はじまりの森11
王女は釜茹でを所望しています。
「しかし出汁をいただこうにも釜がありませんでしたね」
「そうだねだからくのいちAクマ=サンの出汁もあきらめ…」
「この先の村にたどり着けばあるかもしれません」
「…ないよね、すさまじい食への執着はわかってた」
「ではひとまずそこまでクマ=サンを運びましょう、忍者Aさん、お願いできますか?」
「…うん、任せておいてくのいちA」
「うふふ、熊出汁の熊鍋、熊のシチュー」
「ああっ!く、クマ=サンが目を覚まして暴れはじめた!この暴れようは魔王たる俺でもとても手に負えない!」
「まあ、クマ=サンの激しいヘッドバンギング」
「こ、このままではくのいちAまで本気のクマ=サンに襲われてしまう!かくなるうえは、せいやっ!!!」
「ああっ忍者Aさんが大きく振りかぶって投げた、クマ=サンがまるでやり投げのやりのように空へ…!」
クマ=サン は そらのかなた へ きえた … !▼
「ああっ熊鍋…熊のシチュー…」
「ごめんよくのいちA、けれどくのいちAにとって食が最優先事項のように、俺にとってはくのいちAの安全が最優先事項だからね」
「まあ」
「残念だけど、あきらめてくれるかなくのいちA」
「ええ、残念ですけどクマ=サンがいなくなってしまっては仕方がありませんね」
「よかったわかってくれたんだね」
「ではその代り」
「その代り?」
「魔王さんの出汁を」
「どうかお許しください王女様」




