第8章 10話
とりあえず電気の力を封じる事には成功。
まだ未知の力がありそうな気はしていますが。
今のうちに仕留めるのが吉。
「てぇーい!」
美喜子さん!?
どうやら同じ事を考えていたようで。
すでに美喜子さんが接近して拳を振るってる。
ガキィン!
弾いた?
「効かない!?」
なんで?
手には何も持っていない。
それなのに、アーティファクト・ウェポンを付けている美喜子さんの拳を止めた。
アーティファクト同士ならありえる話ですが。
見た所、どこにもそんなのは見えない。
「あっ」
思わず声に出してしまった。
まさか。
「どうしたの?理恵子」
「霧島の4人の部下はそれぞれ”何か”と融合していました。青山は植物、白井は獣、赤沢は機械、そして黒瀬は死体と」
だから黒瀬は爆弾という危険な能力を扱っていた。
「そこから考えるべきでした。彼女も”何か”と融合しているんじゃないかと」
「アーティファクトか」
山本さんが言う。
その通り。
持っていないんじゃない。
すでに彼女自身がアーティファクトなんだわ。
そうなるとかなり厄介。
あの電気の力がアーティファクトの力だとしても。
それが一つとは限らない。
それに。
融合しているアーティファクトも一つとは限らない。
全ての力を使いこなしているとしたら。
厄介という言葉では片付けられない。
こうなったら。
「私に任せてください」
箒を取り出す。
「お姉ちゃん!」
霧島を倒せるとしたら、私しかいない。
「正気か?下手すれば一生丸坊主になるかもしれんぞ」
「どういう事だ?山本」
「キッド。彼女の切る能力は毛髪を消耗するんだ。その相手がアーティファクトとなるとその代償も大きい可能性は高い」
もちろん、その可能性はあります。
「ですが、それで済むなら安いもの」
霧島を討てるというなら。
私の全ての毛根が死滅するくらいで済むなら安い代償。
「林道」
「心配しないで。全ては覚悟の上です」