春休み課題との交換
第一話 プロローグ
3月も終わりに入りついに高一の三学期も終わった。
待ちに待った春休みだ!!
春休みーーーそれは課題もなく3週間ほどの休みがありある意味夏休み以上の長期休暇である。
しかし、そんな都合のいい話は中学までだった...
三学期終業式も終わりHRの最後つまり帰る直前になって、クラス全員に大量の課題が配られたのだった。
俺、水谷康介の通う高校はは偏差値60代の進学校、生徒の自主性よりも結果を優先する。
まあ、大量とはいっても春休み毎日3時間程度やったら終るとは思う程度のものではあった。
多いか少ないかの感想は人によるだろう。
俺は適切だと思うけど、やる時間はない。
というのも、春休みの予定は来年分も埋ってますというほど忙しいからだ。
例えば、いくつかのアニメ、ゲームのイベントに音ゲーマーたちの集い、さらにアニメ関係のチャットグループのオフ会とやることが週に3つ以上はある、とても課題をやっている暇などどこにもない!
さらに言えば、文学部の原稿もつくらねばならん。
俺は机に並べてみた課題とこれからのスケジュールを考え課題の提出を諦めるという合理的な選択をする。
結局のところ、テストで結果さえ出せば誰も文句は言わないのだ。
けれどまぁ、新学期早々担任からの心象が悪くなってしまう。
それはできれば避けたいものだ。
「あーあ、こういうとき神様とかが課題やってくれたらなー」
と誰も家にいないので、普段は言わないようなばかばかしい一人言を呟いた。
(課題、やってあげましょうか?)
どこからかそんな声が聞こえてきた。
俺は周りというか部屋を確認したが特に誰がいるというわけでもない。
というか、姉も友だちと出かけていないし、両親は仕事だ。
だれも、いないはずなんだよな...
しっかし、声が聞こえた気がしたんだがな。
(はい、伝えましたよ。それで、課題やってあげましょうか?)
またかっ!というか、今度は鮮明に聞こえたぞ。
「誰かいるのか?」
(いいえ、いまあなたに聞こえているのは声だけですから、姿は見えません)
「神というやつなのか?...本当に」
(はい、そうです。神の一柱でソナと言います。あなたの課題を引き受けましょうか?と言っていました)
「引き受けるって、本当にいいのか」
神が課題をやってくれるという話は聞いたことがない。
(はい、ただ.........少し、お願いがあるのです)
やはり、か。なにかの対価が必要なのは分かっていた。
こういう、神と学生が出会う系ラノベの主人公たちの出てくる物語をよく読んでいた経験上、高確率で異世界に行かされるように話が進んでいくのを知っている。
「先にいっておくが、異世界に転生とかだったらお断りだぞ」
死ぬリスクまで負って課題をやってもらおうとは流石に思わない。
そこまでするぐらいなら、自分でやる。
(いいえ、転生はしません。こちらの世界でいうのであれば神の住居ー天界ーにあがってもらい人としてのモニターテストをしてもらえれば結構です。終われば、こちらの時間ぴったりに帰ることができます)
帰ることができて、時差なし。
しかもやるのはモニターテストか、悪くはないな。
嘘をついている可能はこの際捨てよう、面白そうだし。
だが、聞かないといけないことがいくつかあるな
「いくつか質問する。
1つ、モニターテストというのはどういうことをするのか。
2つ、モニターテストの期間はどれぐらいか。
3つ、命の危険が万に一つもないか。だ」
(1つ目、私の管理している世界の1つを観察してもらいます。
2つ目、期間はちょうど半年ぐらいです。
3つ目、命は保証いたします。
どうでしょうか?)
「世界1つ観察するって、半年では無理だろう。
どうするんだ?」
(モニターテスト期間中は私の力を一時的に貸し与えるので世界1つ程度であれば観察できるようになります)
「じゃあ、最後にだがどうして俺なんだ?」
(これは、完全にランダムで探してたのですがちょうど私に呼び掛ける声が聞こえたのできたのですよ)
神頼みが神に届いたのか...
「そうか、ならいい。そして、その話を受けよう」
(ありがとうございます、それでは契約の儀を行います)
足元に魔方陣があらわれ光が体に纏われだしたと思うと、次の瞬間俺の意識は暗転した。
目が覚めて周りを見ると見知らぬ部屋にいた。
真っ暗な天井、壁から点々と光が放たれていて、まるで宇宙のようである。
とても、神秘的なのだが...
だが、その景観をぶち壊す程の大量の物が乱雑に散らばっていた。
なにここ汚い。
見た感じ部屋は少し広い程度の部屋だったがそこがあらゆるもので埋め尽くされていた。
一つ一つを見ても、よくわからない珠だったり、名にか書かれているプレートだったり、本とおぼしきものだったり。
一つ一つは綺麗なんだけどなぁ...
