食も副菜も無いのです」
「だから後者はあるったら」




