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船旅10
魔王と王女は改めて、騒ぎの渦中へ飛び込みます。
「とはいえ、少しでも俺の笑顔が凶悪に見えたのなら気を付けないといけないな」
「まあ、気を付けるとは?」
「俺は魔物に寄り添うフランクな魔王像を目指しているからね、出来る限り凶悪さは取り除いていきたいんだ」
「まあ、理想の王たらんと努力をされているのですね」
「まあね、おや、甲板で暴れる魔物が見えてきたぞ」
「まあ、あれは……」
「吸盤のついたうねうねと動く何本もの腕……人をダメにするクッションの如き柔らかな胴体……あれは」
「なんて巨大なミズダコさん……!」
「クラーケンはタコでもないし食用でもないから目を輝かせないでくれるかな!」




