魔王と王女 ～魔王城に帰るまでが遠足です～

船旅７

　王女はしつこく海を見つめます。

「でもそうだなあ、そういえば俺もいつも上を飛んで過ぎていくだけで、近頃じっくりと海を眺める事なんて無かったかもしれないなあ」

「まあ、忍者Ａさんは船には乗りませんの？」

「飛べるからね」

「まあ」

「それにその気になればどこまでだって泳いで行けるしね、なんたって俺は元魔クジラ少年だから」

「えっ？」

「えっ？」

「……そういえば、そんなお話もしましたかしら」

「やっとのことで聞いてもらえた俺の生い立ちをすっかり忘れられている、つらい」