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すそ野の村8
偶然にもパンナコッタをお持ちのお客様が居て、無事に王女はパンナコッタを食べました。
「わたくしの人生の中で最もおいしいパンナコッタでした」
「よかった……あのまま王女がパンナコッタ的な何かに変貌してしまうんじゃないかとひやひやしたよ」
「まあ」
「本当に王女がパンナコッタ的な何かに変貌しなくてよかった」
「わたくしをくのいちAと呼ぶのを忘れるほどに心配してくださったのですね」
「そりゃあ王女のお父様から頼まれている身だからね」
「ふふ、父様はわたくしにたくましく育って欲しいと願って旅に出したというのに、なんだかおかしいです」
「まあ、あくまで危険の無い範囲でということだからね。魔物は王たる俺のことは襲わないから」
「獣は襲ってきますけれど」
「その件に関してはまことに申し訳なく」
「訴訟も辞さない覚悟」
「それはもうやめてってば」
「天丼は三回まで許されるそうですので、つい」
「いいや王女、それは四回目だ」
「まあ」




