境界の山7
ついに魔王と王女は頂上にたどり着きます。
「まあ、これがお昼ご飯」
「違うね」
「まあうっかり」
「まあ俺がもう少しでお昼ご飯だと励ましたのも悪いから強くは言えないけれど」
「改めまして、これが頂上なのですね。いつか忍者Aさんに連れて行っていただいた城の屋根よりもずっと良い眺めです」
「うん、高さがそれとはまるで違うからねえ」
「民がゴミのようです」
「王女としてはギリギリの発言だねえ」
「うふふ、言ってみたかっただけです」
「そういえばお城の屋根に登ったときも言っていたね、まったく何から影響を受けたんだか」
「兄様が」
「この話は終わりにしようか」
「まあ」
「そんなことよりもこの眺めで食べるお昼ご飯は格別だよさあお昼ご飯にしよう」
「まあくのいちA楽しみ」
「さあ、宿屋の主人が持たせてくれたキノコサンドイッチを食べようか」
「ええ、ですけれど……」
「あれどうしたんだい、食欲の権化であるくのいちAがためらうだなんて」
「キノコサンドイッチのお供が今朝汲んだ湧水というのは少し、味気のないような気持ちがしてしまうのです」
「ああなるほど。けれど安心していいんだよくのいちA」
「忍者Aさん、安心とは」
「知っているかいくのいちA、高いところで淹れるコーヒーはとてもおいしいんだよ」
「まあ、コーヒー」
「今朝汲んだ湧水で淹れるなら尚更だ。さ、魔法も使わずマッチで火をつけてコーヒーを淹れよう」
「うふふ、忍者Aさんたら楽しんでいるんですね」
「くのいちAは楽しくないかい?」
「わたくしも楽しいですよ、うふふ」
「くのいちAが楽しんでいるなら何よりだよ。さあくのいちA、俺がコーヒーを淹れるから眺めのいい場所を探してくれるかな」
「ええ、わかりました忍者Aさん」