たとえそれぞれが美味しいものでも、かき氷と肉まんは合わないといったところだろうか。
そんな部屋のなか唯一足の踏み場のあるところに俺を呼んだと思われる彼女、ソナがいた。
同じ歳ぐらいでワンピースを着た金髪に赤目のソナは可愛いというよりは美しいが合う女の子だ。
「やっと、起きたわね。康介、じゃあまずやり方教えるから座って」
俺は正面に座った。
ソナはものの山の下の方からなにか珠のようなものを引っ張り出す。
「みて、これが世界よ」
そういって見せたのは1つの白く透明な珠だった。
「世界?」
俺は意味がわからず問い返した。
「そう、世界。この珠は、世界の土台ね。これに例えば人だったり亜人だったり動物だったり植物だったりモンスターだったりを創造して世界を構築していくの。
それらの創造には神の力が必要なんだけど、それらが育ち新しく子孫を作り繁栄させていくことによって失った以上の力を得て成長していくのよ」
創造した世界が荒廃し続けたらその神は死んでいくのだろうか?
「へぇ、それでこれはどんな世界なんだ?」
その珠を指差し問いかけると、ソナは目をそらしながら答えた。
「...これ?これはまだ空っぽ。強いて言えばモンスターのみで生態系を作ることになっているわ」
「なっている?どういうことだ?」
「これは、セントマナ学園の課題なのよ」
ソナは他人事のように言った。
おい、お前もか...
それでか、この山積みに既視感があったのは。
「神の学校の課題か、興味があるな。どんなのなんだ?」
「『この珠には入る程度の世界において単種族で生態系を構築せよ』というものでね期間は珠の内部時間で2000年、私はモンスターを扱うことになってるの」
2000年!さらっと言ったがすごい桁だな。
「どうしてモンスターを選んだんだ?植物のほうが簡単そうなのに」
植物は適当にやっても生きていくような気がする。
「そうよ、そうなのよ!植物はだいたいおんなじもの与えればおんなじ反応するし、人もどこかの世界とおんなじように文明与えればいいから、コピペが楽なのよ。
だけど、クジで外れちゃって。くそ、確率操作を持ってるマキめ」
天界でもコピペがあるのか...
しかも、人も植物も同じレベルで語られた。
「で、俺はどうすればいいんだ?」
「私がコウスケの課題をやるかわりにコウスケは私の課題をやるという契約で結ばれていてね、
まあ、契約を終わらせないと私もコウスケを帰すことできないし、あとはよろしくね。後のことはそこに書いてあるから」
とまくし立てるとと、ソナは光に包まれて消えてしまった。
あっという間のことだったので反応できなかった。
「おいおい、どうすんだよこれ...」
部屋には俺一人が取り残された。
元々、ソナがいた所に色々と書かれた紙が落ちている。
「えっと、なになにーーー長期課題、『支給された珠の世界において単種族で生態系を構築せよ』ってこれまんま宿題のプリントだろう」
だって、なにかコピーぽっい文字だし。
って、これ日本語じゃない?
なにか、よくわからん文字で書かれているのに理解ができている。
神の力の一種なのだろうか?
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・期間
1年
・珠内部時間
2000年
・種族
一般モンスター
※珠の世界に降り立つ行為は禁止します。
※課題は本人が行ってください。
※課題は完了後模擬戦争に使用することになります。
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それと最後に手書きで、もう半年過ぎちゃったからリカバリーよろしくね♪
あと、模擬戦争で優勝しないとたぶんコウスケは帰れないからがんばって!
と書かれていた。
おいおい、模擬戦争ってなんだよ。
しかも、優勝しないと帰れないだと?
プリントをひっくり返すと模擬戦争について書かれていた。
模擬戦争とはーーー世界を一時的に繋げることによって世界をまたぐ略奪、それによって神力の増加を得る本物の対神間の戦争の練習と書かれていた。
さらに書かれていたのは珠の使い方だった。
えっと、なになに?
珠を手に持ち神力を流すと展開します。
...............神力ってなんだよ
神力というものがよくわからないが手に力を入れて珠に力をかけてみた。
すると、珠は勢い良く展開して1つのぽっかりと空いた空間を造り出した。
いよいよ、なんかファンタジーぽっくなってきたな。
俺は、胸をときめかせながらその空間の切れ目にはいりだした。
この時俺は忘れていたのだ、これは神の世界の出来事であるが、学校の課題であるということには代わりがないということを...............
初投稿です。
なろうのなの字くらいしか知らない新参者です。
感想に誤字脱字どしどしとおくっちやってください。
...週2で出来たらいいなぁ。
暖かい目で履歴程度に残してもらったら嬉しいです。