88/121
船旅15
クラーケンはプルプル震えています。
「くっ……か、かくなるうえは」
魔王 は 魔クジラ語 を 唱えた!▼
クラーケン が 暴れ 始めた!▼
「あ、危ないから下がってくのいちA! こうなったら俺は魔物に寄り添うフランクな魔王像は一旦捨ててしまう覚悟を決めたよ!」
「まあ、忍者Aさんったら重大な覚悟を」
「航海の安全を脅かすクラーケンめ、こ、こうなったらもう黙ってはいられないぞ、えいやっ!」
「ああっ、振り下ろされたミズダコさんの足を忍者Aさんが受け止めた!」
「く、くうっ! なんて力だ! このまま受け止め続けては甲板にめり込んで穴を開けてしまう! かくなるうえは、せいやっ!!」
「ああっ、ミズダコさんの巨体が浮き上がった」
「そいやーっ!!!」
「ああっ、ミズダコさんの巨体がぶんぶんと振り回され、円盤投げの円盤のように空へ……!」
クラーケン は そらのかなた へ 消えた……!▼
「ふう、これで船上の安全が守られた……」
「ああ、大広間いっぱいのタコのバター炒め……」
「……そして一匹の貴い魔物の命が守られた……!」




