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貿易港13

 魔王と王女はやっぱりおでんの話が止められません。



「ちち様ったらあれもこれもと受容しているうちに具が土鍋に収まりきらず、次にずんどう鍋になりましたがこれにも収まりきらず、最終的に大釜になったものが我が家のおでんです」

「受容するにもほどがある」

「加えて最近東の山にトンネルが開通しまして、また新たなおでんの具が入ってきたのですけれど我が家の大釜にはこれ以上新たな具の入る余裕はありません」

「なるほど受容も善し悪しの面があるわけだねえ」

「あに様は元々の具の味の良さを新たに受け入れた具が奪っているとおっしゃって、ちち様にこれ以上の受け入れはやめて、また過去に受け入れた具も追い出すべきだと訴えていらっしゃいます」

「本当に、人間社会を映す鏡とは言い得て妙だねえ」

「ちち様もあに様の訴えに揺れていらっしゃるようですけれど、本当にそれで良いのでしょうか」

「というと?」

「元々の具を守るために新たな具を追い出して、それで解決するのでしょうか。追い出された具はどこへ行くのですか? 元の鍋へ戻ったとして、それが最善の策なのでしょうか」

「俺たちは今おでんの話をしているんだよね?」

「とはいえこれが最善の策と言い切ることのできる策も見つからない、本当におでん社会というのはままならぬものです」

「おでん社会」



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