はじまりの森2
はじまりの森はうすぐらいところです。
「まあ、森とはこんなにもうすぐらいのですね」
「そうだよ、だから足元に気をつけてって言ってるそばから、ああ!」
「まあ」
「まったく気を付けてね、ところで何につまづいたんだろうか」
「まあ、これは」
「わあ、立派なきのこだ、くのいちAがつまづいたっていうのにびくともしていない」
「ねえ忍者Aさん、わたくし豚のシチューが大好物ですけれど、きのこのシチューも大好物なんです」
「前々からくのいちAとくのいちAのお父様は親子でどうしてこうも違うんだろうと思っていたけれど、この数日で確実に親子なんだなということを感じているよ」
「こんなお鍋いっぱいのきのこ、ああ、夢のようです」
「ううん、このきのこは毒ではないけれど、ここまで成長してしまったらおいしくないと思うよ」
「そこはシェフの腕の見せ所です、わたくし諦めませんよ」
「すさまじい食への執着だね、こういうところが親子だよねえ」
「さ、収穫していきましょう、この先に腕のいいシェフがいるかもしれません」
「うーんそうだね、こういうのは地元の人がいい食べ方を知っているかもしれないから」
「おいしく料理をしていただけるのならシチューにはこだわりません」
「ああ、その辺はくのいちAのお父様とは違って柔軟性があるよね」




